「怪訝」とは?意味や使い方をご紹介

「怪訝」という言葉をご存知でしょうか。小説などをよく読まれる方であれば「怪訝そうな顔」などの表現を目にしたことがあるかもしれませんね。初めて知るという方も、この機会に意味や使い方をしっかり押さえておきましょう。今回は「怪訝」についてまとめます。

目次

  1. 「怪訝」の読み方
  2. 「怪訝」=けげん
  3. 「怪訝」=かいが
  4. 「怪訝」の語源

「怪訝」の読み方

「怪訝」には、二通りの読み方があります。<け-げん><かい-が>です。

「けげん=怪訝」と「かいが=怪訝」、その意味するところはほぼ同一なのですが、使い方に一定の差があるため、この記事ではそれぞれの読み方ごとに意味・使い方を解説します。

「怪訝」=けげん

意味

「怪訝」(けげん)とは、「不思議で、合点(がてん)のいかないさま」という意味です。

例えば、不可解な物事に出くわしたり、何を言っているのかわからない人を目の当たりにしたとき、あなたの心には「不思議だな」「怪(あや)しいな」「合点がいかない(納得ができない)ぞ」という気持ちが湧き上がるのではないでしょうか。

そのような「何かを疑い、怪しんでいる様子」が「怪訝」です。文語的な表現であり、日常生活の中で使用されることはほとんどありません。

使い方

「けげん」と読む場合の「怪訝」は、多くの場合、人の表情や態度を指し、「怪訝な顔」「怪訝そうに〇〇する」「怪訝な様子」などの形で用いられます。

誰か・何かを怪しんでいる態度というものは、例え本人にその気がなくても、表情や態度の中に自然に滲みでてくることがあります。それを第三者が捉えて形容する言葉が「怪訝」です。

具体的には、目を見開いてじっと何かを凝視する顔つきや、首をかしげて「本当か?」と眉をひそめるような態度が「怪訝」に当たります。特に「表情」には、他の感情と同様に、怪訝の相も出やすいようです。

例文

  • 事件の目撃者が事の成り行きをあわただしく説明するのを、探偵は怪訝(けげん)な顔をして聞いていた。
  • 「さっきから適当な返事ばかりして、ちゃんと私の話を聞いているの?」と、彼女は怪訝(けげん)そうに尋ねた。
  • 謎はすべて解けたかに思えたが、ただひとり、夫人だけが怪訝(けげん)な様子で夫を見つめていた。

「怪訝」=かいが

意味

「かいが」と読む場合の「怪訝」は、「怪しみ、いぶかること」という意味です。「けげん=怪訝」と非常によく似た意味ですね。

辞書によっては、「かいが=怪訝」の意味を「けげん」と説明しているものもあります。そもそも辞書に載っていない場合もあり、「かいが=怪訝」は現代ではあまり一般的でない言葉であることがうかがえます。

しかし、使い方については「けげん=怪訝」と異なる部分がありますので、念のために押さえておきましょう。

使い方

「怪訝」(かいが)も、「けげん」と同じく、「不思議なこと」「怪しいこと」「合点がいかないこと」に用いる点は共通です。

しかし、「けげん」にはない名詞的なニュアンスがあることが「かいが」の特徴で、「怪しいこと」や「怪しむ気持ちそのもの」を表すという点が異なっています。

「けげん」が怪しい気持ちからにじみ出る表情や態度を指すのに対し、「かいが」はより直接的に「怪しむという気持ちそのもの」を指す、と区別しましょう。

例文

  • 彼は君に怪訝(かいが)の念を持っている。
  • そのような薄っぺらな説明では、怪訝(かいが)に堪(た)えない(納得ができない)。
  • こんな自然現象は初めて見る。なんと怪訝(かいが)な!

誤った用例

以下に示すように、何かを怪しんでいる人の態度や表情について「かいが=怪訝」を用いる表現は誤りです。

  • 【誤り】そんな怪訝(かいが)な顔をしないでくれよ。
  • 【誤り】大丈夫か?と彼は怪訝(かいが)そうに尋ねた。

人の態度や表情について「怪しんでいる」「いぶかしい」と言いたい場合には、「けげん」と読みましょう。「かいが」と読むのは、「怪しさ」そのものを表す場合に限られます。

「怪訝」の語源

「怪訝」という言葉は、「怪しむ」「訝(いぶか)る」という字から構成されています。そのため、字義もわかりやすいと思われるかもしれませんが、実は「怪訝」は当て字とされています。

「怪訝」の語源とされているのは、仏教用語の「化現(けげん)」です。

「化現」

「化現」とは、「神仏などが姿を変えて(化けて)この世にあらわれること」という意味の言葉です。

神や仏が動物や自然物に形を変えて世に現れ、人を救ったと聞くと、信仰の形はどうあれ、「にわかに信じられない」「本当にそんなことがあるのだろうか」と思われる方がほとんどではないでしょうか。

このような「信じられない」「本当だろうか」という感慨が、「不思議だ」「納得できない」などの意味も得つつ、後に「怪訝」という字を当てられて世に広まったものとされています。

とはいえ、「怪しむ」「訝る」という字の意味も考慮されての当て字のようですので、「怪訝」の字そのものが「化現」の意味とまったく無関係というわけでもないようです。


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