「希釈」とは?意味や使い方をご紹介

「希釈」<きしゃく>と書くと難しそうに感じる人もいるかもしれません。しかし、実は、お酒をソーダ水で割る、濃縮されたスープを湯や牛乳で薄めるなど、「希釈」は私たちが日常生活で行っていることなのです。今回は「希釈」の意味や使い方について解説します。

目次

  1. 「希釈」の意味
  2. 「希釈」の使い方
  3. 「希釈」と「混合」
  4. 「希釈」の類語

「希釈」の意味

「希釈」<きしゃく>とは、「ある溶液に溶媒を加えて濃度を薄めること」です。「溶媒」<ようばい>とは、ほかの物質を溶かす液体を指しています。この場合は液体に液体を溶かすわけですから、分量が多い方を言うのです。

身近な「希釈」

「希釈」いうと理科の実験を思い出して嫌になる人もいるかもしれません。しかし、私たちは日常生活の中でよく「希釈」を行っています。

たとえば、市販のめん汁には「ストレートタイプ」と「3倍濃縮タイプ」のようなものがありますね。この「○倍濃縮タイプ」は、水や湯で薄めて使うものです。

「3倍濃縮タイプ」であれば、総量に対してめん汁が1/3になるように希釈しますから、「めん汁:水」の割合は「1:2」。つまり、めん汁が50mlであれば水を100ml加えて薄めれば良いわけですね。

このほかにも、シロップや酒といった飲料や、農業や園芸で使う除草剤や液体肥料など、希釈して使うものは身の回りに沢山あります。こうして考えると、「希釈」という言葉に対するハードルも下がるのではないでしょうか。

「希」と「釈」の字義

「希」は音読みでは<キ・ケ>、訓読みでは<こいねが-う・まれ>と読みます。字義は複数ありますが、「希釈」の場合は「かすか・まばら」という意味です。

一方、「釈」は音読みでは<シャク・セキ>、訓読みでは<お-く・と-く・と-かす・ゆる-す>と読みます。こちらも複数の字義がありますが、ここでは「溶かす・薄くする」という意味です。

「希釈」の使い方

「希釈」は上で説明したとおり、溶液を溶媒で薄めることを指しますが、「薄める・薄まる」ことの比喩として用いられることもあります。

【例文】

  • ルームスプレーは、無水エタノールと混ぜた精油を、水で希釈すれば作れる。
  • エアブラシで使う塗料はその塗料専用の溶剤で希釈して使用する。
  • 夜通し喋って話が尽きかけた頃、昇り始めた朝日が夜の闇を希釈していった。
  • ネット上に溢れているのは、真実がデマや戯れ言で希釈された情報だ。

「希釈」と「混合」

「混合」とは

「混合」<こんごう>とは「いくつかの物を混ぜ合わせること・異なる性質の物が混ざり合うこと」という意味です。

「希釈」と「混合」の違い

先に例に挙げた、「めん汁を水で希釈する」ことは、結果として「めん汁に水を混合した」とも言えます。

「3倍濃縮タイプ」のめん汁の場合、「めん汁を水で3倍に希釈する(めん汁:水=1:2)」、または「めん汁と2倍の量の水を混合する(めん汁1+水2)」ということですね。

しかし、「希釈」は溶液を溶媒で薄めることを指します。よって、スパイスのような粉末同士を混ぜること、食塩を水に溶かすこと、接着剤のA液とB液を混ぜることなどは「混合」と言い、「希釈」と言うことは出来ません。

「希釈」の類語

「延ばす」

「伸ばす」<のばす>にはさまざまな意味がありますが、「希釈」の類するのは「水などを加えて薄める」という意味です。「この油性塗料は溶剤で伸ばしてから塗るタイプだ」「障子を貼るために糊を水で伸ばした」のように用いられます。

<のばす>は「延ばす」という表記もあります。この意味で用いる場合の表記を区別していない地所もありますが、「伸ばす」と書くのが一般的なようです。

「割る」

「割る」も複数の意味を持つ言葉ですが、「希釈」に類するのは「ある液体に別の液体を混ぜ合わせて濃度を薄くする」という意味です。「希釈」に極めて近いと言えるでしょう。

「シロップを炭酸水で割ってメロンソーダを作った」「芋焼酎はお湯で割るのが好きだ」のように使います。

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