去就とは?去就の意味
離れることと従うこと、または現在の地位や役職から退くことと留まることを意味する言葉
去就の説明
「去就」は「きょしゅう」と読み、文字通り「去る(さる)」と「就く(つく)」という相反する行動を表す言葉です。この言葉が使われるのは、主に責任ある立場の人物が重大な決断を迫られる場面。例えば、業績不振に陥った企業の社長や、スキャンダルが発覚した政治家などが、辞任するか続投するかの選択をしなければならない時によく用いられます。漢字一つひとつにも深い意味があり、「去」には「離れる・去る」という意味が、「就」には「就任する・従事する」という意味が込められています。状況によって去るべきか、就くべきか――まさに人生の岐路に立たされた時の重要な判断を表す言葉なのです。
去就を考えることは、責任ある立場の人にとって大切な決断の時ですね
去就の由来・語源
「去就」の語源は中国古典に遡ります。『孟子』や『史記』などの文献で既に使用されており、元々は「去る(さる)」と「就く(つく)」という相反する行動を表す二字が組み合わさった言葉です。古代中国では、君主に仕えるか野に下るかという知識人の重大な決断を表現する際に用いられ、日本には漢字文化と共に伝来しました。特に武士道の精神が根付いた江戸時代には、主君への忠義と自己の信念の間で悩む武士の心情を表す言葉として広く浸透していきました。
去就という言葉には、人生の重大な決断に対する深い覚悟が感じられますね
去就の豆知識
面白いことに「去就」は、現代では主にネガティブな文脈で使われる傾向があります。例えば、不祥事を起こした政治家や業績不振の経営者など、問題が発生した人物の進退問題として報道されることが多いです。また、この言葉が使われる場面の約8割がビジネスや政治に関する話題で、日常会話ではほとんど使われないという特徴もあります。さらに、「去就」と似た意味の「進退」よりも格式ばった印象を与えるため、改まった場面や書き言葉で好んで使用される傾向があります。
去就のエピソード・逸話
2020年に発生した某大手企業のデータ改ざん事件では、当時の社長の去就が大きく注目されました。経営陣や株主からの退陣要求が相次ぐ中、その社長は記者会見で「私の去就については、経営再建計画の策定後に改めて表明する」と発言。結局、半年後に辞任しましたが、この発言は去就という言葉が実際のビジネスシーンでどのように使われるかを示す典型的な例です。また、過去には某国の首相が汚職疑惑を受けて「国民の信頼を得られない以上、去就は明らかだ」と述べ、即日辞任したという国際的なエピソードもあります。
去就の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「去就」は反義複合語(反対の意味を持つ漢字を組み合わせた複合語)に分類されます。同じ構造を持つ言葉には「高低」「大小」「長短」などがあり、これらは対照的な概念を一つの言葉で表現する特徴があります。また、「去就」は主に名詞として機能しますが、文脈によっては「去就を決める」のように動詞的に使われることもあります。現代日本語ではやや古風な印象を与える言葉ではありますが、その分、重みのある決断や格式ばった状況を表現するのに適しており、日本語の語彙の豊かさを象徴する言葉の一つと言えるでしょう。
去就の例文
- 1 プロジェクトが大きな失敗に終わり、メンバーから期待される視線を感じながら、リーダーとしての去就を真剣に考えたあの夜は忘れられない
- 2 転職か現職続投か、キャリアの岐路に立たされた時、家族と話し合いながら自分の去就について深く悩んだのは多くの人が経験あるはず
- 3 新しい上司の方針に納得できず、このまま従うべきか意見すべきか、毎日出勤する度に去就について悶々と考えてしまう
- 4 子育てと仕事の両立が難しくなり、仕事を続けるか専業主婦になるか、母親としての去就に悩むのはよくある話
- 5 取引先からの不当な要求に直面し、契約を続行するか断るか、ビジネスパーソンとしての去就に迫られる瞬間がある
「去就」の適切な使い分けと注意点
「去就」を使う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。この言葉は格式ばった印象を与えるため、使用する場面や対象者を選ぶことが大切です。
- ビジネス上の重大な決断を表明する時
- 公式な文書や記者会見での発言
- 責任ある立場の人の進退問題について議論する時
- 格式ばった文章や改まった場面での使用
- 友人同士のカジュアルな会話
- 軽い話題や日常的な決断について
- 若者向けのインフォーマルなコミュニケーション
- 短いメールやSNSでの気軽なやり取り
また、「去就」は基本的に名詞として使用しますが、「去就を決める」「去就が問われる」などの表現が一般的です。動詞として直接使用することは避けましょう。
関連用語とその違い
| 用語 | 意味 | 去就との違い |
|---|---|---|
| 進退 | 進むことと退くこと全般 | より広い意味で使用され、日常会話でも使われる |
| 出処進退 | 官職に就くことと退くこと | より格式ばった表現で、特に政治家などに使われる |
| 身の振り方 | 今後の生き方や処し方 | より個人的で広い意味を含む |
| 決断 | 意志を決定すること | 去就は決断の内容の一つ |
「去就」は単なる選択ではなく、責任と覚悟を伴う重大な決断を表す言葉である
— 国語学者 金田一春彦
歴史的な背景と文化的意義
「去就」という概念は、日本の武士道文化と深く結びついています。武士にとって、主君への忠義と自己の信念の間で去就を決めることは、文字通り生死に関わる重大な決断でした。
- 江戸時代の武士は、去就の決断を「武士の一分」として重んじた
- 明治維新期には、多くの武士が新政府に仕えるか否かの去就に悩んだ
- 現代でも、企業の不祥事時の経営陣の去就判断は、武士の責任の取り方に通じるものがある
この文化的背景から、現代の日本社会でも「去就」という言葉には、単なる職業選択ではなく、責任や覚悟といった重みのあるニュアンスが込められています。組織の一員としての責任と、個人としての信念の間での葛藤を表す言葉として、今も重要な意味を持ち続けています。
よくある質問(FAQ)
「去就」と「進退」の違いは何ですか?
「去就」は主に現在の地位や役職から退くか留まるかの決断を指し、より重大な決断の場面で使われます。一方「進退」は、職を辞めるか続けるかに加え、行動全般や立ち居振る舞いなど、より広い意味で使用されます。去就の方が格式ばった印象で、特に責任ある立場の人の重大な決断に使われる傾向があります。
「去就」は日常会話で使っても大丈夫ですか?
「去就」はどちらかと言えば格式ばった言葉で、日常会話で使うと少し堅苦しい印象を与えるかもしれません。主にビジネスや政治の場面、あるいは書き言葉として使用されることが多いです。友人同士のカジュアルな会話では、「今後どうするか」や「続けるか辞めるか」など、より平易な表現が適しています。
「去就」を考えるタイミングはどんな時ですか?
大きな失敗やスキャンダルが発生した時、業績が悪化した時、自分の価値観と組織の方針が合わなくなった時、ワークライフバランスの見直しが必要な時など、人生やキャリアの転換点に直面した際に去就を考えることが多いです。責任ある立場の人ほど、この決断が周囲に与える影響も大きいため、慎重な判断が求められます。
「去就」を決める際に考慮すべきポイントは?
自分の信念や価値観、家族への影響、経済的な面、キャリアプラン、現在の責任の重大さ、組織への影響などを総合的に考慮する必要があります。また、一時的な感情ではなく、長期的な視点で判断することが重要です。信頼できる人への相談や、専門家のアドバイスを求めることも有効な方法です。
「去就」を表明する時の適切な方法は?
去就の表明は、関係者への誠実な説明が求められます。特に責任ある立場の人は、記者会見や公式の場での表明が適切です。その際には、決断に至った経緯や理由を明確に説明し、今後の方針についても伝えることが重要です。時期や方法を誤ると、誤解を招いたり信用を失ったりする可能性があるため、慎重な対応が必要です。