「ビッチ」とは?意味や使い方をご紹介

「ビッチ(bitch)」は「雌犬(めすいぬ)」を意味するカタカナ語です。英語圏では非常に多義的な使われ方をしている言葉ですが、日本では女性を差別する意図が含まれているかもしれません。ここでは、主に日本における「ビッチ」の語源や意味、用法について解説します。

目次

  1. 「ビッチ」とは
  2. 日本における「ビッチ」
  3. 日本における「ビッチ」を含む用語
  4. 「ビッチ」の用法
  5. まとめと注意点

「ビッチ」とは

「ビッチ」の語源

「ビッチ」は英語の“bitch”からきたカタカナ語です。辞書的な意味は「雌(めす)のイヌやキツネ、カワウソ」となりますが、スラング(俗語)としては驚くほど多様な使われ方をしています。

「ビッチ」の展開

“bitch”という英単語が使われる様になったのは12世紀のこととされています。大元は「雌犬」を意味する古英語の“bicce”でした。

“bitch”は古くからある「みだらな女」や「尻軽女」、もしくは「女性っぽいゲイの男性」を指す侮蔑的な表現です。また「意地悪」であったり、「勝気で冷酷な女」という意味にも使われます。俗語としては「女性一般」もしくは「いけてる女」を指したり、親しい男性がお互いを呼び合う際にも使ったりします。

そればかりか、「難しいこと」や「厄介なこと」という意味(“It's a bitch to buy a car!”で「車買うなんてやべえよ!」といった意味)であったり、単なる悪態(“Son of a bitch!”は「雌犬の息子」と言う意味だが「クソッ!」とか「畜生!」と言うニュアンスで使われる)であったりします。

「ビッチ」の多義性

英語のスラング(俗語)における“bitch”はあまりにも多義的なので、ここではあまり詳しく触れることはしませんが、現在では性的なニュアンスは幾分か薄れているようです。

それどころか、「現代的な、自己主張する、(男に負けないような)強い女性」として“bitch”を使おうとする、女性の側からの取り組みもあります。歌手のマドンナは、自分に向けられた“bitch”という言葉を上記の様な意味合いで肯定する発言をしています。

また、フェミニストたちの間では“BITCH”とは「Beautiful, Intelligent, Talented, Creative & Honest(美しく、賢く、才能があり、創造的で、誠実)」の略語だとする主張もあります。

日本における「ビッチ」

日本における「ビッチ」とは

日本において「ビッチ」は、主として「性的に奔放な女性」を指す意味で使われることが多いようで、英語の“bitch”ほど多義的ではありません

また「ビッチ」には「男に対して物怖じせず、自分から進んで性欲を満たそうとする、遊び人風の女性(肉食系女子)」といったような先入観があるのか、「清純(派)」「奥手」「お嬢様」などが対義語的に使われているようです。

日本における「ビッチ」を含む用語

以下では、「ビッチ」という言葉から派生した言葉や、「ビッチ」を含む言葉を紹介します。

「セレビッチ」

「セレビッチ」はコラムニストの辛酸なめ子の造語で、「セレブ」と「ビッチ」を足し合わせた言葉となります。イメージとしては「パリス・ヒルトン」のような「自由奔放な女性セレブリティ」を指すものでしょう。

またオークラ出版から、2007年に出版された雑誌「Celeb-ich(セレビッチ、Oak Mook 181)」は、そのあまりといえばあまりな名称によって、一時期ネットで話題になりました。「セレブだってビッチになりたいときがある、ビッチだってセレブになりたいときがある」がコンセプトで、女性編集者を中心に製作されたようです。

清楚系ビッチ

見た目が遊び人風でないにもかかわらず、男性関係が奔放な女性のことを「清楚系ビッチ」と表現することがあります。「清楚」と「ビッチ」という、一見相反する言葉が組み合わされることで、印象としてはより強烈になる感じがします。

「クソビッチ」

単に「ビッチ」と言うと、(語源の“bitch”や「セレビッチ」がそうであったように)どこか肯定的なニュアンスも含まれるようにも思えますが、「クソビッチ」と言った場合には十中八九、悪口だと思ってよいでしょう。

例えば「あいつクソだわ」と言えば、「あの人は性格が悪い」や「人格や行動に問題がある」という意味になるように、「クソ」には人格否定のニュアンスが含まれています。そのため「クソ=ビッチ」は端的に言えば「(性格・人品の)悪いビッチ」という意味合いになります。

「ビッチ」の用法

「ビッチ」の実際に即した用法としては以下のようなものになります。「『経験人数は何人?』と聞かれたので3人と答えたら『とんだビッチですね』と言われた」、もしくは「子供ができたって言うから調べたら、別の男の子供だった。あの女、マジクソビッチだわ」などです。

しかしながら、こうした「ビッチ」の使用方法は女性に対する侮蔑の意味が込められていますので、よっぽど近しい間柄でクローズな場所でない限りは、使用は控えるべきでしょう。

まとめと注意点

ここでは触れませんでしたが、日本語の「ビッチ」には、他にもたくさんの類語があります。例としては「ヤリマン」「アバズレ」「売女(ばいた)」「ずべ公」「サークルクラッシャー」などです。

こうした言葉の多くは、男性が女性を、もしくは女性が女性を卑下する意図で使われています。これらの侮蔑語や差別語は、面白半分に使われることがほとんどだと思いますが、言われた方は当然不愉快になりますし、深く傷つくことがあります。

それだけではなく、使用者本人の品性が疑われることは間違いありません。場合によっては言葉の安易なチョイスが原因で、停学や退学になったり、公職を追われたりすることもあり得るでしょう。

言葉は「ある」からといって、おいそれと使っていいものではありません。「ある」ものを使うのは自由ですが、そこには必ず責任が生じるということは、心に刻んでおくべきです。そして、言葉の存在を認知し、意味や成立した背景についてきちんと学び、その上で「私は使わない」とする選択もまた、私たちの自由に委ねられているのです。
 

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