「フィクション」とは?意味や使い方をご紹介

誰もが知っている「フィクション」という言葉。でも、改めて「フィクション」って? どうしてこんなに広まったの? この記事では、「フィクション」 という言葉の成り立ちから現在の使われ方までをご紹介します。

目次

  1. 「フィクション」の語源
  2. 「フィクション」の意味①
  3. 「フィクション」の意味②
  4. 様々な「フィクション」と「ノンフィクション」
  5. 「フィクション」か?「ノンフィクション」か?

「フィクション」の語源

「フィクション」という言葉はいうまでもなく英語です。ラテン語の“fictio”という単語が移植されて“fiction”となりました。ラテン語の“fictio”は何かを「形づくる」ことを意味しており、そもそもは「捏造する」というニュアンスを含んでいたとする説もあります。

広く流通し、日本人にもなじみの深い 「フィクション」という名詞には、現在では二通りの意味がありますので、それぞれについてご紹介していきます。

「フィクション」の意味①

「フィクション」が表す第一の意味は、簡単にいうと「虚構」「作りごと」です。実際には存在しないもののことですね。目的はさておき、人間が意図的にこしらえたもの……正確には「もの」ではなく「こと」が、フィクションです。

もっとも、口から出まかせの嘘やデタラメをフィクションとは呼ばないように、ある程度の真実味をもって、いかにも本当らしく見せかけた「虚構」「作りごと」がフィクションであるといえるかもしれません。

「フィクション」の意味②

①の意味を敷衍(ふえん)して、フィクションという言葉は、いつしかもうひとつの意味を持つようになりました。ご存じのとおり、小説や映画の最大ジャンルである「フィクション」です。ここでのフィクションは「作品」の形態を取っています。作者の想像から生みだされた架空のお話が、フィクションです。

小説の場合

それ自体が「散文で書かれた虚構の物語」と見なされていますから、世に存在する「小説」と名づけられたものは、まさしくフィクションということになります。

映画の場合

一方、小説=フィクションであるのに対し、映画に関してはいくぶん事情が異なります。通常わたしたちは、映画=フィクションという認識はしません。(※小説についても、虚構を排して作者みずからが体験した事柄を文学に昇華しようとした「私小説」と呼ばれる作品は存在します)。

実際のところ、小説も、映画も、人為的に作りあげたものであるのは間違いないので、それらのすべてはフィクションであるという見方もできそうですが、ここでいうフィクションの意味はあくまで作品の「ジャンル」のことであり、「別の何か」と区分けするためにつけられた名称が「フィクション」なのです。

それでは続いて、文芸や映画における「フィクション」の立ち位置について見てみましょう。

様々な「フィクション」と「ノンフィクション」

小説という文学形態が「フィクション」と同義であることはすでにお伝えしました(事実、英単語の“fiction”は「小説」という意味も含んでいます)。散文で書かれた架空の物語はすべて小説なのですから、これをフィクションと言い換えても同語反復のようなもの。ただし、読者にわかりやすく作風を伝えるためにフィクションの語が冠された小説もあります。

SF(サイエンス・フィクション)など

代表格がSF(サイエンス・フィクション)で、日本語では空想科学小説。ほかにもポリティカル・フィクション(政治的な事柄を扱った小説)やディティクティブ・フィクション(探偵小説)などが、ジャンルとしての「フィクション」のサブジャンルとして定着しています。映画の場合も同様です。

ノンフィクション

こうしたジャンルとしての「フィクション」という言葉が流通しているのは、これに対する別の何ものかが存在するからです。ノンフィクションと呼ばれるジャンルがそれです。実際に起こった事件などを取材に基づいて叙述したルポルタージュ、あるいは紀行文といった、虚構の脚色を加えず、事実をありのまま表した作品群がノンフィクションと呼ばれます。

エッセイ

なお、エッセイ(随筆)もノンフィクションといえばノンフィクションでしょうが、書かれる内容が作者の心情であったり、事実か否かを確認できない私的な出来事が中心となるため、エッセイをノンフィクションに分類するかどうかは意見の分かれるところかもしれません。

「フィクション」か?「ノンフィクション」か?

この世のあらゆる分野は、発展・拡大するにつれて、さまざまな形態が現れて細分化・複雑化していくのが常です。文芸や映画の場合も、時代とともに、フィクション、ノンフィクションと単純には切り分けられないタイプの作品が登場するようになりました。

近ごろでは、事実を題材に、あたかも事実のごとく書かれた小説に「ノンフィクション小説」なるいささか奇妙な呼称がつけられたりもしています。同様に、モキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)という映画のジャンルは、作り手が意図的に、さも実際にあったことのように装った虚構の作品を指し、大いに人気を博しています。

いずれもフィクションには違いないのですが、ウソかマコトか、受け手側に曖昧な感覚をもたらす手法は、今後もますます増えていくかもしれませんね。以上、「フィクション」という言葉の意味と、これに付随した事情のあれこれをご紹介しました。


人気の記事

人気のあるまとめランキング