「架」とは
「架」は、音読みでは「カ」、訓読みでは「かけ-る、かか-る」と読みます。これは、「加える」の「加」と「木」が組み合わさってできた文字で、「支柱の上に横木を加える」ことを表しています。
「架」の意味
「架」という漢字の意味は、①「物をのせたり、かけたりするための台。棚」、②「かける。わたす」などです。
「架ける」の使い方
「架」を「架ける」という動詞として用いた例文は次の通りです。
- 地震に備えて橋が架け替えられることになった。
- 雨上がりの空に虹が架かった。
- 座敷には豪華な装飾を施した刀が架けられていた。
また、「架」は熟語として使われることが多い漢字です。次の項からは「架」を含む熟語について見ていきましょう。
「架」を含む熟語・使い方:①物をのせたりかけたりする台
物をのせたり、かけたりする台という意味で「架」を使った熟語には、次のような言葉があります。
「書架」
「書架(しょか)」とは本棚、書棚のことです。両側の支柱に棚板を渡して本が置けるようにしたものですね。書店や図書館では大きな書架を見ることができます。
【例文】私の大学の図書館には広い閲覧室の天井まで届く書架いっぱいに本が並べてある。
「画架」
「画架(がか)」は、絵を描くときにカンバスを立てるイーゼルのことです。三つの足とカンバスをのせる台を組み合わせた構造をしています。
【例文】一日中、彼は食事も忘れて画架に向かったままだった。
「担架」
「担架(たんか)」は、病人やけが人をのせて運ぶ道具です。人間が横たわれるように、二本の棒に布などを渡してあります。
【例文】火災現場からけが人が次々と担架で運ばれていった。
「十字架」
「十字架(じゅうじか)」は、二つの長さの違う木を垂直に組み合わせたもので、罪人を磔(はりつけ)にする道具です。キリスト教のシンボルになっていますし、アクセサリーなどのデザインでもよく見かけますね。
【例文】彼女はクリスチャンなので胸に十字架のペンダントをかけている。
「架」を含む熟語・使い方:②かける・わたす
かける、わたすという意味で「架」を使った熟語には、次のような言葉があります。
「架設」
「架設(かせつ)」とは、一方の端から他方の端へ橋や電線などをかけ渡すことです。身の回りでも、電柱に電線が架かっているのを見かけますね。
【例文】新しい電線の架設工事が行われているため、道路が片側一方通行に制限されている。
「高架」
「高架(こうか)」とは、線路や道路、橋などを地上から離れた高いところに築くこと、またはその構造物のことです。鉄道の高架橋などは皆さんもご存じでしょう。
【例文】ここの線路は、数年後には高架になるそうだ。
「架線」
「架線(かせん)」も電線などを架け渡すという意味です。また、電車の線路に沿ってかけ渡された電線を指すこともあります。
【例文】在来線の架線に凧が引っかかって、電車の運行が停止された。
「架電」
「架電(かでん)」とは、電話をかけることです。自分の電話と相手の電話との間には橋や線路はありませんが、電話線や電波でつながっていることから使われるようになった言葉です。元々は裁判所で使い始めた言葉と言われています。
【例文】営業先から戻ると、「○○社のA様から架電。要急。連絡」というメモが机に置いてあった。
「架空」とは
取り立てて映画好きや読書好きでなくとも、映画や小説の「フィクション」、つまり「作者が想像で作り出した架空の物語」はご存じですね。
この「架空」の意味のひとつは「空中にかけわたすこと」。もう一つは「根拠のないこと。事実ではない想像で作り上げたこと、あるいはその状態」です。多くの場合、「架空の街」「架空の人物」のように、後者の意味で用いられます。
「架空請求」とは
「架空請求」は架空請求詐欺の略語として用いられます。これは、実際に利用していないサービスの利用料金を請求し、金銭をだまし取とうろする詐欺のことです。この詐欺には、はがきや電話だけでなく、web上でのワンクリックなど様々な手口があります。
映画や小説で「架空の世界(空想世界)」を楽しんでいる人も多いでしょう。しかし、世間には、楽しめない危険な「架空」もあるのが現実です。