「張り合い」の意味
「張り合い」という言葉には、以下の3つの意味があります。
- なぐりあい。
- 競争すること。
- 力をつくしたり、努力したりする甲斐(かい)があると感じる気持ち。
一般によく知られているのは3の意味ですが、1や2の意味も含め、何らかの人間・物事に対して力や気力などを「いっぱいに押し広げる」さまや、それにまつわる意欲・充足感をイメージすると「張り合い」の意味がつかみやすくなるかもしれません。
「張り合い」の使い方
何らかの対象物が必要
「張り合い」という言葉を使うにあたっては、「張り合う」に足る、自分が力をつくす(その力を受け止める)何らかの対象物が必要です。その対象は具体的な事物でも構いませんが、「仕事」「人生」のような抽象概念に対する用法も広く見られます。
作用と反作用は一対の現象であるため、作用を実感するにはその作用が反作用としてわが身に実感されることが求められます。握りこぶしをただ宙に突き出すのと、壁を殴るのとでは、「張り合い」が違うということですね。
この法則は物理的な事柄に限定されず、「空想に留まらず、実践してみて結果(反作用としての結論)を得る」ことも「張り合い」と呼ぶことができます。
「張り合い」のイメージ
物事が何もかも自分の思い通りに進行した場合や、対象物が自分の想定より強(したた)かでなく拍子抜けしてしまった場合などに、「張り合いがない」と言われることがあります。
人間は意識的にせよ無意識的にせよ、自分の持つ力がどんな環境でどのように生かされ、作用するかを想定しながら生活しています。よって、どのような人間もある程度「張り合い」を求めて生きているといえます。
自分の力がうまく作用する、役立つという自信があるのであれば、「想定外の、困難な問題に対処する試み」も「張り合い」と呼ぶことができます。すなわち「張り合い」は「やりがい」と言い換えてもよいでしょう。
例文
- リングの上では、二人の若い闘士が歓声に包まれながら張り合いをしていた。(なぐりあい)
- 喧嘩をしていがみあっている子供二人に、母親は「意地の張り合いはやめなさい」と注意した。(競争)
- A君はB君と同じ大学の同期だから、仕事でも張り合いたい気持ちがあるのだろう。(競争)
- 朝起きて、会社に行って、疲れて帰ってきて寝るだけの張り合いのない生活。彼は希望にあふれていた子供の頃に戻りたかった。(力をつくす甲斐)
- 倒れてもまだ立ち上がって構えを取る弟子に、師匠は「こいつは思ったよりも張り合いがある」と感心した。(力をつくす甲斐)
「張り合い」を英語で言うと
「張り合い」を英語で言いたい場合、意味の違いによって少々単語を選択する必要があります。代表的なものとしては以下の通り。
- fight(戦う)
- rival/raivalry(主に対立関係の競争)
- compete/competition(主に何かを獲得するための競争)
- challenging(挑戦する価値のある)
- fruitful(実りある)
- worthwhile(有意義な、やりがいのある)
いずれの場合でも、「張り合い」の対象物を目的語や前置詞(between, among, with, forなど)で明示することが使い方のポイントです。
例文
- Company A is competing with a rival company to develop robots.(A社はライバル社とロボット開発で張り合っている)
- "It's challenging job, so I keep doing it even though it's tinly paid." he said.(張り合いのある仕事だから、薄給でも続けているんだ、と彼は語った)