「滑稽」の意味
「滑稽」(こっけい)には、以下の二つの意味があります。
- おもしろおかしく、巧みに言いなすこと。おどけ。道化。
- いかにもばかばかしく、おかしいこと。
例えば「滑稽な話だ」と言ったとき、「おもしろい、話し方がうまい」などの好意的な意味かもしれない一方で、「ばかばかしい」という否定的な意味である可能性があります。
しかしどちらの場合にせよ、「おかしい」という意味は共通しています。良くも悪くも笑いを誘われる感じ、と覚えるとよいでしょう。
「滑稽」の使い方
「滑稽」は、「滑稽なやつ」のように人に対する用法のほか、「滑稽な格好」「滑稽な映画」などのように、さまざまな対象に用いることができます。
ただし、前述したように「滑稽」には否定的な側面もありますので、対象を選ばずに安易に「おもしろい」の意で使うことはお勧めしません。
もともと「おもしろさ」や「おかしさ」には、ある種の低俗さや、奇矯さ、風刺、皮肉、馬鹿馬鹿しさが含まれることがあり、何を「滑稽」と感じるかは人次第であることをご留意ください。
好意的な「滑稽」の例文
- 彼の滑稽な話しぶりと人好きする性格は、いつも周りの人間を和ませている。
- ハロウィンパーティーの仮装イベントで、彼はひときわ滑稽な格好で現れた。
- 追い詰められてまで冗談を飛ばすなんて、なかなか滑稽な奴じゃないか。
否定的な「滑稽」の例文
- あの審判、新人だったのかな。不可解なジャッジが多くて、まったく滑稽な試合だったよ。
- せっかく傘を持ってきたのに、電車に置き忘れた結果、ずぶ濡れになるなんて。我ながら滑稽だな。
- 浮気の証拠をつきつけられた夫は、滑稽なほどうろたえた。
「滑稽」の由来
「滑稽」という言葉は、古代中国の有名な歴史書『史記』の編のひとつ、「滑稽列伝」というタイトルで登場します。
滑稽列伝における「滑稽」の意味は、「弁舌にすぐれるさま」「饒舌(じょうぜつ)なさま」です。「滑」は「なめらか」、「稽」の字は諸説ありますが、「酒を入れる器」のことであり、そこから酒がとめどなく流れるさまを表すと考えられています。
口がなめらかで、器からとめどなく酒が流れるように言葉が出てくることから、「滑稽」というわけですね。
後に「おもしろい」の意味が生じる
この「滑稽」、『史記』における用法では単に「話が巧い」「人を言いくるめる能力」というだけで、「おもしろい」(笑い)の要素はありませんでした。
しかし、話が巧い人というのは、人を楽しませる芸人や役者などに通じるものがあります。ここから後の世に「おもしろい」「おかしい」「ばかばかしい」などの意味が加わったと言われています。
現代でも「巧みに言いなすこと」という意味は残っていますが、どちらかといえば、後世に付け足された「おもしろい」の意味のほうが色濃く残っているといえますね。
「滑稽」の英語表現
「滑稽」の英語表現としては、以下のような単語があります。
- funny(俗語ではfunny-hahaとも)
- humorous
- ridiculous
- comical
この中で、「funny」と「humorous」はそれぞれ「おもしろい」「ユーモアがある」が主なニュアンスです。一方、「ridiculous」「comical」は「ばかげている」や「ふざけている」のニュアンスが含まれています。
「滑稽」と同様、単語選びや文脈によってはけなし言葉と受け取られることもありますので、使用にはご注意ください。
例文
- I saw your funny side.(君の滑稽な側面を見たよ)
- It is a ridiculous idea.(それは滑稽な考え方だ)