「淫蕩」とは?意味や使い方をご紹介

「淫蕩(いんとう)」は情事におぼれる様子や享楽にふけるさまを表す言葉で、ネガティブなニュアンスで用いられています。日常生活ではあまり使われていませんが、小説などでは見かける表現なので、覚えておくと役に立つでしょう。ここでは「淫蕩」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「淫蕩」の意味
  2. 「淫蕩」の使い方
  3. 「淫」と「蕩」の字義
  4. 「淫蕩」の類語・関連表現

「淫蕩」の意味

淫蕩(いんとう)」とは、以下の意味を持つ言葉です。

  1. 酒色におぼれて生活が乱れること。またはその様子。
  2. みだらな享楽にふけるようす。
  3. 性に関して奔放な人

おもに「情事におぼれる、みだらな様子」を表しており、基本的にはネガティブなニュアンスで使われています。なお1.の「酒色(しゅしょく)」とは、飲酒や女遊びを指す言葉です。

「淫蕩」の使い方

淫蕩」は悪いイメージかつ少々アダルトな言葉なので、使用する場面や相手を慎重に選ぶ必要があります。よっぽど親しい間柄でない限り、日常生活でのやり取りでは口にすることは少ないでしょう。

「淫蕩」という表現はやや古めかしく堅い印象を与えるので、少々ライトな意味となりますが「エッチ」や「スケベ」といった一般的に知られている言葉で代用するのも手です。

なお、改まった書面や小説などで用いると「淫蕩」の持つ堅いイメージを活かすことができるでしょう。知的な印象を読み手に与えることができますし、表現のマンネリを防ぐ効果も期待できます。

「淫蕩」の例文・使用例

  • ヤツは同期のなかでも抜群に仕事ができるんだが、いかんせん淫蕩ぶりも激しくてだな…。
  • 近頃の王侯貴族たちの淫蕩ぶりは、目に余るものがある。
  • 彼はここ数年、淫蕩にふけってばかりで現実から目をそらしている。

「淫」と「蕩」の字義

「淫」

「淫蕩」の「」とは、以下の意味を持つ漢字です。

  1. 性欲。色欲。
  2. みだらであること。みだらなさま。
  3. 精液。

「蕩」

また「」は以下の意味を持つ漢字です。

  1. 揺れ動く。ゆらゆら動かす。
  2. 酒色などにおぼれる。締まりがない。
  3. 豊かに広がっている
  4. 洗い流す。すっかり無くする。

ご覧の通り「淫」も「蕩」も、ともに「酒色におぼれる」といった意味を持っています。同じニュアンスの漢字を重ねることで、意味を強めている表現といえるでしょう。

「淫蕩」の類語・関連表現

淫奔

淫奔(いんぽん)」とは、以下を意味する言葉です。おもに女性に対して多く使われる表現です。

  1. 性関係にだらしのないこと。
  2. みだらなこと。みだらなさま。
  3. 多情。

なお「奔」という字は「奔走」や「奔放」などに代表されるように、「かけまわる」「思うままにする」といった意味があります。

【使用例】
  • 淫奔で自堕落な生活を送っていた彼女は、やがて後悔することになる。

淫乱

淫乱(いんらん)」とは、「色欲をほしいままにしてみだらなこと。そのようなさま」を表す言葉です。なお「乱」という漢字には「みだれる」「さわぎ、いくさ」「みだりに、やたらと」といった意味があります。

【使用例】

  • 「淫乱な人に近づくと痛い目を見る」と、彼は含みをもたせて呟いた。

好色

好色(こうしょく)」とは、以下の意味を持つ言葉です。

  1. 異性との情事を好むさま。
  2. 美貌。美人。
  3. 遊女。

このうち「淫蕩」と意味が近いのは1.で、異性に対して淫らな気持ちを抱くことを指します。平安時代では男女の情事は美しいものとされていたため、「好色」は良い意味で用いられていました。

しかし次第に「みだらなもの」として考えられるようになり、現代では批判的な意味で使われるようになっています。

【使用例】
  • あの国の軍師は類まれなる戦術センスで名を馳せたが、尋常ならざる好色ぶりでも有名だ。

ふしだら

ふしだら」とは、以下の意味を持つ言葉です。

  1. けじめがなく、だらしないこと。
  2. 品行が悪いこと。身持ちが悪いこと。

古代インドでは、教法が書かれた葉をまとめるために使われていた紐や糸を「修多羅」と呼んでおり、これが変化して「したら」となり、さらに否定の意の「不」が付いて「ふしだら」になったと言われています。

【使用例】
  • いつまでもふしだらな生活をしているわけにはいかない。


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