妙の意味
「妙」は「みょう」あるいは「たえ」と読みます。主に2つの意味があります。
1つは不思議なこと。普通とは違っていて、変な様子です。「奇妙」や「珍妙」という言葉通りの意味です。「妙な人」という場合にはこの意味になります。不思議、神秘的というよりも怪しい、おかしいというニュアンスの言葉です。
もう1つは良いことです。優れている、味がある、美しいなどの意味があります。単に優れているだけでなく、言葉では言い表せないほど、えもいわれぬ良さがあることを表します。「巧妙」や「絶妙」の場合がそうですね。「言い得て妙」もこちらのグループです。
最後に隠語として、愛人を指すこともあるようです。特にお寺の僧侶が囲っている女性を「妙」と呼んだといいます。
妙の由来
漢字の成り立ち
「妙」を分解すると、「少」と「女」になります。ですが少女が由来というわけではないようです。
「妙」の由来となったのは「奥ゆかしい女性」です。慎み深く、控えめな女性のことですね。控えめだから目に映る姿が小さい、見かける頻度が少ない。だから「妙」という漢字になったのだといわれています。
意味の由来
では、なぜ「奥ゆかしい女性」を表す字の意味が「不思議」や「良い」になったのでしょう?ヒントは「奥ゆかしい」という言葉の意味にあります。
「奥ゆかしい」は「奥行しい」に通じ、もっと知りたいという意味があります。女性のことをもっと知りたいと思うのはどうしてでしょうか?
例えば、外見が美しいから。あるいは、不思議で心惹かれたり、性格などが優れていると感じたりするからですね。そのため、優れていることを「妙」と表すようになったといいます。
妙の使い方
不思議なこと
- 誰もいないはずなのに、隠していたお菓子がなくなっている。妙なこともあるものだ。
- 運動しすぎたせいか、今日は妙にお腹がすく。
- 自分で食べたのに忘れているなんて、それは妙だ。
良いこと
- なかなかうまいことを言ったね。言い得て妙だ。
- 彼は演技の妙を心得ている。学生とは思えないほど上手い。
- あの職人は妙なる技の持ち主だから、ぜひその技を盗んでくるといい。
妙の関連語
妙妙
「妙妙(みょうみょう)」とはとても優れている、非常に良いという意味です。「妙」一つでも良いという意味ですが、二つ重ねることで程度を強めています。
微妙
「微妙(びみょう)」には2つの意味があります。1つ目は、何とも言えない趣や味わいがあることです。2つ目は、一言では表現できないほどに複雑できわどいことです。「美妙」の場合にはとても美しいという意味になります。
スラングとして使われる場合には、はっきり悪いとまでは言えないけれど決して良くはない様子や、良いとも悪いとも言い切れないグレーゾーンの評価などを表します。単にちょっとだけ、ほんの少しという意味で使われていることもあります。どちらかというとやや否定的な含みがあります。
妙の類義語
面妖
「面妖(めんよう)」とは不思議で怪しいという意味です。常識や理性では理解できないような不可解なことを指します。古風で時代がかった表現で、時代劇や時代小説などで見られます。
漢字はどちらも当て字です。元々は「名誉」から転じたといわれています。ちなみに「名誉」は世間からの高い評価や名声の類だけでなく、珍しいことや不思議なことという意味もあります。
奇怪
「奇怪(きかい)」とは常識はずれで不気味なことという意味です。普通に考えたらまずありえないようなこと、常識的にはあり得ないくらい怪しく不思議なことを指します。語順を入れ替えた「怪奇」も同様の意味です。
へんてこりん
「へんてこりん」とは奇妙で変という意味です。元々は「へんてこ」という言葉で、漢字では「変梃」と書きました。「りん」は口拍子の類で特に意味はありません。「ちんちくりん」の「りん」と同じです。