「報い」とは?意味や使い方をご紹介

「報い」は現代語よりも古文や文語で使われるため、意味がよく分からないという方もいるかもしれません。元々は仏教用語でしたが、現在では派生した意味で用いることが多いです。「報い」の詳しい意味や使い方とともに類語についても紹介します。

目次

  1. 「報い」の意味とは?
  2. 「報い」と「酬い」は同じ意味?
  3. 「報い」の類語と意味

「報い」の意味とは?

「報い」(読み:むくい)は、動詞「報いる」の連用形からできた語句です。主に以下の4つの意味があります。

  • 前世の行動が原因で現世に起こること
  • 過去の行動が原因で現在起こっている結果
  • お礼・見返り
  • 仕返し

仏教用語:前世の行動が原因で現世に起こること

仏教用語で、前世で生きていた時に行ったことが原因となり、現世で自分の身に降りかかってくることを「報い」と言います。

前世で悪いことをすれば、それが原因となり現世で悪い物事が降りかかり、逆に前世で善行を積むと、現世で善いことが起こると考えられています。

源氏物語 須磨

「かかる事も、前(さき)の世のむくいにこそ侍(はべ)るなれば」

[訳] このようなことも前世の応報だそうでございますから

過去の行動が原因で現在起こっている結果

「過去の行動が原因で現在起こっている結果」という意味の「報い」は、前項で紹介した仏教用語から派生していますが、現代ではこちらの意味で使われるのが一般的です。

過去にした善い行いや悪い行いの結果、自分の身に受ける物事を表しています。本来は善悪両方の行いを指していましたが、現在はどちらかと言うと、悪い行動や振る舞いをした結果、我が身にはね返ってくる意味で使うことが多いです。

【使用例】

  • 嘘をついたのが報いとなり、人から信用されなくなった。
  • 悪い行いをし尽くした報いで逮捕された。

お礼・見返り

相手がしてくれたことに対するお礼、労苦(骨折りしてくれたこと、辛い思いをさせたこと)に対する見返りや償いの意味でも「報い」を使います。働いてくれたことに対する見返りのお金、品物のことを表す場合もあります。

【使用例】

  • 「鶴の恩返し」に登場する鶴が機織りをし続けたのは、おじいさんから受けた恩への報いだ。
  • 世話になったことへのせめてもの報いで、ささやかな贈り物をした。

仕返し

相手にやられたことに対して仕返しをする、かねてから恨みに思っていることをやり返すという意味でも「報い」を使います。

土佐日記 一・二一

「海賊むくいせむといふなる事を」

[訳] 海賊が報復をするだろうと言っているとかいうことを。

「報い」と「酬い」は同じ意味?

酬い」(読み:むくい)は「返礼する」という意味の「報い」の同義語です。「酬」の漢字の意味は、主人が客人にお酒を出して客が返杯して酌み交わした後に、もう一度客に手厚く返杯することを表しています。元の意味から派生して、返礼するという意味が出てきました。

「報酬」

報酬」(読み:ほうしゅう)は、恩に報いてお礼をする意味です。個人事業主などに、働いたことの見返りとして支払われるお金という意味でも使われます。

【使用例】

  • 多額の報酬をいただきまして感謝しております。

「報い」の類語と意味

「業報」と「業報人」

業報」(読み:ごうほう)は、過去や前世で行った善悪の行為により、返ってくる結果を表します。

どちらかというと、「報い」と同様に悪い行為の方で使われることが多く、「業報人」(読み:ごっぽうにん)とした場合は、悪いことをして罰を受ける人のことをあざけって言う時に使われます。

【使用例】

  • 昔いじめた同級生が上司になって、こき使われるのは業報だ。
  • 業報人のくせに大きい口をきくな!

「復讐」

復讐」(読み:ふくしゅう)は、ひどい仕打ちを受けた人が相手に対してやり返す行為を表す言葉です。

【使用例】

  • 仕事で損害を受けたので、倍返しに復讐してやった。


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