「妙なる」の意味
「妙なる」(たえ-なる)は、形容動詞「妙なり」の連体形で、後の名詞の語を修飾します。不思議だと感じるくらい優れている様子、非常に素晴らしい、言葉で言い尽くせないほどの出来栄えといった意味です。
「妙」の漢字
「妙なる」に使われる「妙」という字は、女へんに少ないという字から成り、「若々しく美しい女性」を表し、そこから派生して、「非常に優れている」「深遠(奥深く計り知れない謎めいた不思議な様子)」「尋常ではない」といったことを表現するようになりました。
「妙なる」の使い方
「妙なる」は、書き言葉で使われる文語形の語句です。古風な語句で話し言葉ではあまり用いられません。
対象となる人や物事の素晴らしさや、腕前や技術が他よりも群を抜いて優れていることなどを褒める意味で使われる場合が多い言葉です。国内外の伝統ある文化や芸術に関することにも使われます。
「妙なる調べ」のように演奏が格別に素晴らしい、音色の響きがこの世のものと思えないというようなことを表せます。「調べ」は、古来から使われている語句で、音楽の演奏や音色、演奏した曲目のことです。
「妙なる」の例文
- 今まで馴染みがなかったが、雅楽の妙なる調べにすっかり夢中になった。
- 書道家の妙なる美しい筆さばきに見入っていた。
- 琴や笛の妙なる音色が耳に残っている。
「妙なる」の類語
「霊妙」(れいみょう)とは、人知を超えた神秘的なこと、想像もできないくらい優れていて神仏のように尊く感じられることを言い、「妙なる」とよく似ている表現です。「霊」には、魂以外に、不思議な、神聖な、人には計り知れないという意味もあります。
「霊妙」の例文
- 普通では考えられない霊妙な出来事に驚いた。
- 脇役の俳優の霊妙な演技は、主役を凌ぐほどだった。
「妙なる調和」とは?
イタリアの作曲家、ジャコモ・プッチーニ作のオペラ『トスカ』の第一幕、トスカの恋人で画家マリオ・カヴァラドッシ(テノール)が歌う「妙なる調和」と呼ばれるアリアがあります。
「妙なる調和」の内容は、自分の恋人フローリア・トスカが黒色の目に栗色の髪、教会で見かけた見知らぬ女性が金髪に青い目、対象的な二人の女性の美しさがそれぞれに似合った様子で調和している。まさに神様が与えた神秘的な芸術だというものです。
そして、アリアの最後、それでも自分の思いは恋人のトスカにあるということも歌っている。言わばのろけさえ感じるような歌詞ですね。メロディの美しさはもちろん、恋人への思いを朗々と歌い上げて人気のあるアリアです。