「蓋然性」とは?意味や使い方をご紹介

「蓋然性」という言葉をご存知でしょうか。「がいぜんせい」と読みます。「蓋然」とはいっけん難しそうな言葉に感じられるかもしれませんが、一度意味を覚えてしまえば、案外身近な言葉だと理解されることでしょう。ここでは、「蓋然性」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「蓋然性」の意味
  2. 「蓋然性」の使い方
  3. 「蓋然性」の類語・関連語

「蓋然性」の意味

「蓋然性」(がいぜんせい)とは、「ある事が実際に起こるか否かの確実さの度合い」あるいは「確率」を意味する言葉です。

「蓋然」の「蓋」は、容器などの口をふさぐ「ふた」のことです。まずは、「実際に蓋を開けてみるまで、(中身が)わからない」と考えれば、「蓋然性」という言葉を覚えやすくなるかもしれません。

「確からしさ」を言及する言葉

「蓋然性」という言葉は、「確実さの度合い」、つまり「その物事は実際にどの程度、確からしいのか」という点に意味の重きを置いています。

つまり、「その物事がありえるかありえないか、まったくわからない、予想すらつかない」という場合には「蓋然性」という言葉は適しません。

「予測や推定として、ほぼ確からしいと思われる(もしできるなら、あとは実際に蓋を開けて確認・検証を行うだけ)」というやや高めの確率を「蓋然性」と呼ぶと捉えましょう。(※類語・関連語もご参照ください)

「蓋然性」の使い方

「蓋然性」は、基本的には数学で言うところの「確率」に近い言葉です。よって、例えば「今日は雨が降りそう」と思った場合には、「雨が降る蓋然性が高い」と言うことができます。「蓋然性」を数量的に考えたものが「確率」と言ってもよいでしょう。

また、「蓋然性」という言葉自体に「蓋を開ければ当然そうであろう確率」という含意がありますから、「高い/低い」という尺度以外にも、(蓋然性が)「ある/ない」という形で言い表すこともできます。

やや専門的な言葉

蓋然性は「確率」とよく似た意味ではあるものの、日常会話で使う人は少なく、少々専門的な領域で使われている言葉です。法律、学問、あるいは確率論的な「推定」が重要な意味を持つ投資などの分野で見聞きする機会が多いでしょう。

しかし、言葉自体は難しくても、自然世界は非決定的であり蓋然性に満ちています。そのため、「明日の天気」など、日常的な物事でも幅広く「蓋然性」を見つけることができます。

例文

  • これまでに収集された状況証拠から、彼が事件の犯人である蓋然性は高いと言えた。
  • 残念ですがこのスピーチ内容では、市民を納得させられる蓋然性は低いでしょう。
  • 実験して確認するまでは100%正しいとは言えないまでも、いくつかの経験的事実から、この仮説には高度な蓋然性が認められる。
  • 彼が勝つ、という蓋然性に全財産を賭ける勇気はない。
  • この世のあらゆる蓋然性を考慮することは不可能だ。ある程度は、不完全な情報から自分の行動を決定するしかない。

「蓋然性」の類語・関連語

可能性

「蓋然性」とよく似た言葉に「可能性」があります。「可能性」は「蓋然性」よりも予想される確率の範囲が広く、「蓋然性がないこと」でも「可能性があること」と呼べる場合があります。

例えば、「明日、地球が(隕石衝突などの原因で)丸ごと消滅する可能性」はあります。「0%」でない以上、どんな物事も「可能性はある」と言えるからです。ただし、同じ文で「蓋然性がある」とは言えません。

なぜなら、「明日、地球が丸ごと消滅する出来事」が確からしい(確率が高いといえる)根拠はどこにもないからです。(地球の直撃コースにある巨大隕石が発見されれば、地球消滅の蓋然性が発生します)

必然性

「必然性」(ひつぜんせい)とは、「何かがそれ以外ではありえないこと、必ずそうなること」という意味の言葉です。

何事かの物事に「必然性がある」ということは、「蓋を開けなくてもわかる(100%)」ということですので、「蓋然性」を考慮する機会は否定されます。その観点から、「必然性」は「蓋然性」の対義語といえます。

ただし、「どのような因果関係をもって必然性があるとするか」を考えるにあたって、その「確率の度合い」が「蓋然性」という言葉で言い表されることもあります。

偶然性

「偶然性」とは、「物事に因果関係がなく予期せずに起こるさま」という意味の言葉です。まったく予期せずに物事が起こるわけですから、「物事の確からしさ」に言及する「蓋然性」とは一見関係がなさそうです。

しかし、ある物事が起こった際、それがどのような原因で起こったか解明できない場合はどうでしょう。それは「偶然性」によって起こったものなのか、何らかの「必然性」や「蓋然性」があったものなのか、区別することは困難です。

「蓋然性」とは、「必然」であるとも「偶然」であるとも言い切れない、必然性と偶然性がからみあった、中間的な物事の確からしさを言い表す言葉であるとも言えるでしょう。


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