糾弾の意味
「糾弾(きゅうだん)」は、政治家を非難するときによく使われる言葉です。意味は、「罪状や失敗、責任などを問いただして、とがめること」です。
「糾」は「糾弾」のほかに「糾明」、「糾問」など、「問いただす」という意味で使われる漢字です。「叫ぶ」の「叫」と間違えないように注意しましょう。「弾」は、「弾劾」、「弾圧」など、「うつ、たたく、罪をただす」という意味で使われる漢字です。合わせて、「罪や悪事の責任を問いただし、厳しく非難する」という意味になります。
「糾弾」という言葉が日本で初めて使われたのは、水平社運動が活発だった1922年のことです。当時は「弾劾」という言葉を使うのが一般的でしたが、「壊す」という意味で使われていました。その代わりに登場したのが「糾弾」という言葉です。
ちなみに「糾弾」を英語で言うと、”blame”、"denounce"、”find fault”、”pick”という単語になります。名詞では、”denunciation”という単語で表現されます。
糾弾の使い方
糾弾という言葉は、多数の人間が少数の人間やある団体を問いただしてとがめるときに使います。マスコミが政府や特定の企業・団体を追及したり、野党が与党の責任を問いただすときによく使われます。共通する要素は、「責任の所在を問うために厳しく問い詰める」ことと、「人などを大勢で非難する」ことです。
教師が生徒を叱責したり、上司が部下の不始末を追及するときなど、個人が個人を問いただしたり責めたりする場合には使われないことがポイントです。
糾弾を使った例文
それでは、「糾弾」という言葉が具体的にはどのように使われているのか、例文を使って解説していきます。
- 「マスコミが○○議員の汚職を糾弾している」
- 「市民団体が○○社の責任を糾弾して集会を開いた」
- 「このような不正は断固として糾弾されなければならない」
など、大勢の人間が個人や特定の団体を指弾し、非難する文脈で使われます。
英語では、次のように用いられます。
The politician was (formally) denounced for accepting a bribe.(その政治家は収賄に対し激しい批判を受け, 糾弾された. )
糾弾と似た言葉「非難」
糾弾と似た言葉に、「非難」があります。「非難」とは、「欠点や過ちを責め咎めること」です。「非難を浴びる」といった表現や、「非難囂々(ひなんごうごう)」といった四字熟語で使われます。
糾弾とよく似た意味を持つ言葉ですが、「非難」は一方的に相手の悪い点を責めるという意味であるのに対して、「糾弾」は「罪や責任を問いただす」という意味があります。つまり、「糾弾」は相手の欠点や過ちをはっきりと罪悪だとみなしています。
糾弾の類語・言い換え表現
糾弾の類語・言い換え表現には、先にあげた「非難」のほかに「追及」、「詰問(きつもん)」、「難詰(なんきつ)」などがあります。
「追及」は「どこまでもくいさがって調べ、責めること」という意味です。「警察が容疑者を厳しく追及する」のように使われます。
「詰問(きつもん)」は「相手の非を責めながら厳しく問い詰めること」を意味する言葉です。「上司に遅刻した理由を詰問された」のように使います。
「難詰(なんきつ)」は「欠点をあげてなじり、問いただすこと」という意味です。「落ち度を難詰する」というように使います。
動詞では、「問い詰める」、「袋叩きにする」、「やり玉にあげる」という言葉が糾弾の言い換え表現として用いられます。
「問い詰める」は「厳しく問いただす」という意味があります。
「袋叩きにする」とは、「一人を多人数で取り囲んでさんざんに打ちたたく」という意味で、「多数の人が個人を非難し、攻撃する」ということの比ゆ的な意味で用いられます。
「やり玉にあげる」とは、「非難、攻撃の目標などにして責める」という意味で使われます。