「諌める」の意味
「諌める(いさめる)」には、以下のような意味があります。
- 目上の人に不正や欠点を改めるよう忠告する。
- 禁止する。制止する。
1の意味で使われることが多く、2の意味ではほぼ使われていません。そのため、「諌める」は目上の人に対して忠告するときに使う言葉と理解しておけば良いでしょう。
「諌める」の使い方
「諌める」を使う際に気をつけたいのが、あくまで「目上の人」に対して使う言葉だという点です。部下や後輩などといった、目下の人に対しては使わないので注意しましょう。
また指摘する内容も、不正や欠点の改善を求める「忠告」でなければなりません。「忠告」という言葉には「まごころを込めて」指摘するという意味が含まれています。
自分より上の立場の人に意見するのですから、それ相応の思いと覚悟をもっているというわけです。気持ちのあまり込もっていない簡単な注意や事務的な指摘などに対しては用いないので気をつけましょう。
「諌める」の例文・使用例
- 大物俳優となった彼は天狗になっているので、いくら事務所の社長が彼を諌めてもまったく聞き入れないだろう。
- 上の連中をビシッと諌めるような、勇気のある若手が登場するといいんだけどな。
- 彼は勇気をもって課長の態度を諌めたが、課長は素直には聞き入れずに持論をまくし立てた。
- だれもあのコメンテーターを諌めることができないので、いつまでも偉そうに喋り続けている。
「諌める」の類語
直諫する
「直諫する(ちょっかんする)」とは、「遠慮することなく率直に目上の人をいさめること」を指す言葉です。「直諌する」は、「まっすぐ」や「率直」という意味をもつ「直」と「諌める」から構成されています。
【使用例】
- 自分の身をかえりみずに直諫できる人物こそが、真に優秀な部下だと私は思うよ。
- 部下の直諫があったからこそ、今私は第一線で働くことが出来ているんだと感じる。
忠言する
「忠言する(ちゅうげんする)」とは、「まごころをこめていさめること」を意味する言葉です。「忠」という字には「まごころをこめて、よくつとめを果たすこと」や「君主や国家に対して、まごころを尽くすこと」という意味があります。
【使用例】
- 彼は現行プロジェクトの問題点と改善案を課長に忠言した後、すぐにデータ分析作業の続きを始めた。
- 将軍に忠言できる人がいれば、こんな乱れた部隊にはならなかったのかもしれない。
戒飭
「戒飭(かいちょく)」とは、「人に注意を与えて慎ませること」や「自ら気をつけて慎むこと」を言います。
「戒」という字には「いましめ」、「飭」という字には「いましめる」「つつしむ」「ただす」といった意味があります。「戒飭」とは、似たようなニュアンスを持つ「戒」と「飭」を並べることで、意味を強めている語です。
【使用例】
- 審議を不用意に遅延させたとして、彼は所属する団体から戒飭を食らった。
- 憲法は「表現の自由」を保障しているが、それと同時に、その濫用を戒飭している。
諭す
「諭す(さとす)」とは、「物事の道理をよくわかるように話し聞かせる」「納得するように教え導く」ことを指す言葉です。なお、「諭す」は部下や後輩といった目下の人に使うという点では、「諌める」とは異なります。
【使用例】
- 私は部下に、進捗をごまかすのはよくないと諭した。
- 「人生はお金だけじゃないのよ」と母は諭すように言った。
「諌」の字義
「諌」という字は、「カン・ケン」または「いさ-める」と読み、以下のような意味があります。
- 目上の人の不正をおさえとどめるために意見する。
- 過ちを正す。良し悪しをわけてとがめる。してしまったあとから文句をつける。
「諌」は、いさめるこ・いさめる言葉を指す「諫言(かんげん)」、いさめて正しくするという意味の「諌正(かんせい)」のような熟語としても用いられます。