「夜伽」の意味
「夜伽(よとぎ)」とは、以下のような意味を持つ言葉です。
- 主君のため、病人のためなどに、夜寝ないで付き添うこと。
- 女性が男性の意に従って夜の共寝をすること。
- 通夜(つや)に死者のかたわらで夜どおし過ごすこと。
すべての意味に共通するのが、「夜どおし相手に付き添う」という点です。現代では、1の意味で使うことはほぼありません。2の意味が、最も一般的に知られていますが、性的なイメージがあるため日常会話などで使うことは少ない言葉です。
「夜伽」の使い方
やや古い言葉ということもあり、「夜伽」という表現は、日常生活ではあまり耳にしません。可能ならば、「夜伽」という言葉は用いずに、他の似たようなニュアンスの言葉を使ったほうが、コミュニケーションを円滑に進めることができるでしょう。
また「夜伽」という言葉に対して性的なイメージを抱く方も多いことを踏まえた上で、誤解されないよう適切な用い方を考える必要があります。
「夜伽」の例文・使用例
- 母は風邪で高熱を出して動けなくなった父を夜伽で看病している。
- テレビドラマで夜伽のシーンが放送され、翌日のワイドショーはその話題で持ち切りとなった。
- 祖母の通夜では私の母が夜伽をつとめ、線香とロウソクの火を絶やさないようにしていた。
- 夜伽は体に負担がかかるので、今回の通夜は夜伽は無しにして斎場で行いましょう。
「伽」の字義
「伽」という字には、以下のような意味があります。
- 退屈をなぐさめるために話し相手をすること。また、その人。
- 病人の世話をすること。看病。
- 通夜。
- 「御伽衆 (おとぎしゅう) 」に同じ。
- 寝所での相手をすること。また、その人。
「伽」に「夜」が付くことで、「夜どおし相手をする」や「夜どおし看病する」「夜の相手をする」といったニュアンスが加わり、「夜伽」の意味となりました。
なお4の「御伽衆」とは、室町末期以後、将軍・大名のそばにいて話し相手や書物の講釈などをした人のことを言います。話し上手な人や、特殊な技術を持っている人、経験豊かな人などが担当した役割です。
「夜伽」の類語①
「夜伽」を「病人のためなどに、寝ないで付き添うこと」という意味で用いた場合の類義語をあげます。
看病
「看病(かんびょう)」とは、「病人に付き添って世話をすること」を指す言葉です。「看」という字には「見舞う」「世話をする」「介抱する」といった意味があります。
【使用例】
- 彼女の献身的な看病のおかげで、彼は無事に回復した。
介抱
「介抱(かいほう)」とは、「病人や怪我人、酔っぱらいなどの世話をすること」「助けて面倒をみること」を指す言葉です。一時的な世話や手当てに対して使う言葉です。
【使用例】
- 駅のホームで体調を崩していたお年寄りを、彼は手厚く介抱した。
「夜伽」の類語②
「夜伽」を「男女が夜の共寝をすること」という意味で用いた場合の類義語をあげます。
同衾
「同衾(どうきん)」とは、「一つの夜具に一緒に寝ること」を指す言葉です。おもに男女の性的な関係について用いられます。なお「衾」は「ふすま」と読み、寝具の一種、今で言うところの「掛け布団」のようなものを表す漢字です。
【使用例】
- 彼女は母親から「結婚前の同衾は言語道断だ」と厳しく言いつけられていた。
床入
「床入(とこいり)」とは、「寝床に入ること」「婚礼の夜、新夫婦がはじめて寝所をともにすること」を意味する言葉です。
【使用例】
- 諸々の儀式が一段落したところで、二人は遂に床入の時を迎えた。