「不快」とは
「不快」は、人間の五感の作用を通じて心身が感じたことを表現する言葉のひとつです。意味は以下の通り3つあります。
- いやな気持になること。不愉快なこと:「不快感。不快な気分」など
- やまい。病気。健康状態がよくないこと。
- 仲が悪いこと。
ただし、2と3の意味は、主に古典で使われており、現代では、もっぱら1の意味で使われています。
「不快」と対をなす「快」
一方、「不快」と対をなす「快」には、以下の意味があります。
- 気分が良い。こころよい。よろこばしい:「快活。快挙。快調」など
- 病気が治る:「快方。快癒(かいゆ)」など
- はやい:「快速。快足」など
「不快」は、打消しの「不」を前において1の意味の「快」を否定して上記のような意味になっています。
「快」と「不快」
心理学で「快・不快」は、人間の行動を理解するための最も基本的な心的属性の1つと定義しています。例えば、動物は「快」をもたらす刺激を得ようとして対象に近づきますが、「不快」をもたらす刺激からは逃げようとしたり、「不快」な状態を解消する刺激を求める行動をします。
こういった行動は、動物が環境に適応して、生存を維持する確率を高めるための基本的な原理であるとされています。人間も動物ですからこの行動原理が当てはまります。
誰しも、「不快な気持ち」になると気分転換をしたり、そういう気持ちの原因となった対象を避けたり、逆に攻撃的になったりしますね。言葉の面から見ても「不満・不興・不愉快・不服・不平・不和」など「不快な気持ち」を含んだ「不」がつく言葉だけでもたくさんあります。
「不快」の使い方
ここでは「不快」の使い方と一緒に、対になっている「快」についても例文を挙げて使い方をご紹介します。
視覚による「不快」と「快」
- 裁判員として事故の悲惨な写真を見た瞬間、不快感と嫌悪感で正視に堪えなかった。
- 風にたなびく木々を描いた夏の風景画を見て、何とも言えない爽快な気分になった。
聴覚による「不快」と「快」
- 新進作曲家の不協和音ばかりで構成された新曲を聴いて不快な気分になり、第二楽章を聞かずにホールを出た。
- モーツァルトの曲を聴くといつも快適な心持に満たされる。
嗅覚による「不快」と「快」
- 我が家の近所にあるごみ屋敷の悪臭による激しい不快感に悩まされている周辺の住人は、なかなか対処しない市役所の対応に不信感を募らせている
- 彼女が通り過ぎた後は、快い春風のような爽やかな残り香が漂っていた。
味覚による「不快」と「快」
- 「良薬は口に苦し」というけど、粉薬は舌触りが悪くて不快感が大きいから飲みたくない。
- 今年の新酒は、ちょっと辛口で舌に快い酸味を感じさせ、さっぱりした飲み心地に仕上がった。
触覚による「不快」と「快」
- あの水族館では、サメの背中を触れるけど、ザラザラして不快な感じだった。
- 猫の肉球のプニプニ感が、とても心地よくて何とも言えない快感だ。
「不快」の類語
「いやらしい」
「いやらしい」は「嫌らしい」と書き、①「嫌な感じがする。不快感を感じる」、②「性的な不潔感を感じさせる」などの意味があります。どちらの意味にも「不快」な気持ちが籠(こも)っています。
【例文】
- 課長は、イエスマンのくせに、陰で部長の悪口をいういやらしい奴だ。
- 彼は、女性をいつもいやらしい目で見ているから、みんなから嫌われている。
「うっとうしい」
「うっとうしい」は「鬱陶しい」と書きます。意味は、①「心がふさいで晴れない」、②「じゃまで煩わしい。うるさい」などです。これらの意味にも「不快」な気持ちがよく表れています。
【例文】
- 残業続きで疲れているせいか、いつもと同じ妻や子供の声がうっとうしく感じてしまう。
- 梅雨に入るとうっとおしい天気が続き、気持ちがふさぎ込んでしまうことが多くなる。
「気持ち悪い」
「気持ち悪い」とは、①「心身の状態が悪い。気分が悪い」、②「見た目や触った時の感じが良くない」、③「心が晴れない。釈然(しゃくぜん)としない」という意味があります。
①は「体調」、②は「外部的な刺激」、③は「精神的」に悪い感じ、つまり「不快感」を表しています。
【例文】
- 夕べ飲みすぎて気分が悪い。二日酔いだ。
- 娘の彼氏の服装と態度がチャラ男ぽっくて、なんか気持ちが悪い。
- 突然、上司に訳もなく怒られて、後で勘違いだったと謝られたけど、胸の気持ち悪さが全然晴れない。