「尾を引く」とは?意味や使い方を類語や例文を含めてご紹介

「尾を振る」「尻尾を出す」など「尾」を使った慣用表現は多くあります。「尾を引く」もそのひとつ。尻尾を引っ張ることではなく、尾を引きずるといったニュアンスの言葉です。今回は、「尾を引く」の意味と使い方について、例文や類語を含めて紹介します。

目次

  1. 「尾を引く」とは
  2. 「尾を引く」の例文
  3. 「尾を引く」の類語

「尾を引く」とは

「尾を引く」を構成しているのは、「尾」と「引く」のふたつの言葉です。「尾」は、後ろ側やその時点よりも後のこと、後方にしっぽのように長く垂れているような形のものを指します。

一方、「引く」には幾つかの意味がありますが、ここでは、線状に伸びていく[延ばす]・その伸びた[延びた]ものが残るといったことを表しています。

「尾を引く」の意味

「尾を引く」には、流れ星が光の筋を残して落ちていくように、「線状に光り流れていく」という意味があります。

しかし、よく使われるのは、「後まで影響する」という意味です。ある出来事が解決して時間が経ってからも影響する、物事の気配が残るといったことを表す場合に用いられます。前者の意味から派生して、慣用表現として使われるようになったのでしょう。

「尾を引く」の例文

上で説明した「尾を引く」の二つの意味、①線状に光流れていく、②後まで影響する、に分けて使い方を見ていきます。

①線状に光り流れていく

①の意味の「尾を引く」は、用途が限定されています。おもに、彗星や流星群の光や、夜に走っている自動車のライトの残像が流れていく様子などを表す場合に使う表現です。

【例文】

  • 海上に吸い込まれるように、流れ星が尾を引いていく。
  • 自動車のライトが、右から左へ尾を引くように動いている。

②後まで影響する

②の意味の「尾を引く」は、多くの場合、悪い出来事についてずっと引きずっている状態、時間が経過しても影を落としている状態を表すのに用いられます。

【例文】

  • 小中学校のいじめが尾を引き、引きこもりになっている。
  • 元彼の手ひどい裏切りが尾を引き、恋愛に踏み出せない。

「尾を引く」の類語

ここでは、使用頻度が高い、②「後まで影響する」という意味の類語を紹介します。

「後を引く」

「後を引く」(あとをひく)には、「尾を引く」と同じように物事の影響が後まで続いて、気持ちに収まりがつかないという意味があります。

【例文】

  • 別れた彼女のことが後を引き、お付き合いしても比べてしまってうまく行かない。
  • 自分の行動が後を引き、兄弟と疎遠になったままだ。

ただし、「後を引く」は、美味しい物を食べたり飲んだりした時などに、もっと欲しいという気持ちが残ることを指す場合もありますが、「尾を引く」にはこのような用法はありません。

「糸を引く」

「糸を引く」(いとをひく)は、長期間影響すること、ずっと残ったまま絶えないことを指します。この由来は、綿花や蚕の繭から糸を引き出して細長く紡ぐ様子です。

【例文】

  • 普段は忘れていても、糸を引くように突然苦い思い出が沸き起こる。
  • 過去の出来事が糸を引いて、未だに人を信じられない。

「糸を引く」は、「尾を引く」には無い、多く意味を持つ言葉です。例を挙げれば、影から糸を使って人形を操る様子から、裏から指図して人を動かすという意味があります。また、粘つきが細く長く伸びる様子を糸に例えて、納豆などの食品の粘り気がある状態を指すこともありますね。

「名残」・「余波」

「名残」や「余波」と書いて「なごり」と読みます。いくつかの意味がありますが、「尾を引く」に類するのは、物事が終わって過ぎた後でも、まだ影響や雰囲気が残っているという意味です。

【例文】

  • 試合後でも熱戦の名残が感じられる。
  • 台風が過ぎ去っても、洪水や土砂崩れなどの余波があり注意が必要だ。

「尾を引く」は悪いことに使われるのに対し、「なごり」は、出来事の良し悪しは関係ありません。例えば、恋人と別れた時、相手への愛情が残っていても、辛い思い出を引きずっていても使うことができます。

なお、「なごり」はもともと「余波」という漢字をあてていました。強風の影響が残ることで起こる高波を「なみのこり」と呼び、音が変化して「なごり」となったのです。現在は音が同じ「名残」と書かれること多く、「余波」は「よは」と読まれています。


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