「望外」の意味とは?
「望外」とは、望んでいたよりも良いことを表す言葉です。もともと何かを「望んで」いたものが、その範囲から「外れて」しまっている様子を表しています。
ここでポイントとなるのが、意味に含まれる「良いこと」の部分です。単に「想定の範囲外」ということならば、良い意味にも悪い意味にも使えるはずですが、「望外」が悪い意味に用いられることはありません。
その理由を知るため、まずは「望」「外」それぞれの字の意味から見ていきましょう。
「望」の意味
「望」の字には、主に以下のような意味があります。
- 遠くを見渡す。
- 願う。欲する。
- 人気、名声。
このうち、「望外」の「望」は2の意味で用いられています。他には「志望」や「大望」などがよく見かける表現です。
「外」の意味
「外」という字が持つ意味は、主に以下の通りです。
- そとがわ。うわべ。
- ある範囲からはずれたところ。
- 本体とは別のもの。
- よその国。
これらのうち、「望外」では2の意味で「外」が用いられています。つまり、「自分が欲する範囲よりも(良い意味で)はずれている」のが「望外」だというわけです。
「望外」を用いた例文
- 望外の報酬を提示されて、思わず男たちの頬は緩んでしまった。
- まさに望外の幸せとも言うべきもので、私には予想だにしていなかったことだ。
- 上司からの覚えも非常にめでたく、彼は望外の出世を果たしていった。
これらのように、「望外」は「の」を付けて用いるのが一般的です。いずれの例文でも自分が想定していたのよりも良いことが起こった様子が描写されていますね。
たとえば、「望外の報酬」とは10万円程度の報酬を希望していたところ、思いがけず20万円の提示を受けたときに用います。「望外の幸せ」や「望外の出世」も同様に、本人が望んでいたものよりもさらに良かったときに使う言葉です。
「望外」の類義語・関連語
「望外」の類義語や関連語には、以下のようなものが挙げられます。
- 意外(いがい)…思いのほか。予想外。
- 意表(いひょう)考えに入れていなかったこと。
- 慮外(りょがい)…思いがけないこと。
- 誤算(ごさん)…見込みを間違えること。
- 存外(ぞんがい)…思っていた以上に。
- 案外(あんがい)…予想していたのとは違った様子。
これらの中で、「誤算」以外のことばは良い意味にも悪い意味にも用いられる言葉です。一方、「誤算」は悪い意味で予想外であることを表すのに用いられます。
「望外」を英語で表現すると?
「望外」と似た意味を持った英語表現は、以下の通りです。
- unexpected(予想外の)
- unhoped-for(望外の)
- undreamed of(まったく思いもよらぬ)
これらの中で日本語の「望外」にもっとも近いといえるのは、"unhoped-for"と"undreamed of"の二つです。
残る"unexpected”は、良い意味でも悪い意味でも用いられるという点で、「望外」とは少し使い方が異なります。