「端々」とは?意味や使い方をご紹介

「日々(日日)」「重々(重重)」「嬉々(嬉嬉)」など、同じ漢字を重ねて意味を強調して使うことはよくありますね。「端々(端端)」もまた、このような用法の一種です。今回は「端々」<はしばし>の意味や使い方について解説します。

目次

  1. 「端々」とは
  2. 「端々」の使い方
  3. 「端々」の類語
  4. 「言葉の端々」と「言葉の節々」

「端々」とは

「端々<はしばし>」は、「あちこちの部分・ちょっとした箇所」「田舎。中央から離れたあちらこちら」という意味です。現代においては、ほとんどが前者の意味で用いられます。

<はしばし>以外の読み方

現代においては「端々・端端」を<はしばし>以外の読み方で読むことはほとんどありません。しかし、下のような読み方、意味が存在します。

  • <そばそば>:はしばし。隅々<すみずみ>。
  • <つまづま>:物事のはしばし。隅々。
  • <はつはつ>:ちらっと。微か<かすか>。

「端」の字義

「端」は、音読みでは<タン>、訓読みでは<はし・はた・は・ただ(しい)・はした・はじ(め)・はな>と読みます。その意味は、「へり・ふち」「正しい・きちんとしている」「はんぱ」「糸口・きっかけ・兆し」などです。

「端々」の使い方

あちこちの部分

「端々」で一番多く使われる言い回しは「言葉の端々」でしょう。そのほかにも「話の端々」「文章の端々」「態度の端々」などがよく用いられています。

どちらかというと、「ここ」「そこ」と指差して説明できないような事柄(雰囲気・気配など)に対して使うことが多く、物理的な箇所を指摘する用法はポピュラーではありません。

【例文】

  • 言葉の端々から、妻の苛立ちが感じられた。
  • 彼は言葉の端々にトゲがあるな。
  • 重役達の会話の端々から自分の名前が聞こえてきて不安が沸き起こった。
  • 手紙の端々から、彼女の気遣いが伝わってくる。
  • 自分に対して彼が優越感を抱いていることは、態度の端々から窺える。
  • 先生の所作の端々からは気品が感じられる。
  • 警官がすごむと人垣は端々から崩れ始めた。

中央から離れたあちらこちら

上記の「あちこちの部分」と違い、こちらは物理的に「ここ」「そこ」と説明できるような場所や部分を指す場合に使います。

【例文】

  • 国の端々まで、彼の名声が伝わっていた。
  • この単語は標準語ではないが、端々では使われていることもある。

「端々」の類語

あちこちの部分

「あちこち」が指す箇所がたくさんある場合には「随所」、そこまで多くない場合には「そこかしこ」「ところどころ」などで置き換えて表現することができるでしょう。

  • 随所<ずいしょ>:そこら中。至る所。
  • そこかしこ(其処彼処):方々<ほうぼう>。あちこち。
  • ところどころ(所々):方々<ほうぼう>。あちこち。

中央から離れたあちらこちら

「あちらこちら」が指し示す箇所が多ければ「津々浦々」、まばらであれば「ちらほら」、ランダムに散らばっているならば「点々」「散在」で言い換えることができるでしょう。ただし、「端々」のように、中央から離れたというニュアンスはありません。

  • 津々浦々<つつうらうら>:全国の至る所。
  • ちらほら:あちらこちらに少しずつまばらに存在している様子。
  • 点々<てんてん>:あちらこちらに散らばっている様子。
  • 散在<さんざい>:散らばって存在していること。

「言葉の端々」と「言葉の節々」

近頃、ネット上では「言葉の端々」と「言葉の節々」のどちらが正しいのか?という記事が多く見られます。それを見て「あれ?今まで間違って使っていたのかな?」と不安になった人もいるでしょう。

そもそも、この問題が取り上げらえるようになったきっかけは、ある人気アーティスト、スキマスイッチの『飲みに来ないか』という曲の歌詞に「君の言葉の節々にいつもトゲがあるから」というフレーズが使われていることらしいのです。

「節々」の意味

「節々」は<せつせつ>と読む場合は、「度々・時々」という意味です。しかし、歌の中では<ふしぶし>と読んでいますので、「①身体のあちこちの関節」「②幾つかの箇所」「③その時々」という意味です。

この3つの意味のうち、「言葉の〜」に繋がりそうなのは②です。辞書的には、「端々」の「あちこちの箇所」という意味と似ていますね。

「節々」の使い方

【例文】

  • 彼女が発する言葉の節々には皮肉が込められていた。
  • 彼の態度には怪しい節々があるね。
  • 文章の節々に彼特有の表現が見て取れる。
  • この映像には節々に印象的な風景が挿入されている。

「言葉の節々」「態度の節々」といった表現の事例がないわけではありませんが、数は多くありません。

また、「文章」や「映像」など、段落やシーンの切り替わりといった明らかな「節目」があるようなものに対して、「節目の幾つかに」というニュアンスで使うのが、本来の「節々」の用例ではないかと考えられます。

「言葉の端々」と「言葉の節々」の違い

現状では、「言葉の端々」という表現の方が主流ですが、「言葉の節々」も慣用的使われることがあり、完全に誤用であるとまでは言い切れないようです。しかし、人によっては誤用と捉えている場合もあるでしょうから、「言葉の端々」を使う方が無難でしょう。


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