去来するとは?去来するの意味
「去ることと来ること」や「感情や記憶が浮かんでは消えること」を意味する言葉です。過去の思い出が突然心に蘇ったり、様々な感情が交互に訪れる様子を表現します。
去来するの説明
「去来する」は、主に人の心の中を行き交う感情や記憶の動きを描写する際に用いられます。例えば、大切な決断を前にして過去の経験が次々と頭に浮かんだり、複雑な感情が交互に心を駆け巡る様子を表現するのに適しています。文学作品では、登場人物の内面描写や心理的葛藤を深く掘り下げる際に効果的に使われることが多いです。また、自然現象の繰り返しや時間の経過を詩的に表現する場合にも用いられますが、こちらの用法は比較的稀です。この言葉を使うことで、単なる「思い出す」ではなく、よりダイナミックで情感豊かな表現が可能になります。
心の動きを繊細に表現できる素敵な言葉ですね。日常会話でも使ってみたくなります。
去来するの由来・語源
「去来する」の語源は、漢語の「去来」に由来します。「去」は「去る」、「来」は「来る」を意味し、文字通り「行き来すること」を表します。仏教用語としても用いられ、過去と未来を指す「去来」という概念から発展しました。時間の流れや心の動きを表現する言葉として、日本語に取り入れられる過程で、物理的な移動だけでなく、感情や記憶の揺らぎを描写するようになりました。特に俳句や文学の世界で発展し、情感豊かな表現として定着していきました。
古風でありながら、心の機微を繊細に表現できる素敵な言葉ですね。
去来するの豆知識
「去来」という言葉は、松尾芭蕉の弟子である向井去来の俳号としても知られています。彼は「去来」という号を、人生の無常観や諸行無常の考えから選んだと言われています。また、この言葉は現代ではあまり日常会話で使われませんが、小説や詩歌では依然として人気のある表現です。面白いことに、心理学用語の「フラッシュバック」や「想起」に近いニュアンスを持ちながら、より詩的で情感豊かな表現として機能しています。年配の知識人ほど好んで使う傾向があり、教養の深さを感じさせる言葉としても位置付けられています。
去来するのエピソード・逸話
作家の夏目漱石は『こころ』の中で、「去来する」心情描写を巧みに用いています。主人公の胸中去来する罪悪感と後悔の念は、読者の深い共感を呼びました。また、俳人の正岡子規は病床で「去来する雲を見ては」と詠み、移りゆく雲と自らの病状を重ね合わせました。最近では、ある人気俳優がインタビューで「役作りの際、過去の役の記憶が去来することがある」と語り、複数の役柄の感情が交錯する創造的な苦悩を表現しています。
去来するの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「去来する」はサ変動詞の一種であり、漢語由来の名詞に「する」が付いて動詞化した例です。このような漢語+するの形式は、日本語の語彙形成において生産性の高いパターンの一つです。意味論的には、空間移動を表す基本義から、時間的・心理的な移動を表す比喩的用法へと意味拡張が起こっています。このプロセスはメタファー理論で説明でき、物理的移動から抽象的な心理過程への意味転移は、日本語に限らず多くの言語で普遍的に見られる現象です。また、自動詞的に用いられることが多く、主語の内的な体験を表現する点が特徴的です。
去来するの例文
- 1 久しぶりに実家に帰ると、子どもの頃の懐かしい記憶が次々と胸中去来して、思わず涙があふれてしまいました。
- 2 大切なプレゼンの前夜、成功するイメージと失敗する不安が交互に頭の中を去来して、なかなか眠れなかった経験、ありますよね。
- 3 卒業アルバムをめくっていると、学生時代の楽しかった日々と少し後悔した出来事が去来して、複雑な気持ちになりました。
- 4 昔よく行ったカフェの前を通ると、あの頃一緒に過ごした友人たちとの会話や笑い声が去来して、胸が熱くなります。
- 5 新しい街に引っ越してベランダに立つと、故郷の風景とこれからの生活への期待が去来して、少し寂しくもあり、わくわくもする気持ちです。
「去来する」の使い分けと注意点
「去来する」は繊細な心情表現に適した言葉ですが、使い方にはいくつかのポイントがあります。適切な場面で使うことで、文章に深みと情感を与えることができます。
- 文学作品や詩歌での心情描写
- 回想シーンや内面の葛藤を表現する場合
- 季節の移ろいや自然の変化を詩的に表現するとき
- 深い情感を伝えたいエッセイや手紙
- ビジネス文書や公式な報告書
- 日常的な会話(堅苦しく聞こえる可能性)
- 技術的な説明や事実の記述
- 若年層向けのコンテンツ
特に重要なのは、読者や聞き手の年齢層や文脈に合わせて使い分けることです。同じ心情表現でも「思い浮かぶ」や「頭をよぎる」など、より平易な表現も併せて覚えておくと良いでしょう。
関連用語と表現
「去来する」と関連する言葉や類似表現を知ることで、より豊かな表現が可能になります。ここでは関連用語をいくつか紹介します。
| 用語 | 意味 | 使用例 |
|---|---|---|
| 彷彿とする | ありありと思い浮かぶ様子 | 昔の情景が彷彿とする |
| 脳裏に去来する | 心の中を行き交う | 懐かしい記憶が脳裏に去来する |
| 交錯する | 入り混じること | 複雑な感情が交錯する |
| 巡る | 順に移り変わる | 様々な考えが頭を巡る |
| 蘇る | 再び現れる | 忘れていた記憶が蘇る |
これらの言葉は、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。例えば「去来する」は行き来する動きに重点があり、「彷彿とする」は鮮明に思い浮かぶ様子を強調します。文脈に応じて適切な表現を選びましょう。
文学作品での使用例
「去来する」は多くの文学作品で効果的に用いられてきました。著名な作家たちがどのようにこの表現を使っているか、いくつかの例を見てみましょう。
過ぎ去った日々の思い出が胸中を去来し、彼は窓の外の雨を見つめながら、静かに時が過ぎるのを待った。
— 志賀直哉
春の訪れと共に、去年のこの季節の喜びと悲しみが交互に去来して、複雑な心境にさせられる。
— 宮本百合子
これらの例からわかるように、「去来する」は時間の経過や季節の変化と結びつけて使われることが多く、過去と現在を行き来する情感豊かな表現として重宝されてきました。現代の小説やエッセイでも、この伝統的な使い方は受け継がれています。
よくある質問(FAQ)
「去来する」は日常会話で使っても不自然ではありませんか?
「去来する」はどちらかと言えば文章語的な表現で、日常会話で使うとやや堅い印象を与えるかもしれません。しかし、心情を深く表現したい場面では、適切に使えば相手に共感を得られることもあります。親しい間柄では「行ったり来たりする」や「浮かんでは消える」などの平易な表現を使うのが無難でしょう。
「去来する」と「行き来する」の違いは何ですか?
「行き来する」が物理的な移動を主に指すのに対し、「去来する」は感情や記憶、思考など抽象的なものが心の中を行き交う様子を表現します。例えば「思い出が去来する」は詩的な表現ですが、「思い出が行き来する」とは通常言いません。
ビジネスシーンで「去来する」を使うことはできますか?
ビジネス文書や公式な場面では、より明確で直接的な表現が好まれるため、「去来する」は避けた方が無難です。例えば「様々な考えが去来しました」よりも「多数の意見や考えがありました」などの表現が適切です。
「去来する」を使った時候の挨拶などはありますか?
時候の挨拶として「去来する雲」や「去来する季節の移ろい」といった表現が使われることがあります。特に俳句や詩歌の世界では、季節の変化や自然の移り変わりを表現する際に好んで用いられることが多いです。
「去来する」の反対語や対義語は何ですか?
明確な対義語はありませんが、「定着する」「留まる」「静止する」などが反対のニュアンスを表します。また、「一貫する」「持続する」といった言葉も、去来するような揺らぎのない状態を表現する際に使えます。