「苔むす」とは?意味や使い方をご紹介

「苔むす」というと、国歌の君が代を思い浮かべる方もいるでしょう。単に苔が生えることだけでなく、派生した意味で使われています。日本の伝統や古くから受け継がれている品などに思いを馳せるだけでなく、「苔むす」をネット用語で使う例もあり注目されています。

目次

  1. 「苔むす」とは?
  2. 「苔むす」使い方
  3. 「苔むす」がネット用語に
  4. 「苔むす」の類語

「苔むす」とは?

「苔むす」とは、五段活用(古文では四段活用)の自動詞で苔が生える苔が生えて一面を覆い尽くすということです。「苔むす」の「むす」は、漢字で「生す・産す」と表記します。草などの植物が生えることを言います。

「苔むす」使い方

苔が生えて辺りの地面などを覆うまでには長い時間や年月がかかります。そこから、現代では、年月を経る古くなる永久に続いていくなどのニュアンスで用いられるようになっています。

年月を経て古めかしくなる

「苔むす」と文章で使うと、単に古くなるということではなく、かなりの年月が経っていて昔の時代に思いを馳せるような、伝統や歴史を感じさせる素晴らしさ古いからこそ感じさせる良さを印象づけます。

苔は日本の庭園やお寺の庭などに生えて、古式ゆかしい雰囲気を醸し出しています。「苔むす」という言葉で遺跡、古くからある庭園や建物を表すことで、日本の伝統や古来の物の美しさを際立たせることができるでしょう。

【文例】

  • 苔むした石畳が続く古刹(こさつ)には、参拝客がひっきりなしに訪れる。
  • 侘び寂び(わびさび)の文化が感じられる古都の苔むした日本庭園。

永久に続く

永久に続くという「苔むす」の使い方は、国歌「君が代」の歌詞でもおなじみです。渋い緑色の苔が、年月を経て地面いっぱいにそのまま生え続けていくことから、繁栄や良い出来事がそのまま続くようにと願って苔の様子に事寄せて使われます。

【例文】
「君が代」の歌詞では、苔むすという言葉を使って国の繁栄や天皇の御代がいつまでも続くようにと願われている。

「苔むす」がネット用語に

時間の経過を表現する「苔むす」は、インターネットでも使われるようになりました。ネット用語での意味は「草生える」と同様に「笑う」ことです。「むす」のローマ字表記の頭文字から取って「m」と表す場合もあります。

「苔むす」ネット用語の由来

この使い方は親子の微笑ましいエピソードから生み出されました。息子さんがスマートフォンを使い始めたお母さんに、「草生える」の意味を教えると、お母さんが「若い子が『草生える』と使うなら、自分は古風に『苔むす』と使おう」と言ったそうです。

息子さんが面白がりTwitterに投稿すると、閲覧したユーザーが「センスが良い」と拡散し、多くの人が気に入って新たにSNSやネット書き込みで使われるようになりました。

お母さんはその後、笑わずにはいられない「大草原不可避」という表現から、「日本庭園不可避」という「苔むす」から派生した新語を生み出しています。

「苔むす」の類語

古色蒼然

「古色蒼然」(こしょくそうぜん)とは、長い年月が経って古びて見える様子非常に古めかしいが歴史や趣を感じることなどを指す四字熟語です。

「古色」は古くて色褪せたり、変色していたりするもの、古風な雰囲気が感じられるもの、「蒼然」は古びたように見える様子のことで、同じような意味の熟語を重ねています。

【文例】

  • 古色蒼然とした茶器で、壊さないように気を使う。
  • おじいちゃんが生まれた時からある古色蒼然とした古時計。

古色古香

「古色古香」(こしょくここう)とは、昔の書や水墨画などの絵画が古くなり、独特の墨の色や香りがしている様子から、優雅で趣や風情を感じることを言います。

【文例】

  • 宿にあった掛け軸は、古色古香の素晴らしい物だった。
  • 無名の人の作品ではあるが、見事な筆さばきでまさに古色古香の書であった。

幾星霜

幾星霜」(いくせいそう)とは、長い年月のことを言います。単に長く年月を経たのではなく、人がはるか昔のことに思いを馳せて感慨深く感じる時に使われます。

「幾」は数え切れないほどのこと、「星霜」は毎年季節ごとに巡ってくる星や霜から、年月のことを言います。

【文例】

  • 人が地球に誕生してから幾星霜、何度争いをすれば気が済むのだろう。
  • 故郷を旅立ってから幾星霜を経て、ひとかどの人物となって戻ってきた。


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