「とつとつと」の意味とは?
「とつとつと」は、言葉が途切れがちになりながらもとぎれとぎれに(話をする)という意味です。「とつとつ」を漢字表記すると「訥々(もしくは「吶吶」)」です。
もともとの漢字の字義について、「訥」は言葉が滑らかに出ずにどもる、口下手であることをいい、「吶」口ごもって言葉が出てこない様子をいいます。いずれにせよ、うまく話ができない様子を表しています。
「とつとつと」の使い方
「とつとつと」は、どちらかと言えば、無口な人や話し下手人な人が話している様子に対して用いられます。口ごもりながらもどうにかに言葉を紡いで、ゆっくりと話すさまを形容しているわけですね。
口下手ながら一生懸命に伝えようとする姿からは誠実さがうかがえることもあるので、その態度に好感が持てるといったニュアンスを含む場合があるようです。しかし、「とつとつと」話すのは、口下手な人とは限りません。
言葉を選びながら込み入った話をする時、疲れ切っている時、感情がほとばしっている時などには、普段は話し上手な人であっても上手く言葉にならないこともあります。そんな様子を表す場合にも、「とつとつと」が用いられます。
「とつとつと」の例文
- 彼女は、いつも自信なさげな様子でとつとつと話す。
- 日頃大人しいAくんがとつとつと話し出したので、クラス中が耳を傾けた。
- 普段の陽気な彼とは打って変わって、とつとつとした口調で後輩に苦言を呈した。
- 失敗の影響の大きさに気付いて青ざめていた彼が、とつとつと弁明を始めた。
- いつもは饒舌な上司も、トラブル対応で疲れ切っていたのか、とつとつとした口調だった。
- 試合後のインタビューで、彼女は悔し涙を拭いながらもとつとつと声を絞り出した。
「とつとつと」の類語
つっかえつっかえ
「つっかえつっかえ」とは、言葉がうまく出ずに口ごもりながら話す様子を描写する言い回しです。「つっかえ」を2回繰り返すことで、言葉に詰まることを強調しています。
「つっかえ」は「支え(つかえ)」が促音便化した言葉で、言葉がふさがってうまく先に出てこない状態という意味です。
【例文】
- 頭では分かっているんだが、口で説明しようとするとつっかえつっかえになってうまく話せない。
- 新人のBくんは、つっかえつっかえしながらも朝礼のスピーチを終えた。
たどたどしい
「たどたどしい」は十分に習熟していなかったり、機能が備わっていなかったりすることが原因で、滞りがちでおぼつかないという意味です。また、周辺の景色がぼんやりしていることや、音や声がわずかに聞こえるようなさまをいうこともあります。
話し方などに「たどたどしい」と使う場合は、なめらかに話ができずに口下手なさまを表します。言葉が出ずに途切れがちになる様子を指すというところは「とつとつと」と同じです。
【例文】
- 彼女は説明の仕方がたとたどしく、何がいいたいのかさっぱりわからない。
- 緊張するとたどたどしいしゃべり方になってしまうので、話し上手な人がうらやましい。
「とつとつと」反対表現に近い語
滔々と
「滔々と(滔滔と)」(とうとうと)とは本来、水が滞ることなく流れている様子を表し、物事がすんなりと一定の方向に流れていく様子にも例えられます。
派生して、人がつかえることなくすらすらと話すさまをいう時にも使います。「とつとつと」のような言葉につまりながら話すこととは、真逆の様子ですね。
【例文】
- Cさんの説明は滔々としていて、非常に分かりやすい。
- 彼の滔々と話し続けていたが、こちらが質問する隙を与えないようにしている節もあった。
喋々しい
「喋々しい(喋喋しい)」(ちょうちょうしい)とは、口数が多いうえに調子が良い、大げさであるといった意味で使われます。「とつとつと」のように口数が少ない様子とは全く異なり、「喋喋しい」はおしゃべりで軽はずみな様子を表す時に使われます。
【例文】
- Dさんは内輪の話も平気で大勢の人に触れ回る喋々しい人で、全く信用できないね。
- 彼女は喋々しく、無責任に針のことを棒のように言って面白おかしく騒ぎ立てる。