「不幸中の幸い」とは?
「不幸中の幸い」とは「不幸な出来事が起きた際、せめてもの慰めとなること」という意味のことわざです。
「不幸中の幸い」の使い方
「不幸中の幸い」はまず不幸な出来事が起きて、その状況から救いとなる事を見つけた時に使われます。特に不幸なことが起きたが、その割には致命的な被害に遭わなかったといった時などによく使われます。例えば災害で家や畑などが崩れてめちゃくちゃになってしまったが、命だけは助かったという状況などです。
- 「交通事故を起こしてしまったが、死人がでなかったのは不幸中の幸いだった」
- 「風が吹いてなかったのが不幸中の幸いで、火事による延焼を免れた」
- 「あの崖から転落したにも関わらず、軽傷で済んだのは不幸中の幸いである」
「不幸中の幸い」の由来
「不幸中の幸い」という言葉がどの時代に出来たのかは、はっきりしていないようです。ただ近世の資料では、どの時代にも不幸な事柄が起きても救いになる事があったとされています。
それは洪水が起きて家屋が何軒も被害にあったが、けが人や死者がでなかったといった、今の時代における「不幸中の幸い」という概念にも通じるような事柄であったようです。
「不幸中の幸い」の英語表現
「不幸中の幸い」を英語で表すと"be grateful (thankful) for small mercies"となります。「さらに悪くならなかったことに感謝する」という意味の表現です。"mercy"には「慈悲、情け、幸運」の意味があります。不幸の中で小さな幸運をありがたく思う、まさに「不幸中の幸い」を表しています。
被害が少なかった時に使われる「不幸中の幸い」は"It could have been worse"で表せます。「もっと悪くなる可能性があった」という意味で、これだけの被害に済んで良かったという表現です。
「不幸中の幸い」の類語
「地獄で仏」
「地獄で仏」は「危難や苦しみにあった時に、思いがけない助けにあった嬉しさ」を例えることわざです。地獄で鬼に苦しめられている時に仏様に救われるように、非常に困った事態に直面しているときに思いがけない救いが現れることを言います。
「勿怪の幸い」
「勿怪(もっけ)の幸い」は「思いがけない幸運」を意味します。「物怪の幸い」とも表記します。「勿怪」とは「思いがけないこと」という意味を持つ言葉です。人を祟る死霊や生き霊である「もののけ」が「もっけ」に変化していき、「化け物、変化」という意味から転じて「意外なこと」の意味で使われるようになりました。
「不幸中の幸い」と「怪我の功名」の違い
「不幸中の幸い」と一緒にされてしまい間違えられやすいのが「怪我の功名」です。「怪我の功名」は「何気なくしたこと、過失だと思われた事が偶然良い結果をもたらすこと」の意味のことわざです。
「不幸の中から救いを見出す「不幸中の幸い」に対して、「怪我の功名」は失敗やアクシデントが反対に良いことに変わった時に使われます。この二つの言葉は似ていますが微妙に意味が違っているのです。
「不幸中の幸い」まとめ
「不幸中の幸い」は不幸の中でも慰めになる事を見出す、ポジティブな考えを持つ表現ですが、使い方を誤ると失礼になってしまうので注意が必要です。
他人からしたら「不幸中の幸い」でも、本人からしたら全く「幸い」ではないことがあります。人によって感じ方が違うので、価値観の違いからトラブルに発展しないよう気をつけたいですね。「不幸中の幸い」を励ましの言葉として使う時には、慎重になるべきかもしれません。