「阿る」とは?意味や使い方をご紹介

人に気に入られれようとする行為は、他人からすると見苦しい行動に見えることがあります。「阿る」はそんな行動を非難する意図で使う言葉です。日常生活ではあまり使われていませんが、覚えておくと役に立つことがあるでしょう。ここでは「阿る」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「阿る」の意味
  2. 「阿る」の使い方
  3. 「阿」の字義
  4. 「阿る」の類語

「阿る」の意味

阿る(おもねる)」とは、「その人に気に入られるように振る舞うこと。へつらうこと」を意味する言葉です。

この言葉は(気に入られるように振る舞っている人を)非難する気持ちを込めて使いますので、ネガティブなニュアンスを含んだ表現です。

「阿る」の使い方

阿る」は日常生活で使われることが少なく、そもそもこの字を「おもねる」と読める方も少ないでしょう。このため、普段の会話やメールなどでは、「媚びを売る」や「おべっか」などの表現を用いたほうが相手に伝わりやすいです。(※類語の項もご参照ください)

一方で、改まった手紙や小説などでは、あえて「阿る」を用いることで、知的で博識な印象を読み手に与えることができるかもしれません。状況や相手によって使い分けていくことが大切です。

「阿る」の例文・使用例

  • 上司に阿ると、同僚たちから睨まれる。
  • 有権者に阿るばかりの政治家がこの世にはびこっている。
  • 彼は世間の流行に阿ることなく、我が道を進んでいる。

「阿」の字義

」という字には、以下のような意味があります。
    1 山や川の曲がって入りくんだ所。
    2 自分の意志を曲げて人に従う。
    3 人を呼ぶ語に冠して親しみを表す語。
    4 梵語の第一字母aの音写。
    5 アフリカ。
    6 阿波 (あわ) 国。

「阿る」で使われているのは2の意味です。「自分の意志を曲げて」人に気に入られようとすることから「阿る」の意味につながっていったのでしょう。

「阿る」の類語

ゴマをする

ゴマをする(胡麻をする)」とは、「人の気に入られるように振る舞って、自分の利益をはかる」ことを意味する言葉です。なぜゴマをする行為がこのような意味を持つようになったのでしょうか。由来は諸説あります。

たとえば、煎ったゴマをすり鉢ですり潰すと、あちこちにゴマがくっつく様子から、「人にへつらう」という意味を連想したという説です。ほかにも、「商人が手を揉む仕草がゴマをする姿に似ていることから」とする説もあります。

【使用例】

  • あの人はゴマをすることだけは上手なので、出世はなんとかできたんだよ。

シナをつくる

シナをつくる」とは、「なまめかしいしぐさをする」「上品そうなようすをする」ことを意味する言葉です。漢字では「科(しな)をつくる」と書きます。

「科」とは、もともと「階級状であること」を指す言葉でしたが、次第に「地位」や「品格」といった意味を持つようになりました。そして、品を良くして男性を誘ったことから「科をつくる」となったと言われています。

【使用例】

  • 彼の呼びかけに対し、彼女は首をかしげてシナをつくった。

媚びを売る

媚びを売る(こびをうる)」とは、「相手の機嫌をとるためにへつらうこと」を意味する言葉です。

「媚」とは「へつらうこと」「女が男に対して色気を示すこと」を指しますが、この字の成り立ちは女性が愛想を振りまく際に眉をよく動かしていたことに由来していると言われています。

【使用例】

  • あの娘は誰にでも媚びを売るからねぇ。

おべっかする

おべっかする」とは、「上の人のご機嫌をとったり、へつらったりすること」を意味する言葉です。「おべっかを使う」「おべっかを言う」のように使うこともあります。

「おべっか」の語源は諸説ありますが、口のきき方がうまい様子を意味する「弁口(べんこう)」に、丁寧の意を表す接頭辞「御(お)」を付けた「おべんこう」が変化して生まれたという説が有名です。

【使用例】

  • 彼は上司におべっかばかり使っている。


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ