「堅牢」とは
「堅牢(けんろう)」とは、「物がかたく丈夫で、壊れにくくできていること。また、そのさま。」という意味です。建物など、構造の強さを表現する際に使われることが多いでしょう。しっかりとしていて丈夫な造りだ、というニュアンスですね。
「堅」は、文字通り「かたいこと」を指します。他方、「牢」は「牢屋」のように「罪人などをつないでおくところ」を表すこともありますが、ここでは「かたいこと。丈夫なこと」という意味で用いられています。
もう一つ、「堅牢地神(けんろうじしん)の省略したよび名」を指す場合もあります。こちらについては、次項で解説していきます。
「堅牢地神」
「堅牢地神(けんろうじしん)」とは、仏教の護教神で、十二天の一尊で大地を守る神のことです。万物を支えて堅牢であることからこのように呼ばれ、「地天(じてん)」とも称されます。
釈迦の成道(じょうどう:修行して悟りを開き仏となること)のとき地中から出現して証人となったとされています。
「堅牢」の使い方
「堅牢」は、日常会話で用いられることは少ないかもしれません。近年は、建造物に限らず、コンピュータやインターネット関連の用語として使われる例もみられます。
例文
- このビルは、堅牢で重厚な感じがあって、建築から100年近く経つとは思えない。
- カーボンファイバーは軽くて堅牢なことから、航空機の素材としても採用されている。
- この腕時計は、堅牢かつ洗練されたデザインが魅力で、時代が変わっても根強い人気がある。
- 当社は、あらゆる現場での使用に耐える堅牢性や操作性に優れたタブレットパソコンを揃えています。
- 情報セキュリティ対策として、ウイルスや不正アクセスなどの脅威から守ることのできる、堅牢なシステムが求められている。
「堅牢」の類語
「頑丈」
「頑丈(がんじょう)」とは、「物や人、動物の体がきわめて丈夫なこと、強いようす。」を表す言葉です。「堅牢」とほぼ同じ意味を持ちますが、こちらのほうがやや身近な印象があるかもしれません。
現在では一般的に使用されている「頑丈」という漢字表記は、明治以降の用字だと言われています。それまで「がんじょう」は、「岩乗・岩畳・巌丈・頑畳・五調」など、多様な表記で使用されていたということです。
【例文】
- 大統領の専用車は、非常に頑丈なつくりで、重さは9トンとも言われている。
- 若い頃から頑丈な体が自慢で病気一つしなかったのに、脳梗塞で運ばれるとは夢にも思わなかった。
「堅固」
「堅固(けんご)」の意味は以下の3つです。1の意味において、「堅牢」の類語と言えるでしょう。
- 守りがかたく、攻められても簡単に破られないこと。
- (1から転じて)意志がかたくて、しっかりしていること。
- じょうぶで、健康なこと。
【例文】
- 自然災害が多い地方では、それに備える堅固な建物が必要だ。
- ダイエットは、堅固な意思を持って取り組むことが大切だ。
「頑強」
「頑強(がんきょう)」には、以下の2つの意味があります。
- 自分の考えや態度をかたくなに守って、外からの圧力に容易に屈しないさま。がんこで強情。
- 人や物が、がっちりしていて丈夫なこと。
1の意味は、自分の意志は絶対に変えない、という強い姿勢を表現することができます。「堅牢」の類語としては、2の意味が当てはまりますが、こちらは人の体や動物に対しても用いられます。
【例文】
- 私の父は熊本生まれのもっこすで、誰に何と言われようが、自分の考えを変えることはありませんでした。
- 彼は、頑強な体と強靭(きょうじん)な精神力で世界と戦い、オリンピックチャンピオンとなった。
「堅牢」が含まれる四字熟語
「堅牢堅固」
「堅牢堅固(けんろうけんご)」とは、「守りが非常に堅く頑丈な為、たやすく突破されたり、動じたりしないさま。堅くて丈夫なさま。」を意味します。「堅牢」と「堅固」から成る四字熟語で、似た意味の語を重ねて強調しています。
物理的に非常に堅く丈夫なことから、防犯・防災設備(用品)などの表現に用いられることも多いでしょう。
【例文】
- 難攻不落、堅牢堅固な要塞に少数精鋭で挑むという内容の、「ナバロンの要塞」という映画があります。
- 当銀行には、最新式の堅牢堅固な金庫が据え付けてあるので心配いりません。
「堅牢無比」
「堅牢無比(けんろうむひ)」とは、「他に比べるものがないくらいしっかりとしていて、壊れにくくできていること」を表現する言葉です。「無比」は、「比べるものがないこと」という意味で、主に名詞や形容動詞の語幹について用いられます。
【例文】
- 現在の城跡に残っているのは石垣だけだが、資料を読むに堅牢無比な名城だったようだ。
- 荒涼とした大地の一角に、堅牢無比な城壁に囲まれた広大な街がある。