「余韻」の意味とは?
「余韻(よいん)」とは、鐘や楽器などの音が鳴り終わった後も残る響きを表す言葉です。「余音」とも書きます。転じて、文学などの芸術で言外にある趣や風情を表現することもあります。
文芸作品における「余韻」は、読者に「印象が残り続ける」様子のことです。「余韻のある」文章という表現は、読後にも印象的な味わいが残り続けるような文章に対して使われています。
さらに、「美味しい味」や「かぐわしい香り」が残り続けている様子を表す場合にも使われます。「音」や「響き」の要素はありませんが、「音以外のものが残る」という意味でも使われるようになったといえるでしょう。
「余」の意味とは?
「余」には、「そのほかのこと」や「私」などいくつかの意味があります。中でも、今回の「余韻」で表しているのは「あまる・のこす」という意味です。
この意味で使われている他の熟語には、「余暇(よか)」・「余剰(よじょう)」・「余分」などがあります。
「韻」の意味とは?
「韻」には、「ひびき、おと」や「おもむき、ようす」といった意味がありますが、「余韻」の場合は、「音のひびき」という意味です。
詩文などで「一定の部分に同じ音韻を繰り返すこと」を「韻を踏む」と言いますね。音の響きやリズム感を表現する手法のひとつで、ラップの世界においても「韻を踏む」という言い回しが使われています。
「余韻」を用いた例文
- 除夜の鐘の余韻が、いつまでも耳に心地よく残っている。
- つい先ほどまで優勝決定戦の行われていた球場には、場内の熱狂の余韻が感じられるようだ。
- フランス料理店で味わった赤ワインの放つ馥郁(ふくいく)たる香りの余韻を楽しんだ。
- 文末表現を体言止めとすることで、締めくくりに余韻のある一文とすることができた。
- オーケストラの演奏後、しばらく余韻に浸っていた。
「余韻」には、文字通りに「音の響き」が残っている様子から、文芸作品の持つ「言外の趣」まで実に多彩な様子を表現できます。いずれにしても、この言葉の持つ意味のコア(中心)が「後に残っている様子」であることをきちんと理解しておきましょう。
「余韻」の類義語・関連語とは?
「余韻」の類義語・関連語には、次のようなものが挙げられます。
- 残響(ざんきょう)…あとまで残る音の響き。
- 名残(なごり)…物事が過ぎ去ったあとに、なおも残っている気配・気分・影響。
- 余波(よは)…物事が終わったあとも、なお及ぼす影響。
- 風情(ふぜい)…それらしい味わい。おもむき。
- 滋味(じみ)…(芸術作品などの)深い味わい。
この中で「音」については、「残響」が「余韻」にもっとも近い言葉だと言えますが、「音以外」については、「残響」は適していません。音以外では、「名残」が「余韻」に近い言葉です。
「余波」は、「良くないものやこと」を表現する場合が多く、「余韻」の持つイメージにはそぐわないものです。また、「風情」「滋味」は、文芸作品の読後や芸術作品の鑑賞後の表現として、「余韻」に近いニュアンスで使われています。
「余韻」を英語で表現すると?
「余韻」の英語表現には、次のようなものが挙げられます。
- afterglow(余韻、残光、名残)
- resonance(深い味わい、奥深さ、余韻、反響)
- suggestiveness(余韻、余情)
「afterglow」は、本来、「残光」や「残照」を指しています。それが転じて「余韻」という意味でも用いられる言葉です。
「resonance」は、本来、「共鳴」「共振」という意味ですが、文学などの芸術作品に用いられることで「余韻」という意味を表しています。また、「suggestiveness」は、「示唆に富んだ」という意味から「余韻」と訳されています。