「厨二」とは
「中二病<ちゅうにびょう>」という言葉が使われ始めたのは1999年とされています。「厨二病<ちゅうにびょう>」は「中二病」に別の漢字を当ててできたネットスラングです。
「厨二<ちゅうに>」は、多くの場合は「厨二病」の略として用いられています。
「中二病」とは
「厨二(厨二病)」について詳しく知るために、「中二病」を紐解いていきましょう。
俗語の「中二病」
「中二病」とは、思春期によくみられる不安定な精神状態による言動や態度を表す俗語です。どのような精神状態かというと、自分が特別な存在であるという自己顕示欲、逆に、自分は何者にもなれないといった劣等感などがない交ぜになった状態です。
思春期とは子供から大人へと成長する頃、一般的には、12〜17歳くらいを指します。「中学二年生」は、思春期の象徴として捉えられ、「中二病」という表現が生まれました。なお、「中二病」は医学的な病名ではありませんので、治療が必要なものではありません。
ネットスラングの「中二病」
この「中二病」という言葉がネット上で用いられる場合は、俗語で用いられている「中二病」を「イタい」と揶揄するニュアンスが強くなります。
周りで見ていて呆れる、思い返すと恥ずかしいとされる思春期の言動とは、例えば次のようなものです。
- 自分に隠れた力が眠っている、異世界から来たなど物語性の強い設定を与える
- 極度に正義漢ぶったり悪役ぶったりする
- 見識が狭いのに社会を批判する
- 全てを諦めて世間と距離を取る
また、大人になっても思春期のような振る舞いが抜けきらない人に対して、「こじらせている」とバカにする意味合いで用いられることもあります。
「厨二」の意味・使い方
「厨二」の意味
「厨二(厨二病)」は、多くの場合、上記のネットスラングの「中二病」と同じように使われます。簡単に言えば、「言動が幼稚でイタい人」「思春期をこじらせている人」といったところでしょう。
「厨二」の使い方
「厨二」は、イタい人やこじらせている人を揶揄する場合だけでなく、自虐的に表現する時にも使われる言葉です。また、「厨二心」「厨二的」などの複合語として使用されることもあります。
「厨二」の使用例
- この写真のお前のポーズ、厨二っぽいw
- この台詞は厨二心をくすぐられるね。
- この映画は随分と厨二的な展開なんだな。
- 今の言い方は厨二くさかったかな(汗)
「厨二」の類語
「ピーターパンシンドローム」
「ピーターパンシンドローム(Peter Pan syndrome)」は、『ピーター=パン』の主人公で、永遠の少年、ピーター=パンに由来する言葉です。
大人になっても精神的に未熟なままで、社会に入っていけない男性を指し、「ピーターパン症候群」とも呼ばれます。
「邪気眼」
「邪気眼<じゃきがん>」は、元来は「人には見えない目」といった意味です。しかし、自分がアニメやゲームなどのキャラクタになったかのような空想の類を指す場合もあります。
こうなった由来は、2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)に書き込まれた子供時代の妄想のうち、「邪気眼があるという設定で生きていた」という書き込みです。そのため、「邪気眼」は中二病の象徴のひとつとして用いられるようになりました。
「自己陶酔」
「自己陶酔<じことうすい>」とは、自分の言動や考えをとても素晴らしいものとして、自分に酔いしれることを指す言葉です。「厨二」と同義ではありませんが、中二病のひとりよがりな部分を「自己陶酔」と表すことができるでしょう。
「粋がる」
「粋がる<いきがる>」とは、粋(身なりや言動が垢抜けている)だと思って得意になっている、あるいは、虚勢を張ることを指します。若者の間で使われている「イキってる」も同じですね。
「厨二病」の自分が特別な存在であるという立ち振る舞いなどは、「粋がっている」と表現できます。
「厨」を含むネットスラング
「厨二」以外にも「厨」の字を含むネットスラングはあります。しかし、多くの場合は、「中毒」の略の「中」を置き換えているので、「中毒」という意味です。
【例】
- 不謹慎厨:他人に過剰なまでに自粛を求める人。
- 出会い厨:恋愛あるいは性的関係を求めてオフ会に参加したりSNSを利用する人。
- 転売厨:転売目的で購入したものを、オークションサイトなどで転売する人。「転売ヤー」。
- 懐古厨:今を否定して「昔は良かった」と懐かしんでばかりいる人。
- 原作厨:小説や漫画などを原作としたアニメやドラマが製作された際、原作を重んじて派生作品に否定的な人。「原作至上主義」。