「思い出す」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

多くの人にとって「思い出す」ことは普遍的な作用でしょう。人は様々な局面で様々な物事を思い出します。普遍的ゆえに、言い換え・類語表現が気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、「思い出す」の意味や使い方を類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「思い出す」とは?
  2. 「思い出す」の使い方
  3. 「思い出す」の類語表現

「思い出す」とは?

「思い出す」(おもいだす)とは、「忘れていたことを心によみがえらせる」「前にあったことを、今おもう」と言う意味の言葉です。

脳科学の世界では「思い出す」ことを「記憶想起」(きおくそうき)もしくは単純に「想起」と言います。人間の記憶の基本的なプロセスは、以下の通り。

  1. 記銘(きめい)…情報を覚える
  2. 保持…情報を保存しておく
  3. 想起…情報を思い出す

上記プロセスのうち、「保持」が失われた情報や、「想起」に失敗した情報は、「忘却」、すなわち「忘れる」という作用として一般に理解されます。

「思い出す」の使い方

3種類の「思い出す」

「思い出す」は至極(しごく)普遍的な作用であるゆえに、使い方など説明されなくてもわかると思う方もいるかもしれません。しかし実際には、「思い出す」作用には以下の通り3つの種類があります。

  • 再生…事象をそのまま思い出すこと
  • 再認…事象がそれそのものであると確認すること
  • 再構成…いくつかの情報を組み合わせて事象を再現すること

例えば、過去に経験したことを言葉や動作などでそのまま再現できるなら「再生」。何らかの経験をした時に過去にも同じ経験をしたことがあると(表現を伴わずとも)確認できるのが「再認」です。

そして、過去の経験に近しいいくつかの要素を組み合わせてその経験を再現することを「再構成」といいます。古いアルバムの写真を何枚か眺めていて、「この時、確かこんなことがあったな」と思い出すのが「再構成」にあたるでしょう。

「思い出す」は常に確実な再現ではない

自分では「完璧に思い出した!」という実感があっても、客観的な立場からしっかり検証してみるとそれが「改変・脚色された記憶だった」「創造されたエピソードだった」という経験はないでしょうか?

人間の記憶システムは本などの記録物や電子的コンピューターとは異なり、有機的でいつも曖昧さを含んでいます。それは「柔軟性がある」と言い換えることもできますが、記憶がすなわち事実と同等ではないことは踏まえておきましょう。

ただし、自分がしたことや自分の周囲で起きた出来事を「事実として思い出す」ことができる能力は、一般的にはその人がその人でいるための自己同一性の一部と見なされます。そのため、社会通念上は「思い出した」事柄を事実として前提づける場合が大半です。

主な使い方

  • 彼女と結婚した日のことは、今でもありありと思い出すことができる。父が号泣するのを見て、私まで泣いてしまったよ。(再生)
  • 本物のモナリザを見るのは初めてだと思っていたが、いざ絵の前に立つと、過去にも見たことがあるのを思い出した。(再認)
  • 懐かしい風景と、そこに漂う花の香りから、私は廃墟の校舎の中に子供の頃の自分を思い出したのだった。(再構成)

「思い出す」の類語表現

冒頭でご紹介した「想起」「記憶想起」は「思い出す」の代表的な類語と言えますが、他にはどんな表現があるでしょうか。いくつか挙げてみましょう。

「思い〇〇」

  • 思い返す
  • 思い浮かべる
  • 思い付く
  • 思い当たる
  • 思い起こす

「思い〇〇」という形の類語表現はこれだけあります。「返す」は過去を振り返るさま、「浮かぶ」は出来事が表層の意識に上がってくるさま、「当たる」は探し当てるさまという具合に、いずれも過去や忘れかけた出来事を思う形ですね。

一点、「思い付く」には「忘れたことを思い出す」という意味があるのですが、「アイディアを思い付く」のようにただ「心に考えが起こる」という意味もありますのでご留意ください。

「呼び起こす」

「呼び起こす」は、文字通り「呼んで(目を)覚まさせる」という意味もあるのですが、これを記憶に適用して「(記憶を)現れ出させる」という意味があります。

ただし、記憶以外にも「感動を呼び起こす映画」のように情感に関する使い方もあります。

「喚起」

「喚起」(かんき)は、これも上記で紹介したものと同じく広く「呼び起こすこと」という意味です。「あの頃の記憶が喚起される」のように使いましょう。

なお、「換気」とするとただの空気の入れ替えになってしまいますので漢字の間違いには注意しましょう。

「回想」

「回想」(かいそう)とは、「過去のことを思いめぐらすこと」「昔のことをいろいろ思い出すこと」という意味の言葉であり、特に「再認」(過去に確かにあったと確認すること)を含むニュアンスが特徴です。

「回る」(まわる・めぐる)という字が使われていますから、「はっ、と瞬間的に思い出す」のではなく、ある程度の時間をかけるイメージで「学生時代を回想する」のように使いましょう。

「追憶」

「追憶」(ついおく)とは、「過ぎ去ったことを思い出すこと」という意味の言葉です。「追懐」(ついかい)とも言います。

「記憶を追う」と書きますから、現在から過去へ逆行して、ある時点や時代の出来事を追うさまをイメージするとよいでしょう。


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