「ワンオフ」とは?
「ワンオフ」(one-off)とは、「ある目的のためにひとつだけ作ること、および、その作られたもの」という意味の言葉です。
比較的歴史の浅い言葉であり、基本的には「特注(品)」や「オーダーメイド」とほぼ同義であると考えて差し支えありません。あるいは、「試作品」「プロトタイプ」といった意味で使われることもあります。
ただ、意味の上では「ワンオフ」と呼べても、業界によってはこの言葉が使われない場合もあり、どういったものを指して「ワンオフ」と呼ぶかは業界によって異なります。
「one-off」
「ワンオフ」は英語の「one-off」に由来します。これは、元々は話し言葉の中で「一度限りのこと」を意味しました。「ひとつ」のもの(one)が、後に続くものが何もないままどこかへ離れていく(off)というイメージですね。
現代において「製品」は、大量生産・大量消費が基本です。工場のラインは動き続け、同じ機能を持った同じ製品が生産ラインを出て次々と市場へ供給されていきます。
それに対し、たったひとつの何かを作るために設計・組み立てを行い、それを生み出したあとは原則として同じものを二度と生み出さないという考え方が「ワンオフ」です。
「ワンオフ」の使い方
「ワンオフ」は、主に「ワンオフパーツ」「ワンオフ機」「ワンオフの車両」などといった形で、ある目的のために製作された一個限定のもの、を指して使います。
その「目的」とは、顧客の特別な注文(オーダー)、大量生産前のプロトタイプの製作、耐久試験用の機体製作、ある道具をうまく働かせるための補助的な道具(治具:じぐ)の製作など、さまざまです。
「ワンオフ」は大量生産によるコストカットを考慮せずに「技術追求」「思想追求」「ニーズの追求」を行ったものであることも珍しくなく、しばしばその製品の機能とは別に「ロマン」「希少品」「限定品」といった付加価値とともに語られます。
「工業製品」のイメージ
はっきりそうと決まっているわけではありませんが、「ワンオフ」は主に「工業製品」というイメージで用いられます。この場合の「ワン」には「加工され、組み立てられて『ひとつ』になったもの」というニュアンスがあるからです。
そのため、バイクや車両のなどのカスタマイズにおいてはしばしば聞かれる「ワンオフ」ですが、食料品や衣料品・装飾品の世界ではあまり使用されません。(その代わり、「オーダーメイド」や「オートクチュール」といった用語が聞かれます)
例文
- バイクのカスタムをしたいが、改造を重ねたバイクなので市販品の中にぴったり合うものが見つからない。高くつくが、販売店にワンオフのパーツ製作を依頼しよう。
- その戦闘機は量産が計画されていたがのちにすべてキャンセルされ、技術検証用の一機のみがワンオフで作られたのみで、その歴史を閉じた。
- 量産されたマシンでは彼の突出した才能を生かせないため、メーカーは彼のためにワンオフの「スペシャル・モデル」を開発した。
アニメ『わんおふ -one off-』について
『わんおふ -one off-』とは、2012年冬に公開されたOVA(オリジナルビデオアニメーション)作品です。ホンダが協賛していることで話題を集め、可愛い絵柄で「女子高生+バイク」という異色のテーマを扱ったことで人気を集めました。
タイトルの「わんおふ」は本項で扱った「ワンオフ」に由来し、バイクの改造についてだけではなく、「自分だけの大切なものを見つける」という作品テーマにも意味が掛かっています。