「恰幅」とは?
ラグビー選手を思い浮かべてみてください。どんな重いものでも軽々と持ち上げてしまいそうな腕、広い肩幅に、ユニフォームがはち切れそうなほどの肉体。がっちりした体つきのイメージできましたか?
ラグビー選手ほどでなくとも、肩幅がしっかりしていたり、どっしりとしたような外見の人のことを「恰幅が良い」と言います。
読み方
「恰幅」と書いて、<かっぷく>と読みます。「恰」は音読みでは「コウ」「カフ」、訓読みでは「あたかも」。「幅」は音読みでは「フク」、訓読みでは「はば」です。
字義
「恰」には、「あたかも」のほかに、「姿」「かたち」の意もあります。「幅(はば)」という漢字と合わせて、「恰幅」の意味につながっています。
意味
上でご説明したように、「恰幅」とは「幅のあるかたち」のことですから、「肩幅や肉づきの具合などからみた体の格好や姿、押し出し」を意味しています。
ここでいう「押し出し」とは、相撲で土俵の外に押し出す決まり手のことではなく、「人前に出た時に、他人に与える全体的な印象」。簡単にいえば、「体つき、見た目」のことです。
「恰幅」:使い方
「恰幅」は、多くの場合、「恰幅が良い」「恰幅の良い」という言い回しで用いられます。詳しくは後述しますが、最初にお話ししたラグビー選手のようなイメージですね。
また、「堂々たる恰幅」「恰幅の立派な」などのように使われることもあります。
- 祖父は堂々たる恰幅をしていたが、最近はめっきりやせ細ってきた。
- 幼い頃はほっそりしていた彼も、恰幅の立派な青年へと成長した。
「恰幅がいい」
体格が良い
「恰幅が良い」「恰幅の良い」は、しっかりとした体つきを褒める際に使われる表現です。肩幅がしっかりしていて、安定感があるような体型を持つ人を表します。
または、安定感というイメージから、経済的に裕福であるニュアンスを含む場合があります。この場合は若者に対してというよりは、中年層を指す場合が多いです。美味しいものを食べて、少しふっくらしているイメージ像があるからかもしれませんね。
【例文】
- スリムな人よりも、恰幅が良い人がタイプです。
- スポーツイベントには、恰幅が良い人が多いようだ。
- あちらの恰幅の良い紳士はどちら様でしょう?
太っていてる
「恰幅が良い」「恰幅の良い」という表現は、暗に「太っている」ということを指すときに用いる場合があります。本来「恰幅が良い」というのは、悪い意味ではないのですが、太っていることを「体格がよい」と捉えることで、「太っている」ということをやんわりと表しています。
「貫禄がある」は、本来は「身に備わっている堂々とした威厳」や「身体・人格などから感じられる人間的重々しさ」という意味ですが、太っていることを指すことがあるのと同様です。
「恰幅が良い」や「貫禄のある」は、直接的な表現を避けることができる、大人なら知っておきたい上手な言い換えの言葉といえるでしょう。
【例文】
- 最近、恰幅が良すぎるんじゃない?(肥満に対するからかいの意)
- 恰幅の良い女性とすれ違った。
「恰好」とは?
「恰幅」の「恰」と同じ漢字を用いていて、よく使われるのが、「恰好(かっこう)」という言葉です。現代では「格好」という漢字を当てて使うのが主流になっています。
「恰(あたか)も好(よ)し」ということですから、もともとはちょうど似つかわしい様子を表す言葉です。形がちょうどよいというところから、姿・形の意にも転じました。
体裁について「格好つける」のように使ったり、外見について「変な格好」のように使われます。