「シリアルキラー」とは
映画や小説などで「シリアルキラー」という言葉が出てくることがあります。これは、「シリアル」+「キラー」の2つの言葉からできている英語です。
「シリアル(serial)」は、連続した・一続きのという意味です。オートミールのような「シリアル(cerial)」とは別の言葉ですよ。'serial drama'(連続ドラマ)、'serial number'(通し番号)のように用いられます。
一方、「キラー(killer)」は、動詞'kill'(殺す・やっつけるなどの意)の派生語で、殺人者という意味です。'murderer'(殺人者)と同じ意味としてだけでなく、'weed killer'(除草剤)、'killer app'(大人気のアプリケーション)のようにも使われる言葉です。
「シリアルキラー」の意味
上記のことから、「シリアルキラー(serial killer)」は「連続殺人犯」を指す言葉であることがわかります。
シリアルキラーの定義は、FBI(Federal Bureau of Investigation:アメリカ連邦捜査局)では、おおよそ、次のようにまとめられています。
- 1人による犯行であること。(稀に複数犯の場合もある)
- 殺人の被害者が2人以上出ていること。
- それぞれの殺人事件が別個のもので、別々の時期に起きていること。
「シリアルキラー」の使い方
- シリアルキラーを題材にした小説や映画などは多く存在している。
- 殺害自体を目的としたシリアルキラーの殺人は、テロリストや犯罪組織などによる殺人とは区別されている。
- シリアルキラー的傾向がある人が、必ずしもシリアルキラーになるとは限らない。
「シリアルキラー」の由来
「シリアルキラー」は、元FBI捜査官のロバート・K・レスラーによって、殺人犯テッド・バンディを表すために提唱された言葉とされています。
元祖シリアルキラー「テッド・バンディ」
テッド・バンディこと、セオドア・ロバート・バンディ(1946-1989)は、アメリカで36人以上の女性を殺害した連続殺人犯です。
逮捕のきっかけは、信号無視で警官に車を止められたこと。当時、バンディは恋人とその3人の連れ子たちと平和に暮らしていたので、「まさか、あの人が」と周囲の人たちを驚かせました。
バンディは、警察の捜査網を掻い潜る、二度の脱獄に成功する、裁判にあたっては自己弁護を行うなど、非常に知能が高い人物でした。また、顔立ちも整っており、話術や演技にも長けていたそうです。
「シリアルキラー」という言葉以外にも、アメリカのポルノ規制に関する法案(通称:バンディ法案)や全米の殺人事件に関するデータベースはバンディがきっかけとなって作成されました。これらからも、全米に与えた恐怖や衝撃の大きさを窺い知ることができるでしょう。
名付け親「ロバート・K・レスラー」
ロバート・K・レスラー(1937-2013)は元FBI特別捜査官で、プロファイラー(profiler)として多くの凶悪犯と面談し、そこから得た知識を活かして数々の難事件の解決に貢献しました。
プロファイラーとは、プロファイリング(profiling:統計学を主とした犯罪者の行動や心理パターンの分析)を行う人のことです。
著書『FBI心理分析官(原題:Whoever Fights Monsters)』は日本でもベストセラーになったので、ご存知の方もおられるでしょう。レスラーは、オウム真理教事件や神戸連続児童殺傷事件など、日本の事件についてもプロファイリングを行いました。
「シリアルキラー」の関連語
「サイコキラー」
「サイコキラー(phycho killer)」は、猟奇殺人(常軌を逸した殺人)や快楽殺人を繰り返す殺人犯を指します。その原因は、サイコパス(phychopass:反社会性パーソナリティ障害・精神病質)など。ただし、精神病質者が、実際に犯罪を行うケースはほとんどありません。
「スプリーキラー」
「スプリー(spree)」には、お祭り騒ぎ・盛んな活動などの意味があります。「スプリーキラー(spree killer)」とは、短期間に複数の場所で殺人を犯す人を指します。
「シリアルキラー」が、次の犯行までの冷却期間があるのに対し、「スプリーキラー」は犯行と犯行のインターバルが短いものを指しますが、その区別は曖昧なようです。