「ご無体」とは?
「ご無体」(ごむたい)とは、「無体」に尊敬・丁寧などの意を表す接頭辞「御(ご)」がついた表現であり、「ないがしろ」「無理、無法、困難」「乱暴」「ひどい」といった意味の言葉です。
「無体」を「御」で修飾しているのは、尊敬すべき相手の非道な行いを(不本意ながらも)指摘したり、「無理なこと」「ひどいこと」を大仰に言い表したりするのが主な役割です。
「無体」について
「無体」(むたい)の意味は以下の通りです。
- ないがしろにすること、あなどること
- むだにすること
- 無理、無法
- 〔仏教用語〕実体のないもの
「体」(タイ)という言葉には、「からだ」の他にも「かたちあるもの」「ありさま」「物事のもと」という意味があります。それを「無」で打ち消すことで、「本質部分が台無しになっているさま」「実体を欠くさま」という意を表すと理解するとよいでしょう。
「ご無体」と言う場合にも以上に示した「無体」の意を概ね引き継いでいますが、仏教用語としての意味合いは薄くなっています。
「ご無体」の使い方
「ご無体」は、基本的には相手の「無体な行い」を指して使います。「無体な行い」とは、例えば、何かをないがしろにしたり、誰かを軽んじたり、相手を踏みにじって乱暴を働いたりするような場合です。
ただし、日常語として使うには、かなり芝居がかっていて大仰な印象を与える言葉です。それを承知の上で使う分には、コミカルでシニカルな雰囲気を醸し出すことができるでしょう。
使用例①
(A)
(おどけて)お前は今日は夕飯抜きだ!
(B)
そんなご無体な~!
使用例②
(C)
「この商品を半額で売ってくれ」だなんて、お客様、ご無体でございます。
使用例③
(D)
お殿様のご無体には、どうにも腹に据え難いものがある。
「無体」の関連語
「無体」についての理解を深めるために、関連語にもいくつか触れておきましょう。
- 無体財産権(むたいざいさんけん)…著作権などの、いわゆる知的財産にまつわる権利。非物質的なものにまつわる権利。
- 無体攻め(むたいぜめ)…無理やりに敵を攻めること。
- 無体物(むたいぶつ)…形をもたず、観念上でのみ理解しうるもの。