諸兄とは?
「諸兄(しょけい)」は、主に男性が、「みなさん」と大勢の男性に敬意を表して呼びかける時、代名詞的に使う尊敬語です。
例えば、スピーチをしている時に会場の聴衆に呼びかけたり、雑誌や書物などで読者に呼びかけるような場面で使用される言葉です。公式の場やビジネスの場で使われる堅い言葉で、日常的な場面ではあまり使われません。
「諸」は色々な、多くのという意味です。「兄」は先に生まれた男子を表すため、相手を尊ぶ時に使います。相手は友人や同級生や同期などの同等の立場から、先輩や少し年上の親しい関係の目上の人にまで使えます。
【使用例】
- 同級生諸兄にご参加いただき感謝しております。
- 諸兄の賛同を得て活動を続けさせていただきます。
注意点
「諸兄」は、基本的には「男性」が「大勢の男性」に対して使う言葉です。女性が尊敬を込めて男性らを「諸兄」と呼ぶことは、文法上は問題なさそうですが、実際にはほとんど使われることはありません。
「諸兄」は慣例的に、男性同士の間柄で使う言葉であると考えて良いでしょう。
諸兄の姉妹語
では、「大勢の男性」ではなく「大勢の女性」や「(性別を限定しない)大勢の人々」に敬意をもって呼びかける言葉にはどんなものがあるでしょうか。いくつかご紹介します。
諸姉
「諸姉(しょし)」という言葉を使って、大勢の女性に「みなさん」というように敬意を持った呼びかけができます。「姉」も先に生まれた女性に使われる言葉なので、相手の女性を尊敬する意味で使えます。
【使用例】
- 会合にご参加の諸姉に忌憚のないご意見を伺いたいと思います。
- 婦人雑誌のアンケートを行いますので、読者諸姉にはご回答をお寄せいただければ幸いです。
諸兄姉・諸兄諸姉・諸氏
男性も女性も参加している場合、「諸兄姉(しょけいし)」・「諸兄諸姉(しょけいしょし)」・「諸氏(しょし)」を使うと良いでしょう。「諸氏」は様々な人へ呼びかける言葉で、男女に関係なく多くの人々への敬意を表せます。
【使用例】
- 同窓会で諸兄姉のお元気な様子を拝見できてうれしいです。
- 懸賞のクイズの締切は〇〇日!諸兄諸姉のご回答をお待ちしています。
- OB、OG諸氏のご厚志で、吹奏楽部の譜面台を購入できました。
諸兄よりも敬意の度合いが高い言葉
諸賢
「諸賢(しょけん)」は、最も丁寧な尊敬語で、みなさんというよりも「皆様」というニュアンスが含まれるでしょう。
話し手(書き手)に力を貸してくれる恩人や目上の人が大勢いる場合に敬意を表して用いられます。話し手(書き手)は男性であることが多いですが、男女に関係なく使えます。
「賢」は、聖人(世間の人から理想的と認められた徳のある人)に次ぐ、知恵のある賢い人ということを表します。
【使用例】
- 読者諸賢にお礼を申し上げます。
- 諸賢にご理解いただきたくお願い申し上げます。
諸家
「諸家(しょか)」は、研究者の一門や学閥を構成している人のグループに使われます。その道の専門家として特に認められている場合に敬意を表す言葉で、こちらも男女に関係なく使えます。
【使用例】
- 当方はその道に詳しくないので、諸家のお知恵を拝借できれば幸いです。
- 諸家のご意見を賜りたいと存じます。
目下の相手に使うなら
諸君・諸子
「諸君(しょくん)」、「諸子(しょし)」は、話し手(書き手)と大勢の人が自分と同等の立場か後輩などの目下の立場の相手に使われる言葉です。相手に親しみを込めて、軽い敬意を示すことができます。「みなさん」というよりも「君たち」というニュアンスで使われます。
これらの言葉も、特に決まりはありませんが、慣例的に話し手(書き手)は男性であることがほとんどです。
【使用例】
- 学生諸君、無事に卒業式を迎えられてよかったですね。おめでとう。
- 生徒諸子に一言注意をします。朝礼中の私語は控えるように。