「狂気」とは
「狂気(きょうき)」とは、異常な精神状態、常軌(じょうき)を逸(いっ)した精神状態のことです。漢字をそのまま読むと、気が狂う、狂ったということになりますね。
このような状態は、通常、病気として治療が必要な状態と言えます。しかし、病気に近いような精神状態になって、周りから言動が「狂気=常軌を逸している」と思われることをする人はいますし、それが事件がらみだと報道で知ることもあります。
また、学問や芸術などに深く没頭して、常人ならしないような言動をする場合にも「狂気」と言われることがあります。
医学上の「狂気」
「狂気」は異常をきたした精神の状態を言いますが、現在では「精神障害」という言葉が精神的な病気を表すのによく使われています。
精神障害には、心因性のものや性格・身体的(器質的)原因によるもの、薬物によるもののほか、統合失調症など一般にも知られているものがあります。
「狂気」の使い方
医学上の「狂気」については、医師が診断するものですから例文などを示すことは控え、ここでは、それ以外の「狂気」について例文をご紹介します。
「例文」
- いくら仮装行列でも、真夏の炎天下に衣装を着こんで焼けたアスファルトの道路を行進するなんて、狂気の沙汰としか思えないよ。
- その彫刻家が、大理石に一心不乱に鑿(のみ)を打ち込む姿は、見る者に狂気に近いものを感じさせた。
- この猟奇(りょうき)小説は、人間の異常心理について深く探求し、主人公の天才科学者の狂気を見事に表現している。
- 群衆心理学によると、人間は集団の中では思考停止の状態になって、些細(ささい)なきっかけで狂気に満ちた行為をすることもあるらしい。
- ネグレクトで幼い子供を死なせた親の行動は狂気としか思えない。
「狂気」の対義語
「狂気」の対義語は「正気(しょうき)」です。「正気」は、正常な精神状態や判断力が正常なことです。気が確かな状態とも言えるでしょう。
「正気」という言葉を使うときは、一般的な考え方からすると理解に苦しむような言動があり、その言動に対する感想や評価として使われることが多いようです。
【例文】
- いくらトライアスロンの練習だからと言って、真冬の湖で泳ぐなんて正気の沙汰とは思えない。
- 彼女は、あまりのショックに呆然としていたが、夫の声で正気に返った。
- ボーナスを全部競馬で摩(す)るなんて、正気の人間がすることじゃない。
- 浮世離れした彼の話は妄想としか思えず、みんなは彼の正気を疑っていた。
「狂気」の類語
「狂乱」
「狂乱(きょうらん)」は、正気を失って異常な言動をすることです。ここから派生して、物事が異常な様子であることも「狂乱」と言います。
前者の意味では、実際に精神に異常をきたして狂乱することもありますが、体験した出来事などに過剰に反応して、感情のコントロールができなくなって狂乱する場合もあります。
【例文】
- 夫の浮気相手を見た途端、彼女は半狂乱になって飛びかかっていた。
- 1974年、日本で起こった異常な物価上昇は狂乱物価と言われ、トイレットペーパーなどの買い占め騒動が起こった。
「気違い」
「気違い(きちがい)」は、「気狂い」とも書きます。意味は、精神状態が正常でないことや、気が狂った人です。また、なにかの物事に異常なほどこだわって熱中すること、あるいはそういう人(マニア)を意味する場合もあります。
現在、「気違い」は、差別用語・放送禁止用語(メディア上で使用が忌避される単語)などとして、メディアが使用することを自主規制しています。
【例文】
- ワンマン社長の気違いじみた会社経営と経費の浪費に対し、組合は猛反発した。
- 祖父は釣り気違いで、毎朝近くの港へ釣りに行き、一日中釣りをしていた。
「ヒステリー」
「ヒステリー(英語:hysteria)」は、医学的には神経症の一種とされていて、痛みや運動・知覚の麻痺(まひ)、嘔吐(おうと)、発熱といった身体症状や、物忘れなどの症状が表れる状態だそうです。
また、医学的な定義とは別に、自分の感情をコントロールすることができずに激しく興奮したり、怒ったり、悲しんだりする様子をいうことがあります。周りから見ると狂気と見えることもありますね。
【例文】
- 妻のヒステリーの原因は、夫である自分が仕事にかまけて家事育児を一緒にしなかったからだと思う。
- 社長は、今回のプロジェクトの失敗による損失に怒りを爆発させ、ヒステリー状態になって担当者を罵倒し続けた。