「業が深い」とは?意味や使い方をご紹介

「業が深い(ごうがふかい)」という言葉にどのような印象を持ちますか?仏教の考え方に関わる言葉ですが、なんとなく「悪い意味の言葉」というイメージを抱いている方は多いのではないでしょうか。今回は「業が深い」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「業が深い」の意味
  2. 「業が深い」の使い方
  3. 「業が深い」の関連語
  4. 「業が深い」の英語表現

「業が深い」の意味

業(ごう)が深い」とは、「前世で神仏や道徳の教えに反するような罪の重い行いをしたことによって、現世においてその報いを多く受けていること」です。

この意味が派生して、現在は「運が悪い」や「欲深い」といったニュアンスでも用いられています。

仏教にゆかりのある言葉で、前世の存在や前世と現世とのつながりが前提になっています。これは仏教において「輪廻転生(りんねてんしょう)」と呼び、「生物は何度も生まれ変わり続ける」という考え方です。

「業」とは

(ごう)」は、サンスクリット語のkarman(カルマン)が訳されたもので、本来は「行為」という意味です。

仏教においては基本的な概念のひとつで、「善悪の報い」を指しています。未来の報いの原因となる行為過去の行為の結果としての報いを表しており、「業」そのものに良い意味・悪い意味というものはありません。

しかし「業が深い」という言葉では、「悪行による報い」というネガティブな意味合いで用いられているのが特徴です。

「身口意の三業」

「業」にまつわる考え方のひとつに、「身口意(しんくい)の三業(さんごう)」というものがあります。「行為」と言うと、実際に行った行動のことを想像しがちですが、仏教では「行為」についてさらに細かく考えます。

「身口意」とは、「身」が身体で行った行動のこと「口」は言葉として発したこと「意」は心で思ったことを表します。それぞれ「身業(しんごう)」「口業(くごう)」「意業(いごう)」とされ、これら三つの業を総称して「三業」と言います。

「業が深い」の使い方

「業が深い」は、運の悪いできごとが連続するなど、不運を表す時に用いられます。まるで過去の悪い行いの報いを受けているかのようなニュアンスを含んでいます。また、欲深い人やその様子を表す時にも使います。

ネガティブな意味合いが強い言葉ですから、使用するシーンはしっかりと見極める必要があるでしょう。

述語を修飾する場合は「業が深い」と使いますが、名詞や代名詞を修飾する時は「業の深い」と表現します。

例文

  • 事故やトラブルに度々巻き込まれる彼は、業が深いのだろうかと思うことがある。
  • 事業が失敗続きで進まないのは、関わっている誰かの業が深いとしか考えられない。
  • 彼女は、毎日違ったブランドバッグで出社するなんて業が深いと陰で言われているそうだ。

「業が深い」の関連語

仏教に関わりを持つフレーズは、「業が深い」の他にも多く挙げられます。ここでは「業が深い」の考え方と似て、「前世での行いが現世に影響を与えること」を表す言葉を紹介します。

因果応報(いんがおうほう)

因果応報(いんがおうほう)」は、過去において悪い行いをすれば、現在で悪い報いを受け、善い行いをすれば良い報いを受けることを表す四字熟語です。「因果」は原因と結果を、「応報」は行いに対する報いを意味しています。

本来はプラス・マイナスどちらの意も示すことができますが、現在は「悪いことをすれば悪い報いを受ける」のようにマイナスの意味で使われる傾向にあります。ネガティブな意味合いにとられている点は、「業が深い」の「業」と似た使い方と言えるでしょう。

【例文】

  • 悪事を続けている知り合いがいるが、因果応報でいつか身を滅ぼすだろう。
  • 彼女は誰に対しても常に思いやりを持って接している。だから因果応報で、問題が起こっても必ず助けてくれる人が現れる。

三世因果(さんぜいんが)

三世因果(さんぜいんが)」は、あらゆる存在について、過去・現在・未来にわたり、原因があって結果が生じるという因果の法則が働くことを指します。過去・現在の行為は原因となり、それぞれ現在・未来において報いという結果で現れることを意味します。

「三世」は仏教において過去世・現在世・未来世を指します。また、ここでの「因果」は、善悪の行いが原因となり、それに応じた報いを受けることという意味です。

「業が深い」のようにマイナスの意で使われるものではなく、仏教の教えを示す言葉として使われることが多いでしょう。

【例文】

  • 私の父は三世因果の考え方から現在の出来事をとらえている。
  • このことは三世因果による報いとしか考えられない。

「業が深い」の英語表現

「業が深い」は仏教に関する表現です。西洋の文化や考え方を反映している英語表現で、完全に意味を一致させることは難しいかもしれません。そのため、「業が深い」に近い意味の言い回しを紹介します。

「業が深い」に近い表現としては、be deeply sinfulを使うことができます。「sinful」は「罪深い・罰当たりな」という意味です。これに「程度が深い」ことを示す「deeply」を付けることで罪深さを強調しています。

【例文】

  • It's deeply sinful to do immoral conduct.(不道徳な行いをすることは罪深いことだ)
  • They believe that it's deeply sinful to waste money.(彼らはお金の無駄遣いは罪深いことだと思っている)

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