「中二病」とは?
「中二病(ちゅうにびょう)」とは、中学2年生ころの思春期にありがちな、過剰な自意識と、大人ぶった行動・思考のことを指します。転じて、そのころに行いがちな、自己愛に満ちあふれた「痛い」言動をからかったネットスラングとしても使われます。
「病」という言葉が使われていますが、医学的な意味での病気のことではなく、精神疾患とも関係はありません。
「中二病」の始まりと広がり
「中二病」という言葉は、タレント伊集院光(いじゅういんひかる)さんが、TBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』で発言した「自分が未だ中二病に罹患している」から始まります。
1999年1月11日放送の番組内でこの発言をしたあと、リスナーから「症例」という名の投稿を集めて、翌週1月18日から「かかったかな?と思ったら中二病」というコーナーが始まり、 同年3月22日まで続きました。
このコーナーで、伊集院さんは、「『因数分解が何の役に立つのか?』『大人は汚い』と言い出す」「本当の親友を探そうとする」などの例を挙げています。
このコーナーの終了後、2000年代半ばころから、インターネット上の掲示板などで広く使われるようになります。インターネット上で使われるときは、このような中二病的な言動をからかう表現として使われ、「厨二病(ちゅうにびょう)」と表記されることもあります。
「中二病」の分類
ライトノベル作家の塞神雹夜(さえがみひょうや)さんが書いた 『中二病取扱説明書(ちゅうにびょうとりあつかいせつめいしょ)』(2008年、コトブキヤより出版)では、次のような中二病の分類がされています。
DQN系
DQN(ドキュン)とは、社会的な常識に乏しく、反社会的な行動をとる人たちを指す言葉です。
DQN系の中二病は、不良ぶったり、反社会的な行動をとったりするのがカッコイイ、と思っています。あくまで悪ぶっているだけで実際に悪いことをすることは少なく、ほんとうはまじめな性格であることが多いようです。
権力にたてつく発言をしてみたり、けんかが強いとか、ちょっと悪いことをしたとかというような虚言を並べてみたりします。
サブカル系
サブカルとは、サブカルチャーの略です。社会の多数を占める文化に対して、一部の特定の集団だけが持っている独特の文化を指します。
サブカルのようなちょっと難しい文化がわかる、流行に流されない、そんな自分が個性的でカッコイイ、と思っているのがこのタイプです。実際にサブカルが好き、というよりは、サブカルが好きな自分が好き、と言いかえることもできそうです。
良くはわかっていないのに洋楽を聞いてみたり、人気のあるバンドを、みんなが知らなかったインディーズのころから好きだったと言ってみたりします。
邪気眼系
邪気眼(じゃきがん)は、選ばれしものが持つという第三の眼、隠された力のことです。このタイプの中二病における設定です。
アニメや漫画などの影響を受けて、自分には隠されたすごい力があると妄想しています。また、現実世界にもその設定を持ち込んで、キャラクターを作りこんでいます。中二病の代表的な症状でもあります。
「中二病」で使われやすい言葉の例
- 虚無(きょむ)
- 久遠(くおん)
- 愚者(ぐしゃ)
- 幻想(げんそう)
- 混沌(こんとん)
- 宿命(さだめ)
- 残虐(ざんぎゃく)
- 漆黒(しっこく)
- 終焉(しゅうえん)
- 深淵(しんえん)
- 刹那(せつな)
- 堕天使(だてんし)
- 破壊(はかい)
- 闇(やみ)
- 輪廻(りんね)
使用例
- 漆黒の闇より生まれし堕天使
- 血塗られた愚者の幻想
- 久遠なる虚無に生きる乙女たちの運命(さだめ)
中二病でも恋がしたい
『中二病でも恋がしたい(ちゅうにびょうでもこいがしたい)』は、日本のライトノベルで、著者は虎虎(とらこ)さんです。高校1年生で以前に中二病だった富樫勇太(とがしゆうた)と、現在、中二病の小鳥遊六花(たかなしりっか)を中心にした学園ラブコメディです。
この作品は、2012年にテレビアニメとして放映され、2013年には劇場版アニメにもなりました。その後、2014年にテレビアニメの第2期が、2018年には完全オリジナルで2作めの劇場版アニメが発表されています。