「筋違い」とは?意味や使い方をご紹介

「筋違い」という言葉をどんな場面で使いますか?「筋違い」には複数の意味があるので、「こちらに文句を言うのは筋違いだ」のように用いることもあれば、「寝ている間に首の筋を違えた」と言うこともあるでしょう。今回は「筋違い」の意味や使い方について解説します。

目次

  1. 「筋違い」とは
  2. 1.道理に外れる
  3. 2.見当違い
  4. 3.関節や筋肉の故障
  5. 4.すじかい

「筋違い」とは

「筋違い(すじちがい)」は名詞または形容動詞で、次のような意味があります。

  1. 道理に外れていること。手続きが間違っていること、または、その様子
  2. 見当違い
  3. 関節や筋肉を、急な動作や衝撃で痛めること
  4. 斜め。はすかい。すじかい

1〜4の意味について、それぞれ詳しく解説しますが、そのまえに「筋」という漢字について説明しておきましょう。

「筋」という漢字

「筋」という漢字は、もともと「肉の中を通る力強いすじ」を表しています。そこから、「体内に通っているすじ」や「細くひと続きになったもの」、あるいは「体力・ちから」という意味が生じました。

さらに、そこから派生して、「血のつながり」「道理・あらまし・あらすじ・仕組み」といった意味が含まれるようになったのです。

1.道理に外れる

「筋違い」には「道理に外れていること。手続きが間違っていること」という意味があります。この場合の「筋」は、考え方などの全体を貫いている一本の線、つまり、道理や条理のことです。

使い方

  • 経営が厳しいのはわかるが、サービス残業を強いるのは筋違いだ。
  • 彼らをこちらの面倒ごとに巻き込むのは筋違いな気がする。
  • 彼らの筋違いな要求に対応している余裕がない。
  • あとになってから文句を言うのは筋違いというものだろう。

類語

「道理に外れていること」を指す「筋違い」の類語には、同じように筋が通らない・道理に外れることを表す「可笑しい(おかしい)」「不合理」「不当」「理不尽」などが挙げられます。

また、「枉惑(おうわく)」から音変化した「わやく」には、悪ふざけをすること・聞きわけがないことという意味もありますが、筋が通らないことという意味がありますので「筋違い」に類する言葉と言えるでしょう。

2.見当違い

「筋違い」の二つ目の意味は「見当違い」。見当違いとは、推測や判断を誤る・方向を誤ることです。

「見当違い」と「道理に外れる」

「彼が私を責めるのは筋違いだ」という文において、「筋違い」が1の意味ならば「彼が私を責める道理はない」、2の意味ならば「私を責めるという彼の判断は誤りだ」となります。

しかし、どちらも「私を責める」ことについて、「彼が間違っている・彼に非がある」という状況は同じ。このような場合、1と2、どちらの意味で用いられているのかの区別は難しいと言えるでしょう。

使い方

  • 彼に腹を立てるのは筋違いだとわかっているけれど、自制できない。
  • 彼女に相談するのは筋違いでもない。彼女の見かけによらず、これが専門分野なのだから。
  • 母の問いかけに、祖父はまったく筋違いの返事をした。

類語

「見当違い」という意味で用いられる「筋違い」の類語には、目標を間違えることを表す「お門違い(おかどちがい)」や、取り扱いや対処の仕方が常識にそぐわないという意味の「不適切」などが挙げられます。

3.関節や筋肉の故障

「筋違い」には、無理にひねって痛めたり、寝違えたりといった「関節や筋肉を、急な動作や衝撃で痛めること」という意味もあります。このときの「筋」は、「筋肉・筋繊維」を指しますから、本来の字義の「肉の中を通る力強いすじ」に近い意味ですね。

辞書によれば、関節の故障も「筋違い」に含まれます。しかし、「筋違い」は筋肉の損傷に対して用いられることが多いようです。

「筋違い」と「肉離れ」

「筋違い」で痛める筋肉とは、体を動かすときに使う骨格筋。これは骨に付着している筋繊維の束で、収縮と弛緩によって運動を可能にしています。筋繊維の5%が引き裂かれると痛みや違和感が生じます。

肉離れ」とは、骨格筋が部分的または完全に断裂した状態のこと。「筋違い」も「肉離れ」も医学的にいえば「筋挫傷(きんざしょう)」という症状ですが、一般的には、「筋違い」は「肉離れ」ほどではない、軽度の骨格筋の損傷のことを指すようです。

使い方

関節や筋肉を痛めることという意味の「筋違い」は、多く、「筋を違える」というかたちで用いられます。

《使用例》

  • 寝ている間に首の筋を違えてしまったようだ。
  • 筋を違えたのなら安静にしていた方がいいよ。
  • 準備運動もなしに運動するなんて、筋違いになるのも当然だ。

類語

捻挫(ねんざ)」や「くじき」は、関節に無理な力がかかったことで外れかかり、靭帯(じんたい)や腱(けん)にダメージを負った状態のことです。靭帯は関節の中にあって関節の強度を補う組織、腱は骨格筋の両端にあって骨と骨格筋を結びつける線維束を指します。

上でも触れたように、関節付近の組織の損傷を指す「捻挫」や「くじき」は、「筋違い」とは区別されることがあります。

4.すじかい

「筋違い」は、「斜めに交差していること。物が斜めの位置関係にあること。はすかい」という意味があります。派生して「建物の強度を高めるために柱と柱の間に斜めに入れる部材」という意味も持つ言葉です。

なお、建築などで用いる「筋違い」は「すじかい」とも読み、「すじかい」は「筋交い」とも表記されます。

使い方

  • 交番の筋違いにある郵便局で切手を買って、この手紙を投函しておいてくれ。
  • 地震に備えて筋違い[筋交い]で補強しておく必要がある。

類語

斜め前を表す「斜向かい・斜向い(はすむかい)」は、「斜めの位置にある状態」を指す「筋違い」の類語です。

建築用語の「筋違い」の類語は「ブレース(brace)」。「筋違い」は木造に置ける斜め方向の部材を指すのに対し、「ブレース」は鉄骨造に置ける斜め方向の部材を表す点に違いがあります。

斜め材・斜材(ななめざい)」は斜め方向の部材のことですから、「筋違い」「ブレース(brace)」を総じた言葉です。


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