「行き詰まる」とは
「行き詰まる(ゆきづまる/いきづまる)」とは、道がなくなって先へ進めなくなることです。そこから、一般的な語彙では、人間生活において物事がうまく前へ進まないことを意味する言葉です。
人は、生きていくうえで様々な活動をしていますが、その活動が何かの障害で順調に進まないときがあります。そのような時に「行き詰まる」とか「行き詰まった」といった言葉で表します。
送り仮名のゆれから、「行詰まる」や「行詰る」と書かれることもあります。
「行き詰まる」の使い方
- 会社が突然倒産して失業してしまったため、婚約者との結婚の予定が行き詰まってしまった。
- 汚職事件の捜査中に重要な証人が自殺したため捜査が行き詰まってしまった。
- 日本の債務額は1000兆円と言われているが、これは国の財政が行き詰まっているということだ。
- 小説のアイデアに行き詰まって、連載がストップしてしまった。
- 資金繰りで行き詰まっていたプロジェクトに新しい支援者が見つかり、再開することになった。
「行き詰まる」の類語
「行き詰まる」の類語には、壁に突き当たる・停滞する・万策尽きる・抜き差しならなくなる・にっちもさっちもいかなくなる・立ち往生する・煮詰まるなどたくさんありますが、この中からいくつかをご紹介します。
「壁に突き当たる」
「壁に突き当たる」は、文字通り目の前に壁が立ちはだかって前へ進めたくなることです。このことから、進んでいた物事が障害のために進めることができなくなる(行き詰まる)ということを意味する慣用句として使われています。
「行き詰まる」とほとんど同じ意味の言葉なので、上記の例文に置き換えても意味が通じるものがあります。
【例文】
- 新型感染症ウイルスのワクチン研究が壁に突き当たって開発が遅れている。
- 「将来、人生の壁に突き当たったら、一度、振り返って出発点に戻ってみることも必要だ」と恩師から言われた。
「万策尽きる」
「万策尽きる(ばんさくつきる)」は、仕事などで発生した問題解決のために、できる限りの手段や方策をとっても効果がなく、解決する手段がなくなってしまった状態のことです。
「行き詰まる」よりもさらにひどい状態で破綻寸前とも言えますが、ここから起死回生(きしかいせい)、挽回するケースもあります。
【例文】
- 今年の将棋○○戦第2局は、二日がかりの長期戦となったが、挑戦者が万策尽きて投了した。
- 周りを敵に包囲され、武器弾薬も底をつき、万策尽きたと思ったときに援軍が敵を背後から攻撃し、敵の混乱に乗じて窮地(きゅうち)を脱した。
「立ち往生する」
「立ち往生する(たちおうじょうする)」は、立ったまま死ぬことです。そこから、電車や自動車が事故などで動きが取れないことや物事が行き詰って身動きできない様子を表す言葉として使われています。
「立ち往生」は、源義経(みなもとよしつね)の家来・武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)が衣川の合戦で義経を守るために橋の中央に立ち、無数の矢を全身で受けて、立ったまま(仁王立ち)死んだという伝説に由来します。この場面を映画などで見た人もあるでしょう。
【例文】
- 生徒から予想外の質問をされて、教壇で立ち往生してしまった。
- 国会の代表質問で、首相は野党議員の激しい質問に答弁ができず、壇上で立ち往生し、官僚が走り回っていた。
「煮詰まる」
「煮詰まる(につまる)」は、料理を長時間煮て水分がなくなることです。ここから、本来は議論や検討が十分に尽くされて、結論を出す状況に至ったことを意味する言葉です。
しかし、文化庁の平成25年度の調査結果によると、本来の意味とは反対の議論が行き詰まって、結論が出せない状態になることという意味で使う人が40パーセントもいることが明らかになっており、現在ではこの意味でも一般的に使われています。
【本来の意味の例文】
- 新プロジェクトの計画が煮詰まり、あとは株主総会の承認を得るだけだ。
- 改正法案も煮詰まってきたので、予定通り国会提出の準備を始めよう。
【行き詰まるという意味での例文】
- 仕事が煮詰まって前へ進まない。気分転換して発想を変えないといけないようだ。
- 卒業制作が煮詰まってしまい、教授にアドバイスを求めた。