「お召し物」とは?意味や使い方をご紹介

「お召し物」(おめしもの)とは、「他人の衣服」を丁寧に言う言葉です。敬語の一種ですので、いざという時に困らないよう、しっかりと使い方を確認しておきましょう。この記事では、「お召し物」の意味や使い方を「召し物」や「召す」の解説も含めてご紹介します。

目次

  1. 「お召し物」とは?
  2. 「お召し物」の使い方
  3. 「お召し物」の類語表現

「お召し物」とは?

「お召し物」(おめしもの)とは、他人の衣服のことを上品・丁寧に言う言葉(尊敬語)です。「御召し物」や「御召物」、ひらがなで「おめしもの」と書かれる場合もあります。

例えば、身分が高い人や、外出先で会った人の服装をほめる時、「お服が…」とは言いません。「お洋服」とは言えますが、和装だったり、ドレスや伝統衣装など、特別な装いであった場合はどうでしょうか。

そんな時、「お召し物」は、相手の衣服を、その種類や場面に関わらず、尊敬をこめて言い表すことができます。ぜひ覚えておきましょう。

「召し物」とは?

「お召し物」は、「召し物」に、尊敬する人・事物に冠せられる「お(御)」がついた言葉ですが、ではこの「召し物」とは何でしょうか。

「召し物」とは、他人の飲食物・衣服・履き物などを丁寧に言う言葉です。「お(御)」がつきませんが、「召す」自体も尊敬語ですので、「召し物」も他人を敬う表現です。

「召し物」には衣服のほかに飲食物などの意味が含まれていますが、「お召し物」とする場合には、これらの意味がそぎ落とされ、前述したように衣服のみ(その種類は限定しない)を指す言葉として使うことができます。

「召す」とは?

「お召し物」の「召す」にも触れておきましょう。「召す」は、もともとは「見る」の尊敬語であり、古語の中では「ご覧になる」「お呼び寄せになる」「(何らかの事物を)体に受け入れる=買う、食う、着る」など非常に多様な意味で使われていました。

現在でも、「召しあがる」(飲む・食べる)、「風邪を召される」(引く、かかる)、「天に召される」(呼び寄せられる)など多様な用法が残っていますが、「お召し物」における「召す」は、「着る」から来ているようです。

すなわち、「衣服を着る」ということは、その人がその衣服を身体に受け入れている(自分の身体に召している)、という解釈ですね。

「お召し物」の使い方

「お召し物」は、目の前にいる相手の服装をほめる場合はもちろん、「あの人はお召し物をたくさんお持ちだ」などのように衣服一般を指す言葉として使えます。

ただし、少々大仰な印象がある言葉ですので、特に若い人の間では「素敵な服だね」「どんな服がお好きですか?」などと言ったほうが自然でしょう。

また、「お召し物」は尊敬語ですので、くれぐれも自分の衣服について用いないようにご注意ください。もし「お」を外したところで、「召し物」もまた尊敬語ですので、「自分の服」の意味で使うことはできません。

注意点

「お召し物」は他人の衣服の尊敬語ですが、尊敬するのは「服」ではなく、それを着ている「人」であることにご注意ください。

「召す」(着る)の主体はあくまでも「人」であり、「服」ではありません。衣服だけを見て「良いお召し物ですね」と言っても失礼にはあたりませんが、できれば「人」を主語とし、その人が衣服を召している状態に敬意をこめるように意識するとよいでしょう。

例文

  • 奥様、お召し物が大変よくお似合いです。小生、一瞬みとれてしまいました。
  • 旦那様はご自分のお召し物をたいそう大事にされておりまして、私どもが手入れを怠ると、大変お怒りになるのでございます。
  • うっかりワインをこぼしてお客様のお召し物を汚してしまった新人は、さっきからめそめそと泣いてばかりだ。

「お召し物」の類語表現

「お召し物」の類語表現としては、「お洋服」「お着物」が挙げられます。ただし、これらはそれぞれ洋装、和装に限定した用法です。

その他、「お帽子」や「おパンツ」(ズボンまたは下着のこと)といった言い方もありますが、これらはあまり使用されていないため、丁寧語としては少々違和感を覚える方もいるようです。

なお、「靴」「上着」「装飾品」などに「お」を付ける習慣はありません。これらの言葉については、「お履きになる」「お脱ぎになる」など、それに関わる人の動作を尊敬語にすることで敬意を表現しましょう。

例文

  • 私の華道の先生は、すてきな花柄のお着物を何着もお持ちでした。
  • お客様、館内ではコートをお脱ぎくださいませ。


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