「隣の芝生は青い」の意味
「隣の芝生は青い」とは、自分のものより他人のものの方が優れているように感じる心理を意味することわざです。「青い」は色のことではなく、青々としている、つまり綺麗に見えるという意味です。「隣の芝生は青く見える」と表現することもあります。
元は「The grass is always greener on the other side of the fence.」という英語のことわざで、直訳するなら「フェンスの向こうの草はいつも綺麗だ」となります。海外では自宅の庭に芝生を敷き詰めることが一般的で、そういった文化的背景から、このことわざが生まれたと考えられます。
「隣の芝生は青い」の使い方
「隣の芝生は青い」は、他人への嫉妬心を宥めたり自制したりする際に使われることが多いです。例えば、自分の家庭よりも同僚の家庭の方が幸せそうに思えたり、もっと身近なものであれば、自分が頼んだ料理よりも友人が頼んだ料理の方が美味しそうに思える時に、「隣の芝生は青く見えるものだ」と自分に言い聞かせたりします。
また、本当は大した差はないのになぜか他人のもののほうが優れているように思えること、を「隣の芝生は青い」というので、あからさまに差があるとき、例えば、モテない人がモテる人に嫉妬したり、ファーストフードを食べている人が高級料理のフルコースを食べている人を羨んだりすることを「隣の芝生は青い」と表現するのは適切ではありません。
「隣の芝生は青い」の類義語
「隣の芝生が青い」と似た意味のことわざはたくさん存在します。その中からいくつかご紹介します。
「隣の花は赤い」
「隣の芝生は青い」と全く同じ意味のことわざです。こちらは輸入されたものではなく、日本で生まれたものです。また、「隣の薔薇は赤い」や「人の花は赤い」、「よその花は良く見える」と表現することもあります。
「他人の飯は白い」
こちらも同様の意味です。他にも「他人の飯は赤く見える」という表現も存在します。この「赤」というのは赤飯のことを指します。昔は白飯よりも赤飯のほうが贅沢なものだったので、そういった表現が生まれました。
どれも語感が非常に似ていて、おそらく、「The grass is always greener on the other side of the fence.」を日本語に翻訳する際に参考にしたのか、あるいは「隣の芝生は青い」を日本的なものに置き換えようとして、似たようなことわざがいくつもできたのではないかと考えられます。
「隣の家族は青く見える」
2018年の1月から3月にかけてフジテレビで放送されたテレビドラマに、「隣の家族は青く見える」というものがあります。子供が欲しいカップル、子供を欲しがらないカップル、男性同士のカップル、幸せを装う夫婦。それぞれがなにかしらの問題や悩みを抱えた四組がコーポラティブハウスで生活するという趣旨の作品です。タイトルが「隣の芝生は青い」のモジりなっていることからもわかるように、それぞれのカップルが周りと自分たちを比べ葛藤し、そして成長していく物語です。
注釈、コーポラティブハウスとは
分譲マンションや建売住宅とは違い、希望者が集まり自分たちの条件に見合うように建てた集合住宅のことをコーポラティブハウスを言います。注文住宅のマンションと考えるとわかりやすいと思います。