「跋扈」とは?意味や使い方をご紹介

「跋扈(ばっこ)」という言葉をご存知でしょうか?日常会話で耳にする機会は多くありませんが、新聞やニュースなどではたまに使われる言葉です。「跳梁跋扈」と四文字の熟語で使われるケースもありますね。今回はこの「跋扈」について、意味や使い方などをご紹介します。

目次

  1. 「跋扈」とは?
  2. 「跋扈」の使い方
  3. 「跋扈」の語源・字義
  4. 「跳梁跋扈」について

「跋扈」とは?

「跋扈(ばっこ)」の意味は以下の通りです。

  1. 上を無視して、権勢を自由にすること。
  2. 勝手気ままにふるまうこと。のさばりはびこること。

1の意味は何らかのものが権力を手に一定の影響力や支配力を持っていることを表し、2の意味はそこから派生した一般的な用法です。現代では1、2の意味が両方とも用いられています。

「跋」も「扈」も、非常に難解な漢字を用いますので、無理に書けるようになる必要はありません。しかし、メディアによる社会問題の追及や、社会的な議論の場などで聞かれることのある言葉ですので、読み方と意味はしっかりと押さえておきましょう。

「跋扈」の使い方

「跋扈」という言葉は、何かしら悪いものが多く巷にはびこり、影響力をもってのさばっているさまを指して用いられます。

「跋扈」自体に悪い意味はありません。しかし、「権勢を自由にしている」「勝手気ままにふるまっている」と言いたくなる対象は自ずと悪いニュアンスを帯びているもので、必然として「跋扈」もネガティヴなイメージで運用されることがほとんどです。

人間など実体あるものはもちろん、出来事や問題などの概念、さらには妖怪など想像上の存在についても「跋扈」を用いることができます。

堅い表現であるため注意

「跋扈」は、日常会話で気軽に使用するというにはやや堅い表現です。相手や使用場面に応じ、適宜、「はびこる(蔓延る)」「蔓延している」「問題になっている」「のさばっている」などと言い換えましょう。

難しい表現ではありますが、何らかの対象を公の場で厳しく批判する際には、このような物事の本質をとらえた言葉が必要とされる場合もあります。「跋扈」もひとつの教養として覚えておきましょう。

用例

  • ネット上には、平気で他人の悪口を吐く人間が跋扈している。相手がすぐ目の前にいないとはいえ、最低限のマナーは守ってもらいたいものだ。
  • 近頃は、人間の良心につけこんだ新しい形の詐欺犯罪が跋扈している。法整備を急がねばならないだろう。
  • 小さい頃の私はひどい怖がりで、夜になると幽霊やお化けが街じゅうを跋扈すると信じ込んでいた。

「跋扈」の語源・字義

「跋扈」という言葉は、古代中国の歴史書である『後漢書(ごかんじょ)』に登場します。

「跋」の字は、「ふむ」「ふみつける」「(山野を)あるく」「足をとられてひっくりかえる」などの意味を持ちます。一方の「扈」の字は、「竹梁」(たけやな:竹で作られた、魚を取るための仕掛けのこと)のことを意味しています。

すなわち、「跋扈」とはもともと大きな魚が竹梁の中に入り切らず、仕掛けを踏みつけるようにおどり越えていくさまを表しており、これが転じて「勝手気ままにふるまう」といった状態を意味するようになりました。

「跳梁跋扈」について

「跋扈」という言葉はそれ単独でも用いられますが、上に「跳梁(ちょうりょう)」という言葉をつけて「跳梁跋扈」という四文字の熟語としてもよく用いられます。

「跳梁」の意味は、「①はねまわること」「②悪人などがわがもの顔でのさばること」です。「跋扈」と非常に近い意味であることがわかりますね。「梁(やな)を跳ぶ」という字面も、跋扈に通ずるものがあります。

したがって、「跳梁跋扈」は、ほぼ同じ意味である二つの言葉、「跳梁」「跋扈」を重ねた熟語ということができ、「跋扈」よりもさらに深刻に「悪いものがはびこっている」ことを表現する言葉であると言えます。

用例

「跳梁跋扈」の使い方は、「跋扈」とほとんど変わりません。「跋扈」をさらに強調したいような場面で用いるのが適しているでしょう。

  • またも政治家の汚職が明らかとなった。まったく政界というところは、私腹を肥やす悪人どもが跳梁跋扈しているね。
  • かの作家の新作は、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跳梁跋扈する世界を、若き少年が知恵と勇気で生き抜くというあらすじだ。


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