「ご満悦」とは?意味や使い方をご紹介

「ご満悦」は、堅苦しいイメージもある言葉ながら、年配層には比較的よく使われる表現です。とはいえ、本来の、目上、年上に対して用いる言葉、という定義を離れ、もっとカジュアルな使い方をされていることもあるようです。今回は「ご満悦」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「ご満悦」とは?
  2. 「ご満悦」の使い方
  3. 「ご満悦」に似た表現

「ご満悦」とは?

「ご満悦」「御満悦」とも書きます。読み方は(ごまんえつ)。少々変化球的な使われ方をする言葉ですが、まずは辞書上の定義をご紹介しましょう。

「ご満悦」とは、心が満ち足りて喜ぶこと、またそのさまを表す言葉です。「ご」がついていることから、基本的には、目上の人を対象として用いられる言葉です。

しかし、軽い皮肉やからかいの気持ちをこめて、対象の制限なく用いられる傾向があるため、軽い気持ちで目上の人に使うのは控えたほうがよいかもしれません。

「満」と「悦」の字義

「満」は、多義的ですが、どの意味も基本的に「満ちている」状態を共有しています。「ご満悦」の「満」は、ゆたか、という意味で使われています。

「悦」は、喜ぶ、うれしく思う、楽しむ、という字義です。したがって、「満悦」は、ゆたかであること、ゆたかな状況を喜び楽しむ状態であることがわかりますね。

「ご満悦」の使い方

「ご満悦」と滑稽感

「ご満悦」は、なぜ、皮肉やからかい、揶揄(やゆ)のような性質を帯びてしまう場合があるのでしょうか。まず、「満悦」は一般的な「喜び」よりも深く喜び満足している状態であることがポイントです。

喜びの感情を表すこと自体は素晴らしいことに相違ありません。ですが、謙譲の美が尊いという日本の精神文化の影響もあるのか、一人だけで深く満足し喜ぶ姿は、自己満足の気配が漂うこともあるのです。

ひとりでにやにやと喜ぶような「満悦」は、他者に「はいはい、ご満悦ですね」と、滑稽な様子や「おめでたさ」を感じさせてしまう場合があるということですね。

「ご満悦」を使う実際の対象

「ご満悦」は、目上の人に使うというイメージもある一方で、皮肉・からかいを込めて同輩、年下などに使われることも少なくなく、実際はすべての人を対象として使うことができます。

たとえば、ミルクをたっぷり飲んだあとの乳児にさえ「ご満悦ね」などと言います。この場合は皮肉というより、その満足げな表情に愛らしさ、おかしみをみて、ちょっとしたからかいの意味が入っての表現と言えましょう。

大統領などの権力者に「ご満悦」と使う場合、単純に「満悦」を尊敬語で表すこともある一方、国民すべてが幸福であるわけがないことを念頭に、権力者が深く喜び満足している姿が「おめでたい」という皮肉の視線がこもる場合も少なくありません。

「ご満悦」の文例

「ご満悦」は、「~はご満悦だ」という言い方に加え、「ご満悦の様子」「ご満悦の体(てい)」という定型的な言い回しもあります。

  • 大統領は、建国記念のセレモニーの見事な演出に、いたくご満悦だった。
  • 首相は、各派閥を掌握したことを確かめ、ご満悦の体だ。
  • 鈴木君は、バレンタイン・デーに、はたからはすべて義理チョコとわかるチョコレートを机に並べ、ご満悦の様子だ。

「ご満悦」に似た表現

「ご満悦」をほかの言葉で言い換える場合は、「満悦」の類語に、尊敬の意味を加えること考えればわかりやすいでしょう。

お喜び

「お喜び」は、「喜び」を丁寧に言った表現です。お喜びであられた、お喜びでいらっしゃる、などの表現を覚えておきましょう。

「ご満悦」に比べると皮肉めいたニュアンスは薄めで、目上の人に対しては、このような言いまわしのほうが無難といえます。

文例:海外支店のご成功、さぞお喜びであられることと存じます。

愉悦

「愉悦」(ゆえつ)は、心から喜ぶことを表す文章語です。「ご愉悦」という言葉はありませんので、「愉悦を味わわれている」「愉悦に浸られている」などと表現します。

文章:次々と領土を獲得していく皇帝は、深い愉悦に浸られているご様子だった。


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