「マンネリ」とは?
「マンネリ」とは、英語「マンネリズム」(mannerism)の略で、「型にはまったやり方を繰り返し用い、独創性や新鮮さを失うこと」を意味する言葉です。
どんな経験も、初めの一回に限れば新鮮で感性を刺激されるものです。しかし何度も同じ経験をしていくうち、感性の瑞々しさは失われ、「単に同じことを繰り返しているだけ」という虚しさに襲われることがあります。それが「マンネリ」と呼ばれる状態です。
「マンネリ」という言葉には、(同じことの繰り返しで結果が見え透いているため)「つまらない」「飽きた」というニュアンスが多分に含まれています。
「マンネリ」の使い方
人間は経験の中に生きていますから、「マンネリ」は日々の生活様式から仕事、趣味、恋愛にいたるまで、およそ人間が経験しうるあらゆる分野の物事において発生する可能性があります。
とはいえ、家事などはどうしても必要なことですし、仕事は「お金を得るため」という重要な目的があります。こうした例では、いつも同じことの繰り返しであっても「マンネリ」とは呼ばれず、むしろ長期的な安定性が評価されることもあります。
その一方、刺激を求めてはじめた趣味や、友人関係、恋人との付き合いなどはどうでしょうか。これらの例では、「マンネリ」が物事をやめるきっかけ、停滞感や不満の発生、ひいては人間関係破綻の一因となってしまうこともあります。
用例
- 当初は斬新な手法で話題をさらったテレビ番組だが、最近は同じ演出の繰り返しばかりでマンネリに陥っている。
- 画家の友人から、「同じようなモチーフしか浮かばなくてマンネリ気味なんだ」と相談を受けた。私は彼を旅行に誘った。
- 同棲生活を始めて半年。最近、彼女との付き合いにマンネリを感じている。お互いのすべてを知り尽くしてしまった感じだ。
- 最近の映画ときたら、お決まりのプロットばかりでマンネリ化しているね。
「マンネリ」の語源
「マンネリ」が英語「mannerism」の略であることは冒頭でご紹介しましたが、そこからさらに語源を辿ると、「マニエリスム」(イタリア語)という美術用語が見えてきます。
「マニエリスム」とは
「マニエリスム」とは、ルネサンス後期に見られたひとつの芸術的手法、およびその傾向です。ルネサンスにおいて芸術は大変な隆盛をきわめ、偉人らが完成させた「マニエラ(様式)」は「最も美しいもの」として担ぎ上げられました。
これにより、16世紀ころから先人の「マニエラ」(技法など)だけを模倣し、自然観察を無視した奇抜で非現実的な絵画文化が花開くことになりました。これが「マニエリスム」です(代表的な作家は、ポントルモ、エル・グレコなど)。
「マニエリスム」は、現代においては自然の制約に囚われることのない抽象的な知的作業の表現型として評価されています。しかし近代においては「型にはまった、様式の模倣だけの手法」として非難される向きもありました。
「マニエリスム」の「マニエラを繰り返しているだけの、独創性に欠ける作品傾向」という意味が、現代の「マンネリ」という言葉につながったと考えられています。
「マンネリ」と同語源の言葉
「マンネリ」と同語源の言葉として、「マニュアル」「マナー」が挙げられます。どちらも「決まった型に従う」というニュアンスが特徴的であることがわかりますね。
「マンネリ」の予防策・解決策
「マンネリ」に陥らないために求められるのは、これまでの慣習や価値観に囚われず、新しい物事に自らを投げ込んでみる試みです。または、同じ物事を異なる視点から経験してみるのも良いでしょう。
しかし、ただ「マンネリ」だからと言って闇雲に慣れない物事に臨んだり、新奇性ばかりを無計画に追い求めたりすると、かえって以前より悪い結果になってしまうリスクも考慮しておくべきです。
原典の「マニエリスム」が現在では独立した表現型として評価されていることも考慮して、「マンネリであっても新鮮さを感じるための糸口はどこかにある、創意工夫の余地が必ずどこかにある」とまずは落ち着いて考えてみることが大切です。