「仔細」とは?
「仔細」(しさい)という言葉には、以下の3つの意味があります。
- 詳細。委細(いさい)。
- 事のくわしい事情。いわれ。
- 差支えとなる事柄。言うに言えない事情。
「仔」が小さいこと、「細」がこまかいことの意味ですので、まずは「小さく、細かいこと(そのような事情や説明)」というイメージで「仔細」を捉えるとよいでしょう。
3番目の意味は、いっけん小さくて見過ごされがちな情報、すなわち「表面にはなかなか現れない、隠された特別な事情」と考えるとわかりやすいかもしれません。
「子細」とも書く
「仔細」は、人偏を省いて「子細」と書かれることもあります。「仔」(シ)の字は、ここでは「子」と同じように「小さいもの」の意味ですので、どちらを使っても意味は同じです。
「仔細」の使い方
「小さく細かいこと」
「仔細」の基本的な使い方は、主に精密な情報の取り扱いが必要となるシーンにおいて、「詳しく、細かい情報」や、「小さな要素も見逃さないよう、慎重に細かく物事を見ること」を表したい場合です。
特にビジネスシーンでは、ある対象について大まかな認識を持つだけではなく、細かいところまでしっかり把握しなければならない、という状況が少なくありません。そうした場合に使われるのが「仔細」です。
【例文】
- この案件は、仔細に調査した上で着手する必要がある。
- 仔細に検討を重ねて提出した企画書が、社長の目に留まって実現することになった。
- 「仔細、承知いたしました」と先方からメールがあった。
「言うに言えない事情」
「仔細」のもうひとつの使い方は、「言うに言えない事情」を表す場合です。例えば、表立って言えないような異義・面倒・不満・不安・小言のたぐいが「仔細」の意義として含まれます。
この場合、「何らかの事情」が存在するかどうか確定的でなくても、「何か隠された意図がありそうだ」「意味ありげだ」という疑いのニュアンスでも「仔細」を使うことができます。
【例文】
- 議論の間、彼は黙っていたが、終始仔細ありげな表情をしていた。
- 何か仔細あれば、プロジェクトが始まる前に話しておけと上司は部下に諭した。
「仔細」と「詳細」の違い
「仔細」と「詳細」は、ともに「こまかいこと」という共通点があり、その意味・使い方はよく似ています。しかし、厳密な目で見ると、以下のような違いがあります。
- 「仔細」…物事の慎重を期すために、細かくみる
- 「詳細」…物事の完全性を期すために、細かくみる
例えば、「詳細を知る」といえば、ある物事の全体を知ることを意味しますが、「仔細を知る」は、その物事の個々の要素を、さらに具体的かつ慎重に精査するというニュアンスです。
「仔細」を含む言葉
- 仔細顔(しさいがお)…何かわけがありそうな顔つき
- 仔細者(しさいもの)…ひとくせありそうな者。あれこれ言い立てる者。
- 仔細に及ばず…かれこれ言うまでもない。
「仔細」を英語で言うと?
「仔細」を英語で言う場合には「in detail」が適切です。日本語でも、「ディテールを明らかにする」などと使われることがありますね。また、「closely」(綿密に、注意して)でも良いでしょう。
また、「言うに言えない事情」の意味で「仔細」という場合には、何らかの動作に「with meanings」(何か意味を込めて)を付け足して表現します。
例文
- Chief said "please explain more in detail".(チーフは「もっと仔細に説明をしてくれ」と言った)
- Study this report closely.(このレポートを仔細に検討せよ)
- She glanced at him with meanings.(彼女は仔細ありげに彼を見た)