「縁」とは?意味や使い方をご紹介

「縁」は、きわめてマルチな意味と読み方をもつ一文字です。わけても、その意味のなかのひとつの「縁(えん)」は、仏教の根本思想のひとつを現し、そこから様々な意味が派生してもいます。今回は、「縁」の多義的な意味と使い方を項目ごとにわけてご紹介します。

目次

  1. 「縁」とは?
  2. 仏教思想としての「縁」
  3. 様々な「縁」の意味

「縁」とは?

「縁」という一文字は、「えん」「ゆかり」「えにし」など、実にさまざまな読み方と意味をもっています。基本的に、もっとも使われている意味は、「良いご縁」などの、人と人、あるいは何かと何かのつながりあいを示す「縁(えん)」。

このよく知られる「縁(えん)」の元となっているのは、仏教の根本思想のひとつとしての「縁(えん)」です。

今回は、仏教思想としての「縁(えん)」について最初に解説します。そののち、多義的に派生するその他の「縁」の意味と使い方を項目ごとにわけてご紹介していきます。

仏教思想としての「縁」

「因縁」の縁

「因縁(いんねん)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。近年では主に「言いがかり」という意味で用いられていますが、この「因縁」はもともとが仏教の言葉であり、深い意味を持ちます。

仏教では、すべてのものが「因」と「縁」が合わさって生まれると考えており、このことを因縁生(いんねんしょう)などと表現します。

「因」はものごとが展開するための直接的な原因で、これがなければ結果は生じません。一方の「縁」は、間接的な原因であり、結果を生み出す助けをするものです。

使い方

A男のB子との結婚を例としましょう。A男がこの世に生まれることを「因」とし、B子との出会いを「縁」として、結婚という結果が実る、ということです。

文例:「因」なくしては何事も起こりませんが、「縁」なくては結果が生じませんから、「因」も「縁」も大切なものなのです。

様々な「縁」の意味

仏教思想の「縁」を由来として、「縁」の多義的な意味が派生しました。また、そのようなものとは全く関わり合いのない「縁」もあります。以降は、さまざまな「縁」の意味と使い方をご紹介します。

かかわりあいとしての「縁」

縁(えん・ゆかり)なんらかのかかわりあい、つながり、関係、めぐりあわせなどがあること

【使い方】

  • 興味もなかったパッチワークに出会い、今では教室をもって仕事にまでなっているのは、やはり様々な縁あっての結果だと感じます。
  • 鈴木君と一緒に起業したのも、思えば深い縁に導かれての組み合わせだね。
  • 恵美子さんとは、どんな縁があるのかと思うほど、いろいろな場所でぱったり会うの。

血縁・婚姻による「縁」

縁(えん・えにし・よすが)血のつながる者、婚姻関係、親類縁者などのこと

【使い方】

  • 夫婦としての縁は、離縁できるが、親子の縁はずっとつながるべきものだ。
  • いくら兄だといっても、これほど僕に暴力をふるいつづけるなら、兄弟の縁は切るよ。
  • 結婚式や告別式は、晴れの舞台、惜別の舞台と明暗はあるが、血縁、縁者の顔がそろう貴重な機会だ。

きっかけとしての「縁」

縁(えん)関係を作ったり、物事が起こるきっかけ

【使い方】

  • 山本君とは、同じ職場に配属され、さらに同郷の同学年だったと分かったことが縁で、親友になった。
  • ケーキ屋『ブローニュ』の名の由来は、オーナーパティシエが若い頃にパリ留学した際に癒された森が縁となって、その店名に使ったということだ。
  • たまたま入ったペットショップで、たまたま目があったことが縁で、子ウサギを家族に迎えた。

端の部分としての「縁」と使い方

これまで挙げてきた縁(えん、えにし、ゆかり)という分野とは、意味も読み方もまったく異なるのが、物の端としての縁です。

縁(ふち・へり)
海や川、穴などに接するきわの部分

  • 崖の縁(ふち)から下をのぞきこむと、吸い込まれそうで眩暈がする)
  • 川の縁(へり)に立っていると、気持ちのよい風が吹き、せせらぎと共に心が癒された。
物の端やふちの部分
  • 英和辞典を使いすぎて、縁(へり)が傷んで波打ってきた。
  • 帽子の縁(ふち)に、ぐるりと紺色の縫い取りがしてあってアクセントになっている。
物の端やふちにつけた飾りのこと
  • 窓のカーテンに白いレースの縁(ふち)をつけてみた。
  • このドレスのチャームポイントは、裾にほどこした絹の花の造花の縁(ふち)にある。


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