「せめてもの」の意味
「せめてもの」は、副詞の「せめて」に強調する意味の「も」がつき、さらに助詞の「の」がついた言葉です。「せめてもの+名詞」の形で使われます。
意味は「最小限。せいぜい」で、「十分ではないがやむを得ない。現時点では満足すべき最低限の」という意味合いを含みます。
例えば、「せめてものお礼にお菓子を差し上げた」という場合は、「これで十分だとは思っていないが、今出来る最低限のこととしてお菓子をあげた」ということです。
「せめて」とは
「せめてもの」は、「せめて」という副詞が根幹になっています。「せめて」は、「満足できないけれど、最低限」、「十分とは言えないけれど、これだけは」という気持ちを表します。
【例文】
- 一日に覚えられる英単語には限りがあるけれど、せめて10個は覚えたい。
- あなたが私に会いたくないのは知っているけれど、せめて声だけでも聞かせてもらえませんか。
「せめてもの」の使い方
「せめてもの」の後ろにはさまざまな名詞が来ますが、その中でもよく目にする言い回しの意味と例文をご紹介します。
「せめてもの気持ち」
「せめてもの気持ち」とは、お世話になった人や迷惑をかけた人に対して自分の気持ちを表現する際に使われる言い回しです。「あなたへの感謝(もしくは謝罪)の気持ちはこんなものではありませんが」という強い気持ちが裏にはあると考えられます。
「せめてものお礼」や「せめてもの感謝の印」など似た言い回しがありますが、いずれも「十分ではないとわかっているけれど、今の私の気持ちを表現したい」という思いを表しています。
【例文】
- 昨日のプレゼンでは助け舟を出して頂きとても助かりました。これは私のせめてもの気持ちですので、召し上がってください。
- 先日はご子息に怪我をさせてしまい申し訳ありませんでした。失礼かとも思いましたが、こちらは私たちからのせめてもの気持ちです。お納めいただけますでしょうか。
「せめてもの救い」
「せめてもの救い」は多用な場面で使われる言葉です。例えば「交通事故を起こし車は大きく傷ついたが、家族にかすり傷1つなかったのはせめてもの救いだ」のように、大きなマイナスの出来事に対して最小限の救われることがあった場面に使われます。
「せめてもの救い」と似た言葉に「不幸中の幸い」「幸いなことに」があります。どちらも「不幸な事柄の中に幸運があった」というニュアンスの言葉で、ニュースなどでもよく使われます。
【例文】
- 電車の脱線事故が発生したが、死者が1人も出なかったことがせめてもの救いである。
- 勉強をしなかったせいで散々な成績を取ってしまったが、赤点を免れたのはせめてもの救いだ。
「せめてもの準備」
地震が多く起きる日本において、「せめてもの準備」はしておいた方がいいと思っている人は多いのではないでしょうか。「せめてもの準備」とは「最低限の準備」を指します。
「せめてもの準備」は、地震のような非常時に対してだけでなく、日常的に行われるものです。初めてのデートのまえにも「せめてもの準備」はしておきますよね。テストのまえには「せめてもの準備」などといわず、しっかり備えた方がいいでしょう。
【例文】
- 明日は受験日だというのに雪の予報が出ている。せめてもの準備としてダウンとカイロを出しておこう。
- 大きなミスを犯してしまった次の日、部長に呼び出された。何を言われるかわからないが、せめてもの心の準備はしておいたほうがいいかもしれない。
「せめてもの」の英語表現
「せめてもの〇〇」を英語で表すとどうなるかいくつか紹介します。
- Please accept this as a token of my gratitude.(せめてもの感謝の気持ちを受け取って)
- At least the one saving grace(せめてもの救い)
- minimum preparation(せめてもの準備)
【例文1】
- At least the one saving grace is that even if I get a red mark, if I pass the final exam, I can go on the next level.
- 訳:せめてもの救いは赤点を取ったとしても期末試験に合格すれば進級できるということだ。
【例文2】
- I don't know when an earthquake will occur, so I'll make the minimum preparations.
- 訳:地震がいつ起こるかわからないのでせめてもの準備はしておく。