「つくづく」とは?
「つくづく」は、漢字では「熟」もしくは「熟熟」と表記されますが、ほぼ平仮名で記されます。動詞を修飾する役割をもつ副詞です。
「つくづく」の意味は大きくわけて次の三つです。
- ある行為に心を没入し、集中するさま、静かに深くなにかを考えること、注意深く観察などするさま。
- 物事を深く痛切に感じること、物寂しく沈んだ気持ちでいること。
- ぼんやりと物寂しいさま、しんみりすること。
現代の日本語では1と2の意味でのみ使われています。もともと「熟熟」と漢字を重ねてできた言葉であるため、平仮名の「つくずく」は誤りで「つくづく」が正しい表記です。
「つくづく」の使い方
「つくづく」は、「心から」「集中して」「痛切に」「深く」なにかを感じたり、観察したりする様子を表すことから、結果としてそれらの行為を強調する役割も担うことがあります。
「つくづく見る」「つくづく思う」「つくづく凄い」などのように、ただ「見る」「思う」「凄い」と表現するよりも、(集中してじっと)見る、(痛切に、心から)思う、(本当に)凄い、というような実感を強調して表すことができます。
「つくづく」の文例
(A男)
近年は、豪雨や台風などの自然災害が「これまでに経験のない」と表現されることが多いね。つくづく温暖化対策の重要性を感じるよ。
(B子)
今、自転車にはまっているの。風を切って街を走るのって、つくづく気持ちいいわ。
(C男)
つくづく考えたんだけど、外国の人々の政治へのかかわりに比べて、日本人は自分の声をあげる人が少ないね。
(D子)
大きな失敗をしても気にせず前を向ける人って、つくづく楽天家だと思うわ。
「つくづく」の類語
「しみじみ」の意味と使い方
「しみじみ」は、「染み染み」が由来であることからも、その意味が推察されます。つまりは、心に染みてゆくようなさまを表す副詞です。
おもな意味は次の三つです。①深く心に染み入り、感じ入るさま。②しんみり、互いの心に染み入るように打ち解けるさま。心静かなさま。③心からそのように感じるさま。
「つくづく」においては、「物悲しい、しんみりとする」という、昔は使われたものの現代の日本語からは消失した意味がありましたが、「しみじみ」はその意味でも用いられています。
【文例】
- 温泉にゆったり入っていると、しみじみ日本に生まれて幸せだと思う。
- 三年ぶりに会えた親友と、夜が明けるまでしみじみと語り合った。
- 夜遅く、灯りもなく冷えた部屋に帰る時、独身の寂しさをしみじみ感じる。
「心底」の意味と使い方
「心底」(しんそこ)は、読んで字のごとく、「心の底から」、すなわち心から、本当に、という意味をもつ副詞です。「つくづく」と同様に、修飾する動詞を強調する役割もあります。
「心底」には名詞としての働きもあります。心の奥底、物事の奥底、一番深いところ、という意味をもちます。名詞では「真底」と表記する場合もあります。
【文例】
- 仕事でどれほど失敗しても決して投げ出さない君は、心底強い人間だと思うよ。
- あなたは心底だんなさまから愛されているのね。
「まったく」の意味と使い方
「まったく」は、漢字では(全く)と表記します。多義的な言葉ですが、「つくづく」の類語としての意味は、対象とする事実や物事の判断について強調する気持ちを表す、実に、本当に、きわめて、などが該当します。
「まったく」も、「つくづく」と同様に、強調の役割も担いますが、心を集中して考えるさまや、注意深く観察する、というような意味はもちません。
【文例】
- 君の仕事への集中力はまったく驚くべきものだね。
- この職場は男女差別もなく、まったくの能力主義なので、やる気がでるわ。