「同郷」とは?意味や使い方をご紹介

「同郷」という言葉があります。「同郷のよしみ」や「同郷の友人」などの表現を耳にした経験がある方も多いでしょう。ノスタルジックな感じのする言葉ですが、よい印象を持っていない人もいるかも知れません。この記事では、「同郷」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「同郷」とは
  2. 「同郷」の使い方
  3. 「同郷のよしみ」とは
  4. 「同郷」の関連語

「同郷」とは

「同郷(どうきょう)」とは、「故郷(こきょう)がおなじであること」を意味する言葉です。

「故郷」は、「郷里(きょうり)」「ふるさと」「郷土」「田舎(いなか)」「生国(しょうごく)」「出身地」など多くの同義語を持ちます。これらに共通する意味は「生まれ育った土地」です。

「生まれた土地」は、誰にとっても1つずつあるものです。しかし、「育った土地」は、人によってさまざまなケースが考えられます。

例えば、里帰り出産で生まれた人、親の転勤やその他の事情で出生後しばらく住んでいた土地を離れた人、親が転勤族で数年おきに引っ越しを繰り返した人などが、どこを「自分が育った土地」と認識しているか、はその人にしかわからないことです。

これらの様々な事情と住んだ(育った)期間、その土地や人々に対する思い入れなどが絡み合っているため、「同郷」という時の場所(土地)は、人によって異なります。
 

「同郷」の使い方

  • 以前、彼の会社は、社長の方針で、社長と同郷の人を積極的に採用していたそうだ。
  • 私の大学には出身地別の同郷会がある。
  • 海外に移住した人々は、日本人同士としても、同郷人同士としても互いに助け合ってきた。
  • 彼が賃貸マンションを借りるとき、同郷のよしみで保証人になった。
  • あんな破廉恥(はれんち)な犯罪を犯した政治家と同郷だなんて、考えるだけで腹が立つ。

「同郷のよしみ」とは

故郷が同じ人たちの間では、よく「同郷のよしみ」という言葉が交わされることがあります。この言葉はどういう意味を持っているのでしょうか。

「よしみ」は、漢字で「好み・誼み」と書きます。意味は二つあり、①「親しい間柄。親しい交わり」、②「親しい間柄から生じる好意や情。縁故。ゆかり」です。つまり、「同郷のよしみ」とは、「故郷が同じであることから生じる好意や縁」のことを言います。

【例文】

  • 大学の先輩から同郷のよしみで借金を申し込まれたが、断った。
  • 職場の上司から同郷のよしみで紹介された女性と結婚することになった。

「同郷」の関連語

「故郷」

「故郷(こきょう)」は、「生まれ育った土地。ふるさと」という意味です。「同郷」と同じ意味で「故郷が同じ」という表現が使われます。

「故郷」の対義語に「異郷(いきょう)」があります。「異郷」は、「故郷や母国を遠く離れたよその土地。異国」という意味です。「同」の対義語が「異」なので、「異郷」は「同郷」の対義語のように思えますが、対義語ではありません。

【例文】

  • 星のきれいな夜には、故郷の星空を思い出す。
  • 故郷の両親の介護のために仕事を辞めざるを得なくなった。

「県人」

「県人」とは、「特定の県の出身者」「特定の県に住んでいる人」を指します。都会のテナントビルの入居者欄や看板に「○○県人会」という文字を見たことがある方も多いのではないでしょうか。「県人会」とは「出身が同じ県の人たちが作る親睦会」のことを言います。

「県」と言っていますが、出身都道府県から遠く離れた場所に住む人たちで作られた団体のことを言い、大阪や京都の場合は「府人会」と呼ぶこともあります。

【例文】

  • 私は所属する県人会の世話役として、同郷人の相談を受けることがよくある。
  • きれいな標準語を話すので、東京出身だと思っていたA君が同県人と聞いて驚いた。

「産土」

「産土(うぶすな)」は、「その人が生まれた土地。生地」「産土神(うぶすながみ)の略」という意味があります。「産土神」は、生まれた土地の守り神のことを指し、諸説がありますが、その人の守護神と言われています。

人は死ぬと「土に還(かえ)る」と言われますが、「産土」はその反対で「土から生まれる」ということになるのでしょう。いずれにしても古い言葉なので、今ではほとんど使われることがありません。

【例文】

  • 私の故郷には、産土信仰が根強く残っている。
  • 作家の井上ひさしは、『コメの話』という作品の中で「産土」について説明している。


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