「やけくそ」とは?意味や使い方をご紹介

誰もが一度は信じがたい不条理に襲われたり、切羽詰まったりして「やけくそ」になった経験があるかもしれません。あまりきれいな言葉ではありませんが、語彙のひとつとして覚えておきましょう。ここでは、「やけくそ」の意味や使い方を漢字・語源と類語表現も含めてご紹介します。

目次

  1. 「やけくそ」とは?
  2. 「やけくそ」の使い方
  3. 「やけくそ」の漢字・語源
  4. 「やけくそ」の類語表現

「やけくそ」とは?

「やけくそ」とは、「やけ」を強めて言う語であり、「思うようにならないため、自暴自棄な行いをすること」という意味の言葉です。

「くそ」は排泄物の「糞」のことですが、他の言葉と続けて罵(ののし)りや強意を表す意味もあり、「やけくそ」の他にも例えば「くそまじめ」「へたくそ」「くそおもしろい」などの言葉が該当します。

「やけくそ」の使い方

「やけくそ」は、主に失望などの理由により、自分自身やその未来を顧みない行いを指して使います。基本的に「行い」に当てる言葉ですが、「気分」や「様子」などの状態も言い表すこともできます。

望みが遂げられなかった不満や絶望は人が「やけくそ」になる代表的理由ですが、その他にも、わがままな性格、思慮不足、忍耐力のなさなどが「やけくそ」な行いにつながることがあります。

ただし、何を持って「やけくそ」と言うのかは客観的な評価が難しいため、実際の運用においては「半ばやけくそ」「やけくそ気味」のように「そのような傾向」というニュアンスで使われることもあります。

例文

  • 三人の警官に追い詰められた泥棒は、逃げられないと悟りつつも、やけくそになって棒きれを振り回した。
  • 長年寄り添った恋人に見放され、酒に酔っ払った男は、やけくそ気分で通りがかった女に愛の告白をした。
  • 医者から酒は控えるようにと言われていたが、どうしても我慢できず、半ばやけくそになって彼はビールひと瓶を一気飲みした。
  • プレゼンに失敗し落ち込む彼を、同僚は「やけくそになるなよ、お前は若いんだしまたチャンスは来るさ」と励ました。

「やけくそ」の漢字・語源

「やけくそ」は、漢字では「自棄糞」または「焼糞」と書きます。「自棄」のほうは「自分を棄てる」と書く通り、まさに自分自身を顧みないというニュアンスですが、「焼」のほうはどうでしょうか。

実は「焼(焼け)」のほうにこそ「思い通りにならず自暴自棄になる」という意味があり、「自棄」の字を当てるほうが後に成立したと考えられています。

ではその「焼け」の語源はいうと、はっきりとはわかっていません。以下のような説を語源として挙げることができます。

  • 物が何もかも残らず燃えつきてしまうさまから
  • 胸が焼けるように「思い乱れる、苦しい思いをする」という意味から
  • 「嫌気がさす」の「いやけ」が「やけ」に変化したから

「やけくそ」の類語表現

捨鉢

「捨鉢」(すてばち)とは、「望みを失ってどうでもいいと思うこと」「自暴自棄」という意味の言葉です。基本的には「やけくそ」の同義語と考えてよいでしょう。

「鉢」は、仏教の僧侶などが持って歩く「托鉢」(たくはつ)のことです。修行僧が厳しい修行を放り出すことを「鉢を捨てる」ことに例え、「捨鉢」というのが語源です。

【例文】

  • 若い女房に先立たれた彼は、捨鉢な気持ちになった。
  • 失意に暮れる友人を、男は「捨鉢になるな、俺がついてる」と励ました。

やけっぱち

「やけっぱち」は、「やけくそ」と同じく「やけ」を強めた言葉であり、意味は「やけくそ」とほぼ同様です。

「ぱち」の部分は、昔使われていた人名「勘八」(かんぱち)の「八」を借りたものであり、「やけな奴」「やけになったあいつ」という具合に、「やけ」を人称呼びした表現です。

また、「勘八」ではなく「やんぱち」と言われる場合もありますが、いずれの場合でも意味は同じです。

【例文】

  • 授業中に突然指名を受けた彼は、やけっぱちになって適当な回答を口にした。
  • 戦争によって大きな目標を失った男は、いささかなやけっぱちな気分になっていた。


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